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エッシェンバッハ ~ シューマン/子供の情景
エッシェンバッハのピアノ作品の録音で有名なのは、ショパン《前奏曲集》と《練習曲集》、それにシューベルト《ピアノ・ソナタ第21番》。
『エッシェンバッハ名演奏集/Early Recordings』に収録されているシューマンの《子供の情景》も、それに同じくらいに陰翳と孤独感に彩られている。
好きではないシューマンとはいえ、「トロイメライ」は子供の頃によく練習したし、《子供の情景》ならそれほど感情の浮き沈みが激しくないので、普通に聴ける。
でも、エッシェンバッハの《子供の情景》は、やっぱり「普通」ではなかった。
ファンタジー溢れるはずの《子供の情景》が、なぜか暗く淋しい音楽になっているのは、作品解釈の結果というよりも、まるで子供だった自分の心象風景を映し出しているかのように思えてくる。
極端にスローなテンポで陰鬱とした演奏をするピアニストとは違って、エッシェンバッハは普通のテンポで淡々と弾いている(感じがする)ので、作為性を感じることはない。
どの曲を聴いても、淋しさと辛さのなかで一人静かに堪えているような子供の姿が浮かんでくる。
長調の曲でさえ、快活さや明るさはなく、静かで穏やかで、諦観のようなものさえ漂っている。

第1曲は、全然「知らない国ぐに」にやって来た子供の少しおびえたような気持ちのような。
「第4曲:おねだり」も「第5曲:満足」も楽しげな感じは全くしない。決して手に入らないとわかっているかのような諦めか、失われた幸福に対する愛惜かのよう。
「第7曲:トロイメライ」の原題は”Dreaming”。夢のなかにいるのは、たった独りの淋しげな子供。
第8曲は、火の燃える暖かな「炉端で」過ごしているのに、なぜか心は寒いまま。
「第10曲:むきになって」の原題は” Almost Too Serious”。「第11曲:おどかし」の原題は”Frightening”。どちらも辛く厳しい目にあった子供が騒ぎ立てもせずに、心の内でじっと耐えているような痛々しさ。

《子供の情景》が収録されているのは、「ます」とカップリングしたDG盤と、Bliliant盤の『エッシェンバッハ名演奏集/Early Recordings』。

シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」/シューマン:「子供の情景」、他シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」/シューマン:「子供の情景」、他
(2012/05/09)
エッシェンバッハ(クリストフ)

試聴ファイル



エッシェンバッハ 名演奏集 6枚組エッシェンバッハ 名演奏集 6枚組
(2011/11/15)

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tag : シューマン エッシェンバッハ

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

愛聴するのはベートーヴェンとブラームス、それにバッハ。ロマン派ならリスト。​さらに現代(20​世紀)の音楽を探検中。特に好きなのはピアノ音楽(ソロ、コンチェルトに室内楽)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなピアノ曲:ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30・31・32番,ピアノ協奏曲第3番&第4番。ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番、ヘンデル変奏曲、後期ピアノ作品集。バッハ:パルティータ、フランス組曲、イギリス組曲

好きなヴァイオリン曲:バッハ・ベートーヴェン・ブラームスのヴァイオリンソナタ(ピアノ&ヴァイオリン)、シベリウス/ヴァイオリン協奏曲

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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