日本食品標準成分表とカロリー算出方法

2014.04.25 18:00| ・ お料理全般・食材
夏井睦医師のホームページ<新しい創傷治療>で、「日本は世界基準とは違う独自の食品成分表を使っている」という投稿が載っていた。

文部科学省の「食品成分データベース」は時々を使っているし、カロリー・糖質は日ごろから大まかに計算して食べているけれど、そういえば、糖質量やカロリー値がどうやって算出されているのか考えたことがない。
興味を引かれる話だったので、日本で使われている『食品標準成分表』についてざっと調べた限りでは、炭水化物量と、たんぱく質・脂肪・炭水化物のエネルギー(カロリー)値の両方において、日本の算定方法は、(国際的標準らしき)FAO方式とは異なっている。
ということは、日本の『食品標準成分表』に載っている値が唯一妥当なものというわけではない。

国際基準となるFAO方式への移行は以前から文部科学省の検討会でも課題としてあげられてきている。
算定方法が変われば、数値も変わる。市販の食品や料理レシピの成分表示も全て変わる。カロリー制限食で食べられる食材の量も変わる。増える分には良いけれど、減ってしまうとつらいに違いない。
食品・健康・医療分野への影響がかなり大きいので、そう簡単に今の算定方法を変えるわけにはいかないらしい。
そういえば、栄養学は「昨日の常識は明日の非常識」という学問だという言葉を思い出した。



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『日本食品標準成分表』(日本食品標準成分表2010)の改訂概要
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日本食品標準成分表等の改訂について[文部科学省]
<FAO報告書への対応>
FAO(国際連合食糧農業機関)報告書の推奨する好ましい方法に則り、アミノ酸組成がわかっている食品について、アミノ酸組成から求めるたんぱく質量を収載(これまでは、窒素量に一定の係数を乗じて算出)。
同様に脂質も、同方法により、脂肪酸組成がわかっている食品について、脂肪酸組成から求めるトリアシルグリセロール当量を収載(これまでは、トリアシルグリセロール以外の脂質も含めた成分値)。
これにより、実際に摂取されているたんぱく質やトリアシルグリセロールの量をより正確に把握できるようになる。
炭水化物についてもでん粉や単糖等を直接分析して示すべきことがFAO報告書では好ましい方法として推奨されているが、今回改訂ではこれを見送ったため、混乱を生じないよう、上記(1)、(2)の新たなたんぱく質量やトリアシルグリセロール当量は、付加情報として収載(なお、現行の炭水化物量とFAOの方法によった場合の炭水化物量について試験的に比較検証したところ、両値の間に極めて強い相関を確認)。

<関連情報>
資料1 日本食品標準成分表等の改訂について
最終頁に「(参考2)諸外国の主要成分の収載・表示方法の概要」として、日本、英国、米国、ドイツ、フランス、カナダの比較表が乗っている。

資料1 別表1 炭水化物量の現行収載値の妥当性について
40の食品について、現行収載値(差引き法)とFAOの方式によった場合の成分値(でん粉、単糖等の直接分析)を比較検証したところ、いくつかの食品について乖離はみられたものの、おおむね合致する結果が得られ、両値について極めて強い相関が認められた。

「食品成分に関するデータ整備のあり方等に関する検討会報告書 日本食品標準成分表改訂の進め方について」(平成18年3月14日、食品成分に関するデータ整備のあり方等に関する検討会)
「エネルギー値の算出方法の見直し」に関する記載:
「FAOは食品のエネルギー値について、現行の「熱産生と体重増加に利用される食品のエネルギー」を示すという考え方を廃して、「ATPを必要とする身体機能に利用可能な食品エネルギー」という考え方に立った「代謝性エネルギー」として表示する方法を提唱しており、その採用の是非について慎重に検討する必要がある。なお、成分量及びエネルギー値の算出方法を見直した場合、食品のエネルギー値は大幅に変化するものと予測される。このような変化は、栄養管理・指導や食料需給表のデータ等様々な分野に大きな影響を及ぼしかねないことから、成分量及びエネルギー値の算出方法の見直しについては、慎重に検討する必要がある。」


資料をもとに、日本の算定方法のポイントをまとめると..
○たんぱく質・脂質の含有量については、「FAOの推奨する好ましい方法」で算出。
○炭水化物は、FAO報告書の推奨方法(単糖、二糖、でん粉等をそれぞれ定量の上、単糖当量として表示)を使っていないが、FAOが許容し得る方法としている「差引き法」で算出。
○現行方法(差引き法)とFAO推奨方法で算定された結果(40種類の食品)には、一部乖離はあるが、概ね強い相関がある。
○日本では「差引き法」で算定。英米独仏加の5カ国では、FAO推奨方式のみ、または、「差引き法」による算出値も併記。
○FAO推奨方式へ全面的に移行した場合、食品のエネルギー値が大幅に変化する。その影響は広範で甚大。(→なので、そう簡単には現行方式を止められない)


<参考情報>
食品成分データベース(検索画面)[文部科学省]
外国の食品成分データベースリスト[国立国会図書館]


