エッシェンバッハ ~ シューマン/子供の情景 

2014, 06. 17 (Tue) 18:00

エッシェンバッハのピアノ作品の録音で有名なのは、ショパン《前奏曲集》と《練習曲集》、それにシューベルト《ピアノ・ソナタ第21番》。
『エッシェンバッハ名演奏集/Early Recordings』に収録されているシューマンの《子供の情景》も、それに同じくらいに陰翳と孤独感に彩られている。
好きではないシューマンとはいえ、「トロイメライ」は子供の頃によく練習したし、《子供の情景》ならそれほど感情の浮き沈みが激しくないので、普通に聴ける。
でも、エッシェンバッハの《子供の情景》は、やっぱり「普通」ではなかった。
ファンタジー溢れるはずの《子供の情景》が、なぜか暗く淋しい音楽になっているのは、作品解釈の結果というよりも、まるで子供だった自分の心象風景を映し出しているかのように思えてくる。
極端にスローなテンポで陰鬱とした演奏をするピアニストとは違って、エッシェンバッハは普通のテンポで淡々と弾いている(感じがする)ので、作為性を感じることはない。
どの曲を聴いても、淋しさと辛さのなかで一人静かに堪えているような子供の姿が浮かんでくる。
長調の曲でさえ、快活さや明るさはなく、静かで穏やかで、諦観のようなものさえ漂っている。

第1曲は、全然「知らない国ぐに」にやって来た子供の少しおびえたような気持ちのような。
「第4曲:おねだり」も「第5曲:満足」も楽しげな感じは全くしない。決して手に入らないとわかっているかのような諦めか、失われた幸福に対する愛惜かのよう。
「第7曲:トロイメライ」の原題は”Dreaming”。夢のなかにいるのは、たった独りの淋しげな子供。
第8曲は、火の燃える暖かな「炉端で」過ごしているのに、なぜか心は寒いまま。
「第10曲:むきになって」の原題は” Almost Too Serious”。「第11曲:おどかし」の原題は”Frightening”。どちらも辛く厳しい目にあった子供が騒ぎ立てもせずに、心の内でじっと耐えているような痛々しさ。

《子供の情景》が収録されているのは、「ます」とカップリングしたDG盤と、Bliliant盤の『エッシェンバッハ名演奏集/Early Recordings』。

シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」/シューマン:「子供の情景」、他シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」/シューマン:「子供の情景」、他
(2012/05/09)
エッシェンバッハ(クリストフ)

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エッシェンバッハ 名演奏集 6枚組エッシェンバッハ 名演奏集 6枚組
(2011/11/15)

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