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波多野睦美 & 高橋悠治 『猫の歌』
波多野睦美&高橋悠治による歌曲アルバムの第2集『猫の歌』(2011年)。
2009年にリリースされた前作『ゆめのよる』では、フランス・スペイン歌曲&高橋悠治の歌曲作品を収録。聴いたことがない歌曲ばかりだったけれど、叙情的な美しい歌曲が多くて素敵な歌曲集。
『猫の歌』は、それとは趣きが異なり、歌曲のタイトルを見ると、政治的なメッセージ性や前衛的な作風の歌曲が多い印象。
実際聴いてみると、叙情的な歌曲は少なく、民衆歌的、現代音楽的歌曲、シャンソン風、国籍不明のワールドミュージック風と、選曲がユニーク。高橋悠治作曲の歌曲もかなり多い。
どちらかというと、『ゆめのよる』よりも、『猫の歌』の方が好みに合っているのは、ケージ・フェルドマン・ヴァイルに高橋悠治作曲の歌曲が中心なので、叙情的な歌曲とは違ったセンスの現代的な歌曲が多いところ。

猫の歌猫の歌
(2011/07/13)
波多野睦美&高橋悠治(MS/p)

試聴ファイル


<収録曲>
高橋悠治:民衆に訴える(詩:フランツ・ペーター・シューベルト)
ジョン・ケージ:18の春のすてきな未亡人(詩:ジェイムズ・ジョイス)
高橋悠治:「水牛」の歌(歌詞:ウェンディ・プサード)
モートン・フェルドマン:オンリー(歌詞:ライナー・マリア・リルケ,J.B.ライシュマン)
高橋悠治:夜の時間(詞:カール・クラウス)
クルト・ヴァイル:殉難塔―墓碑銘1919年(歌詞:ベルトルト・ブレヒト)
クルト・ヴァイル:溺れた少女のバラード(歌詞:ベルトルト・ブレヒト)
高橋鮎生:オフィーリア(歌詞:高橋鮎生)
ジョン・ケージ:オフィーリア<ピアノ・ソロ>
クルト・ヴァイル:ユーカリ(歌詞:ロジェ・フェルネ)
高橋悠治:猫の歌(歌詞:長谷川四郎)
 猫の歌
 おかし男の歌
 白鳥の歌
 あさのまがりかどの歌
 花火の歌
高橋悠治:
 パレスチナの子どもの神さまへのてがみ(歌詞:不詳)
 妾ハ童唄抄(歌詞:矢川澄子)
 世界でいちばん大きな木の歌(歌詞:長谷川四郎)
 だるまさん千字文(歌詞:矢川澄子)


                       

ケージの《18の春のすてきな未亡人》は、カタカタと木を叩くような音が伴奏。ピアノの蓋を閉じて演奏すると打楽器のような音になる。ケージらしいピアノの使い方というべきか。

ヴァイル歌曲は、ミュージカル風の《殉難塔―墓碑銘1919年》と《溺れた少女のバラード》、それにタンゴ風の《ユーカリ》。ミュージカルは全く聴かないので、どれも特に好きという曲ではないけれど、普通に聴きやすい。

《オフィーリア》はミニマル風ピアノ伴奏の旋律が妙に耳についてしまう。
ピアノソロの《オフィーリア》はとても面白い。断片的な旋律が次から次へと移り変わって、内面の錯綜を表現しているみたいで、ちょっと危ない雰囲気。

高橋歌曲は、前半はフランス語の歌詞&高橋悠治のピアノ伴奏。
《民衆に訴える》《「水牛」の歌》《夜の時間》の3曲がとても印象的で、繰り返し聴いても飽きない。
わかりやすい旋律に加えて、伴奏パートがとても印象的。《民衆に訴える》は朗々とし、《「水牛」の歌》はワールドミュージック風。《夜の時間》はモノローグ風な歌と現代音楽風のピアノ伴奏。
《「水牛」の歌》では、ピアノとパーカッションによる伴奏。音色とリズムが多彩になって、妙にエキゾチックでアジア的な味わいがあって、この曲にぴったり。

後半は、日本語歌詞による歌曲。
日本語の歌詞とちょっと舌足らずみたいな歌い方が面白くはあっても、好きなタイプの曲ではなく。
それにストレートに政治的メッセージ性のある歌詞はとっつき難い。
歌詞の意味がわからない外国語歌曲なら、歌詞のイメージに引きずられることなく、旋律と伴奏そのものを聴ける。(歌曲の聴き方としては良くないだろうけど)

tag : 高橋悠治 波多野睦美

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
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