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カロリーの算出方法
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エネルギー換算係数
『五訂増補日本食品標準成分表』 では、3種類のエネルギー換算係数が使われている。
食品のエネルギー値は、可食部100gグラム当たりのたんぱく質、脂質及び炭水化物の量(グラム)に各成分ごとのエネルギー換算係数を乗じて算出。

1 穀類、動物性食品、油脂類、大豆及び大豆製品のうち主要な食品:「日本人における利用エネルギー測定調査」(科学技術庁資源調査所資料)1~4)の結果に基づく係数

2 上記以外の食品:原則としてFAO/WHO合同特別専門委員会報告5)のエネルギー換算係数

3 適用すべきエネルギー換算係数が明らかでない食品、複数の原材料からなる加工食品:Atwaterの係数


※今までカロリーを概算するときは、たんぱく質と炭水化物は4kcal/g、脂質は9kcal/g という一般的によく使われている(らしき)係数で計算していた。この数値は「Atwaterの係数」と一緒。



カロリーって何?[ロバスト・ヘルス]
カロリーの算出する方法の解説がわかりやすい。
『五訂増補日本食品標準成分表』に使われているエネルギー換算係数の比較表を見ると、3種類の換算係数は、食品によってほぼ同等のものと、かなり乖離しているもの(特に小麦)がある。

日本独自の換算係数が使われているのは、「穀類、動物性食品、油脂類、大豆及び大豆製品のうち主要な食品」のみ。
この係数算定の根拠となっているのが「日本人における利用エネルギー測定調査」。
この調査は被験者が「18~25才の健康な日本人学生男女23名」。かなり古いものらしく、サンプル数も少なく若者に偏っているし、このデータを長年使っているのはどうかという気がする。

それ以前に、「栄養素それぞれの体内動態は全く異なり、体が使用可能な形に変換する(代謝)ために消費するエネルギーとの差し引きエネルギー量は異なるので、摂取したタンパク質の1kcalと脂質の1kcalと炭水化物の1kcalを等価に扱うことはできない」という。
それに、タンパク質、脂質は体の材料として使われるので、同じカロリーだからと言って単純に炭水化物に置き換えることはできない。

コメント

カロリー

こんばんは。
現代人は、とかくカロリーについて気にしていますが、少し前、色川武大も食に関するエッセイで、彼が医者に厳しく制限されたことを言及しています。それは、主に大豆ものをたべなさいという指示だったのです。
けれど、たまに、おみやげに塩ウニをもらうと、一日で食いつくしてしまうという食生活で、読んでいるとなにを節制しているのかわけがわからない。
それが原因かわかりませんが、彼は早死にしました。
でも、本そのものはとても面白いです。

睡眠不足は太ります

ポンコツスクーター様、こんばんは。

色川武大という名前は何度か見たことがあるのですが、著作は読んだことがありません。
小説の方は、私が普段読む本とは違ったタイプのようなのですが、レビューを読むと「喰いたい放題」は読みたいですね。
美食・名店・薀蓄についてではなく、ごく普通の食べ物と食欲の話というところが面白そうです。

心筋梗塞(心臓破裂)で亡くなられたようですが、おそらく肥満が原因なのでしょうね。
カロリー制限していたのでしょうが、お腹が空いてしまって挫折する人が多いようです。
食事制限するとストレスが溜まるので、ここぞとばかりに大好物を大量に食べてしまうのでしょう。
最近流行りの糖質制限の方が、少しは楽に痩せられたかもしれません。

睡眠不足の場合は食欲増進ホルモンが増加するので、ナルコレプシーによる睡眠障害が、過食の原因の一つだったように思います。
それに、睡眠不足になると脂肪・炭水化物の多い食べ物が欲しくなるのだそうです。
私の経験から言っても、睡眠障害で短時間/不規則睡眠が続くと、無性に炭水化物が欲しくなるので、危険です。(かりんとうやクッキー、シリアルなら200g、食パンなら300gくらいをペロリと食べてしまうので)

居眠り先生

こんばんは。
少し前に、伊集院静原作の「居眠り先生」のドラマを観ました。色川を西田敏行、伊集院を藤原達也が演じていまして、色川はまさにナレコペプシーの大食漢、伊集院はアル中という、なかなかスゴイ話でありました。彼の死因はyoshimiさんの言われるとおりかもしれませんね。
「「喰いたい放題」にもナレコレプシーの話は随所に出てきまして、目が覚めると猛烈な食欲に襲われるようです。とくに白いご飯には目がなかったとのこと。
よく60歳まで生きてこれたなあと思う程、壮絶な病気です。

白ご飯が大好物なら

ポンコツスクーター様、こんばんは。

「居眠り先生」は、原作・ドラマとも知りませんでしたが、西田敏行は、私が抱いていた色川のイメージにぴったりのような気がします。
伊集院の奥さんが夏目雅子がだったことも知らなかったのですが、喪失感からアルコール依存症になったようですね。

「喰いたい放題」はまだ手に入れていませんが、白いご飯が大好物だったなら、糖質だらけなので、大量に食べると確実に太ります。
でも、好きなものを我慢して長生きするのと、どちらか良いのか、私にはわかりません。
それに、節制したからといって、長生きするとも限りませんし、難治性の病を抱えつつ60歳まで生きたというのは、ある意味では長く生きることができたということなのかもしれません。
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好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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