オズボーン ~ ラヴェル/ピアノ作品集

ドビュッシーのピアノ曲集はかなり集めているのに、同じ印象主義の音楽ラヴェルの曲集は、2曲のピアノ協奏曲を除いて、ほとんど持っていない。
ラヴェルの曲はよくカップリングされているので、聴いたことのある曲は多いけれど、ピアノソロの全集盤はロジェのEMI盤くらい。
ロジェのラヴェルは、平板な印象があったせいか、特に印象に残っていなかった。

今年もやたらに暑かったせいか(今は涼しいけど)、なぜかラヴェルの音楽が涼しげに思えてきてしまい、ロジェ以外のピアノソロ全集を買いたくなってきた。
いろいろ試聴してみると、ロルティ(Chandos)、オズボーン(hyperion)、ムラロ(Musidisc)がとても良い感じ。
ドビュッシーほど好きではなかったラヴェルなのに、試聴していたらとっても面白く聴けてしまって、誰の全集盤を買うかかなり悩ましい。


ロルティ(Chandos盤,1988年録音)
Complete Works for Solo PianoComplete Works for Solo Piano
(2004/01/20)
Louis Lortie

試聴ファイル


オズボーン(hyperion盤,2010年9月録音)
Complete Solo Piano MusicComplete Solo Piano Music
(2011/03/07)
Steven Osborne

試聴ファイル


ムラロ(Musidisc盤,2003年録音)
Ravel: Pno WorksRavel: Pno Works
(2003/09/02)
Roger Muraro

試聴ファイル


試聴してみると、ムラロはリズムやテンポにかなりクセがあって(「道化師の朝の歌(Alborada del gracioso)」とか)、装飾音の弾き方がやや前のめり気味。音色がかなり甘くて、特に高音がきらきら煌いている。
ロルティやオズボーンよりも歌いまわしがかなりメロウで、情感深め。(私にはちょっと甘すぎる感じはするけど)
ロルティは音色が一番柔らかくて耳に心地よく、表現も繊細だけれど、ムラロほどにメロウではないし、アーティキュレーションにクセが少なくて、聴きやすい。それに価格も手頃だったので、最初はロルティ盤を買おうかと思ったくらい。
オズボーンは、メカニックの切れ味が3人のなかでは一番良い。《クープランの墓》の「トッカータ」では、テンポが速いわりに連打する音の粒がきれいに揃っていて精密。
ムラロほどに、ディナーミクやリズムの変化を強調しないので(ムラロの弾き方も個性的で面白いけれど)、歌いまわしも滑らか。
弱音の繊細さは、ロルティよりももっとニュートラルで甘さが薄い気がするので、私の好みに一番近い気がする。

結局、試聴した印象と、この(↓)レビューを読んで、かなり悩んだすえに、オズボーンのhyperion盤を購入。
■[CD]ラヴェル ピアノ曲全集の頂点が決定しましたの巻[音楽図鑑:近況報告]

オズボーンのCDは、メシアンの《アーメンの幻影》を持っているし、メシアンを録音しているので、好感度大。(ベートーヴェンのソナタ集は好みとは違っていたけれど)
それに、オズボーンは耳鳴り持ちのピアニスト。演奏家用の特殊な耳栓をして演奏活動をしているというので、なぜか親近感が湧いてしまうのも多少は影響しているかも。

Steven Osborne performs Ravel's La vallée des cloches [Sinfini Session] Video


MAURICE RAVEL SCARBO Gaspard de la nuit STEVEN OSBORNE
March 6, 2012,Miami International Piano Festival



<参考情報>
ラヴェル ピアノ独奏曲全集 CD聴きくらべラヴェル ピアノ独奏曲全集 CD聴きくらべ(2)[音楽図鑑CLASSIC]
全集盤のレビューがとても詳しくて、CD選びの参考におすすめ。
ここではロルティ盤が”決定盤”とされているけれど、その後オズボーン盤がリリースされたため、最新の決定盤はオズボーンになっている。
ロルティのショパンのエチュードやベートーヴェンのピアノソナタは聴いたことがあるけれど、ベートーヴェンはちょっと繊細すぎる気がして、私の好みとは全然違っていた。
でも、ロルティ(とムラロ)のラヴェルは、試聴してみるととても良かったので、そのうち聴いてみるつもり。


ロジェ・ムラロ ピアノリサイタル on NHKクラシック倶楽部の巻[音楽図鑑:近況報告]
ムラロのラヴェル解釈では、”ラヴェルの心の奥の様子が描かれており、ショパンやドビュッシーのように、自分の感情をこめて表現してはいけない。”のだそう。

そういえば、リヒテルの伝記を読んでいると、”テクニックが高度で精緻なだけでしかない”とミケランジェリには否定的だったリヒテルが、ラヴェルのピアノ協奏曲だけは「ミケランジェリ最高の演奏」と賞賛していた。
なぜかというと、ラヴェルのコンチェルトは、感情的なものを捨象してできた音楽であってミケランジェリのピアニズムにふさわしいからだ...と言う。

スティーヴン・オズボーン [伊熊よし子のブログ,2011.05.11]

<過去記事>
耳栓をして演奏するピアニスト~スティーブン・オズボーン

タグ:ラヴェル ロルティ オズボーン ムラロ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

コメント

非公開コメント

◆カレンダー◆

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

◆ブログ内検索◆

◆最近の記事◆

◆最近のコメント◆

◆カテゴリー◆

◆タグリスト◆

マウスホイールでスクロールします

◆月別アーカイブ◆

MONTHLY

◆記事 Title List◆

全ての記事を表示する

◆リンク (☆:相互リンク)◆

◆FC2カウンター◆

◆プロフィール◆

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

◆お知らせ◆

ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿と思われるコメントや、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。