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ヒナステラ/ピアノ作品全集
ヒナステラのピアノ・ソナタとピアノ協奏曲がとっても気に入ったので、他のピアノピースも聴いてみたくなり、CDをいろいろ探してみた。
ヒナステラのピアノ作品全集は思った以上に録音が多い。ほとんどがマイナーレーベルなので、廃盤が多い。
それでも、MP3ダウンロードできるものもあるけれど、基本的にはCDで保有することにしているので、CDが簡単に入手できることが条件。

廃盤も含めて試聴ファイルで聴いてみると、アレクサンダー・パニッツァ(Alexander Panizza)は力強く太い響きで骨格がしっかりした重厚さとリズム感が良い。
一音一音しっかり打鍵しているせいか、テンポが遅め。(余白にリストとラヴェルの曲が入っている。できればスペイン系の音楽(アルベニスとか)を入れて欲しかったけど。

アンジェイ・ピクル(Andrzej Pikul)の録音も良い感じだったけれど、やや残響多めで、スピード感とリズム感がもう少し欲しかった。
津田理子はテンポが速くて整然とした端正な感じがする反面、柔らかく滑らかな音で力感・リズム感が緩く感じる。
Alberto Portugheisは、スピード感・力感・リズム感に欠けるけれど、メロディアス。こういう弾き方もあるかもしれないけれど、急速楽章では脱力してしまう。

ヒナステラ弾きとして有名なバルバラ・ニスマン(Barbara Nissman)は、テンポは速めで力感もあり勢いは良いのだけれど、速いパッセージになると打鍵に曖昧さがあって、技巧的な切れがもう一つ。

アルゼンチン生まれのピアニスト、フェルナンド・ヴィアーニ(Fernando Viani)は、テンポが速くシャープなリズム感が切れ味良い。
オルガン曲もヴィアーニが弾いている。(オルガン曲は、音色も曲も好きなタイプではなかったけど)

結局、パニッツァとヴィアーニが私の好みに合っていたようなので、CDを買おうとしたけれど、パニッツァは廃盤で、MP3ダウンロードのみ。
この2人の録音では、収録曲が微妙に違う。ヒナステラの管弦楽作品のなかで有名(らしい)《エスタンシア》のピアノ編曲版を録音しているのは、パニッツァのみ。
気に入った録音はCDで保有したいけれど、何回か聴きなおしてみると、パニッツァの方が一音一音力感があって明瞭に聴こえるし、《エスタンシア》も入っているので、結局パニッツァ盤をダウンロード。


パニッツァの全集盤は全2巻。いずれも廃盤で、MP3ダウンロードで入手可能。
『Alberto Ginastera:Obras Completas Para Piano Vol. 1』
Obras Completas Para Piano Vol. 1Obras Completas Para Piano Vol. 1
(2014/02/11)
GINASTERA ALBERTO

試聴ファイル

<収録曲>
1. .ピアノ・ソナタ第1番 Op. 22
2. アルゼンチンの童謡によるロンド Op. 19
3. ミロンガ
4. ピアノ・ソナタ第2番 Op. 53
5. 3つのアルゼンチン舞曲 Op. 2
6. ドメニコ・ツィポーリ:オルガン・トッカータ(A. ヒナステラによる編)
7. フランツ・リスト:メフィスト・ワルツ第1番 「村の居酒屋での踊り」

『Alberto Ginastera:Obras Completas Para Piano Vol. 2』
Vol. 2-Ginastera AlbertoVol. 2-Ginastera Alberto
(2007/05/08)
Alexander Panizza

試聴ファイル

<収録曲>
1. 3つの小品 Op. 6
2. 12のアメリカ風前奏曲 Op. 12
3. ピアノ・ソナタ第3番 Op. 54
4. エスタンシアからの3つの舞曲 Op. 8b
5. マランボ Op. 7
6. クレオール舞曲組曲 Op. 15 (第2稿)
7. モーリス・ラヴェル:夜のガスパール


『12のアメリカ風前奏曲』は、北米・南米の作曲家(コープランドやヴィラ=ロボスなど)へのトリビュート曲が多い。
バルトークとリゲティを融合して、ジャジーに仕上げたような作風が面白い。

Ginastera: Twelve American Preludes - 11. Tribute to Heitor Villa-Lobos


Ginastera: Twelve American Preludes - 9. Tribute to Aaron Copland


Ginastera: Twelve American Preludes (全曲)



