2014_11
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(Sat)13:00

ブレンデル ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第1番 

このところ、カッチェンのブラームスの《ピアノ協奏曲第1番》をよく聴いているのと、すっかり秋めいてきたのとで、今はブラームスモード。
《ピアノ協奏曲第1番》はとても好きな曲の一つなので、名盤といわれるものはほとんど聴いているけれど、手持ちのCDを改めて聴き直してみたら、テンポ、力感、叙情感が一番合うのが、(不動のマイベストのカッチェンとアラウは別として)ブレンデルだった。(と思ったけれど、ハフのhyperion盤を聴き直したら、ハフも同じくらいに私の好みにぴったり)

色彩感豊かな音と優美さ漂っているのが、いつものブレンデルらしいところ。
線が多少細くても、硬質のシャープなタッチで力感があり、特に、しなしなすることなく繊細で研ぎ澄まされた叙情感がとっても私好み。

ブレンデルの録音は、スタジオ録音が2種類とライブ録音の合計3種類。
イッセルシュテット盤は、アバド盤よりも、線がさらに細くて尖った響きがするので、どちらというと、少し歌いまわしと響きにまろやかさがあるアバド盤の方が聴きやすい。
名盤とされる1986年スタジオ録音のアバド盤は、タワーレコード限定盤が最近リリースされている。
ブレンデル自身は、アバド盤はピアノの音が遠く聴こえるとかご不満があったらしく、それを知って私はライブ録音のCDを買ったんだけど...。
ピアノの音がそんなに遠い感じはしないし、ライブ録音よりも音質が好きなので、CDで聴きたくなってタワーレコード限定盤を購入。
もしかしたら、ピアノの音ではなくて、他に満足できないところがあったんだろうか?

ブレンデル80歳のバースディ記念盤に収録されているのは、1985年のライブ録音。
ピアノの音はややまろやかで温かみがあり、ライブ独特の臨場感や生気が感じられる。
どちらかというと、スタジオ録音の方が音がクール(温度感が低い)で鋭さがあるので、張りつめたような緊張感を感じる。
音色と演奏の緊迫感から言えば、アバド盤が一番私の波長にぴったり合っている。

ブレンデルは、理知的なイメージがあるけれど、本当は感情豊かな人で、それを自覚していかにコントロールするかを常に心がけているようで、『対話録「さすらい人」』でも「私は「インテリ」と呼ばれることに対して、あまりにも画一的な見方なのでいつもある種の憤りを覚えてきました。理知的な側面だけを語られるのは心外です。人々が考えているよりも私は感覚的に反応していることが多いのです。まず何よりも自分の感覚を信じている演奏家ですが、理性によるコントロール機能を利用しているだけです。」と語っている。

そのせいか、彼の演奏と曲の間にワンクッションはさまった感覚を覚えるところがあって、自らの感情とそれをコントロールする理性との葛藤が、(私には)演奏と曲との距離感や間合いのようなものに感じることが多い。
でも、このブラームスのコンチェルトではそう感じることがなく、自然にシンクロして聴ける。
後年、第2番のコンチェルトをレパートリーから外して、第1番だけをを弾き続けていたのは、この激情的な曲がブレンデルのメンタリティに合っていたからではないかと思う。


ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(録音:1973年5月)

ブラームス : ピアノ協奏曲 第1番ニ短調ブラームス : ピアノ協奏曲 第1番ニ短調
(1996/06/05)
ブレンデル(アルフレッド)

試聴ファイル(amazon.ukの別盤)


Brahms / Alfred Brendel, 1973: Piano Concerto No. 1 in D minor, Op. 15 - Rondo (Vinyl LP)






クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(録音:1986年9月)

DECCA盤は廃盤らしく、タワーレコード限定盤で入手可能。
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
(2005/06/22)
ブレンデル(アルフレッド)

試聴ファイル
CDレビュー:アルフレッド・ブレンデル 第6回 ブラームスの2曲の協奏曲を聴く[An die MusikクラシックCD試聴記]



これはamazonで販売している「インディペンデントレーベル」盤。
発売年と価格から判断して、タワーレコードで販売している「タワーレコード限定盤」と同じらしい。(ジャケット画像をなぜか載せていないのは、そのせい?)
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番/ウェーバー:コンツェルトシュテュックブラームス:ピアノ協奏曲第1番/ウェーバー:コンツェルトシュテュック
(2014/08/03)
アルフレッド・ブレンデル、アバド、BPO

商品詳細を見る


BRENDEL / ABBADO, Brahms Piano Concerto No.1 in D minor, op.15 (1)





サー・コリン・デイヴィス指揮バイエルン放送交響楽団(録音:1985年2月、ライブ録音)

Alfred Brendel 80th Birthday TributeAlfred Brendel 80th Birthday Tribute
(2011/02/15)
Alfred Brendel

試聴ファイルあり

CDレビュー:ブレンデルの80歳を記念してのライヴ録音集[クラシック音楽CDの感想]



<関連記事>
『対話録「さすらい人」ブレンデル~ リストからモーツァルトへの道程』
ブレンデル ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第1番(ライブ録音)

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4 Comments

ポンコツスクーター  

ブレンデル

こんにちは。
ブレンデルのブラームス1は、スタジオのを両方聴きました。彼独特の重いピアノが曲に合っていると思います。アバドのブラームスはやや苦手なので、イッセルシュテットのほうがいいかなあと。2番はイッセルシュテットが急逝したのでハイティンクが指揮をとりましたね。
生で聴きたかったソリストのひとりです。

2014/11/04 (Tue) 12:55 | EDIT | REPLY |   

matsumo  

No title

yoshimiさん、こんにちは

ブレンデルですか、私はあまり聴かないピアニストの1人ですが、LP1枚のみ、持っています。それはクロシュとの連弾でシューベルトの”ソナタ ハ長調「大二重奏曲」”等を演奏したVoxでの録音ですが、これはこの曲の録音では最も素晴らしいと思っています。

一方、ブラームスのピアノ協奏曲は、第1番より第2番の方が好きです。と言っても、第1番の録音でホロヴィッツ・ワルター・コンセルトヘボウO.の録音はものすごいと思いますが。ただし、何せ1936年の録音ですので、音の方は今3ですが。

2014/11/04 (Tue) 18:38 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

1970年代のブレンデル

ポンコツスクーター様、こんばんは。

ブレンデルならリストとベートーヴェンの録音はわりと好きなのですが、一番ぴたっときたのは、意外なことにブラームスでした。
イッセルシュテットとハイティンクの録音は、1970年代ですね。
1970年代のブレンデルは、ブラームスに限らずベートーヴェンも、後年よりもずっとシャープなタッチで、マニッシュな感じが強いように思います。
ブレンデル自身は、2番の方は曲自体があまり好きではないようでした。

2014/11/04 (Tue) 19:50 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

珍しい録音ですね

matsumo様、こんばんは。

ブレンデルのVOX盤なら、たぶんベートーヴェンが有名ですが、特に変奏曲集が面白いです。シューベルトの連弾も録音していたんですね。

ホロヴィッツの第1番は聴いたことがありませんが(もともとホロヴィッツは聴かないので)、36年録音なら音が悪すぎて、聴く人も少ないでしょうね。

2014/11/04 (Tue) 19:55 | EDIT | REPLY |   

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