ヴィアーニのNaxos盤。全集盤のなかでは、価格も手頃く簡単に入手できる。
『Alberto Ginastera:Complete Piano & Organ Music』
Complete Piano & Organ MusicComplete Piano & Organ Music
(2007/04/24)
Ginastera、Viani 他

試聴ファイル

<CD1>
1. アルゼンチン舞曲集 Op.2
2. 3つの小品 Op.6
3. マランボ Op.7
4. 12のアメリカ風前奏曲集 Op.12
5. 南米風舞曲の組曲 Op.15(第2版)
6. アルゼンチン童謡の主題によるロンド Op.19
7. 子供のためのアルゼンチン舞曲(世界初録音)
8. 童謡による小品I
9. 童謡による小品II
10. ミロンガ/小さな舞曲
11. ツィポーリ: オルガン・トッカータ(ヒナステラによるピアノ用編曲)

<CD2>
1. ピアノ・ソナタ 第1番 Op.22
2. ピアノ・ソナタ 第2番 Op.53
3. ピアノ・ソナタ 第3番 Op.55
4. トッカータ、ビリャンシーコとフーガ Op.18+
5. 「暁の光は赤く染まり」の主題による変奏曲とトッカータ Op.52+(世界初録音)
※最後の2曲はオルガン作品。ピアニストのヴィアーニが、オルガンも弾いている。オルガンの音自体があまり好きではない上に、ヒナステラの音の多い曲では響きが一層混濁したような感じがして、よくわからなかった。


ヒナステラのピアノ作品のなかでも、とてもロマンティックなのが『 3つの小品/Tres Piezas Op.6』。
特に、アルベニスの《イベリア組曲》風の”Cuyana”が素敵。
”Cuyana”とは「クージョ風」。クージョは、アンデス山脈沿いの地域のこと。
私は爽やかな潮風薫る南国の港のイメージがしたけれど、これは清々しい高原の情景らしい。
”Criolla/クリオージャ”とは「大地」の意味。冒頭はラテンの薫り漂う華やかな舞曲風でとてもリズミカル。
他のピアノ作品も、ラテン民謡風の異国情緒と親しみやすいメロディの曲が多くて、聴いていて楽しい。

Alberto Ginastera Tres Piezas Opus 6 - No. 1 Cuyana (Piano: Alberto Portugheis)


Alberto Ginastera Tres Piezas Opus 6 - No. 3 Criolla



                    

”南米のバルトーク”と言われるヒナステラなので、バルトークが好きな私の好みと合うのは当然としても、バルトーク風な曲ばかりではなく、曲によっては、ムソルグスキー、リゲティ、ドビュッシー、メシアン、アルベニスのピアノ曲(のいずれか)も連想させるのも相性の良い理由。
(バルトークとメシアンはドビュッシーの影響があり、アルベニスは”スペインのドビュッシー”と言われていたし、リゲティを聴いているとメシアンやドビュッシーを連想する)

ピティナの作曲家解説などを読むと、ヒナステラの作風は三つの時期に分類される。

第一期の作品(客観的民族主義時代/~1947年):音楽表現の要素として、アルゼンチン民謡のリズムや旋律を積極的に取り入れた。安定した調性をベースに躍動的なリズムとメロディアスな旋律なので、聴きやすいものが多い。
3つのピアノ・ソナタ以外のピアノ作品はほとんどこの時期に書かれている。

第二期(主観的民族主義時代/1948年~):アルゼンチンの風土や国民性を意識しつつも、直接民謡の旋律やリズムを用いることはなかった。
《ピアノ・ソナタ第1番作品22》(1952年)の第4楽章は「マランボ」風。

第三期(新表現主義時代/(1958年〜)では、十二音技法を取り入れ、多調性、微分音の複合体、偶然性による手法なども試みた。
この時期の作品は、《ピアノ・ソナタ 第2番 作品53》(1981年)、《ピアノ・ソナタ 第3番 作品54》(1982年)など。

<参考サイト>
Alberto Ginasteraのページ[中南米ピアノ音楽研究所]
「Alberto Ginasteraのピアノ曲リストとその解説」「Alberto Ginasteraのピアノ曲CD」がCD選びの参考になる。

tag : ヒナステラ パニッツァ ヴィアーニ

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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