池田遙邨画集 

2015, 02. 02 (Mon) 18:00

お正月に近所のBookoffでシャガール画集を買ったとき、池田遙邨回顧展の図録が置いてあるのを見つけた。
池田遙邨の絵画展は、30年近く前に京都市美術館で見た記憶があり、気に入った絵の絵葉書を10枚ほど買って、今でも持っている。
この図録は1982年の回顧展のもので、私が行った絵画展よりも少し以前の絵画展らしい。
かなり昔の図録にしては、使用感がなくてとても状態が良い。
それほど有名で人気のある画家でもないせいか、いくら安くしても(150円だった)誰も買わなくて、売れ残っていたみたい。
まるで私に見つけられるのを待っていたような縁を感じたので、この図録も購入。

遙邨の有名な作品といえば、俳人種田山頭火の俳句をモチーフにした最晩年の《山頭火シリーズ》。
遙邨の作風がかなり変遷していったようで、「雪の大阪」「雪の神戸港」「昭和東海道五十三次」などと、「森の唄」や「夜」とかは、かなり趣が違う。
《山頭火シリーズ》は特に好きというわけではなく、特に好きなのは、戦後の風景画や小動物が出てくる作品。
構図がかなり大胆で、動物たちの飄々としたユーモラスな姿や表情も面白くて、ほのぼの~。
構図の大胆さと対照的に、細部は精巧で緻密。
それに、それほど色彩感豊かというわけでもないのに、色使いが面白い。
同色系の色使いが渋くて、そのなかに反対色(というのだろうか?)で描かれた小さなモチーフがくっきりと色鮮やかに浮かび上がる絵が多い。

特に面白かったのが、「囁」。
雪が舞い落ちた叢で、お地蔵さんの囁きが聞こえたかのように、振り返るタヌキ。
喋るはずがないお地蔵さんが「囁く」のが、意外で面白い。
タヌキの姿が可愛らしくてどこかユーモラスで、お地蔵さんの囁きが聞こえてきそうなくらいにリアル。
「囁」を取り上げたブログ記事(「春を待つ」楽しみ)を見つけたけれど、私とは違って、この方は「少し離れて狸がいるが、狸は石仏に囁きかけているのかもしれない。」と解釈している。
それに、「遙邨の描く動物たちはみんな寂しく・みんなトボケている。」という点は、トボケけて(飄々として)いるのは同感だけど、寂しそうには全然見えなくて、独りであっても自由でいいなあ~と思うんだけど。

遙邨の生まれ故郷である倉敷市の市立美術館では、8000点にのぼる遙邨コレクションを所蔵。
ホームページでも一部の絵を見ることができる。

池田遙邨の世界[倉敷市立美術館]
池田遙邨収蔵作品[倉敷市立美術館]

「雪の大阪」(1928年)(Artrip Museum 大阪新美術館)
「雪の神戸港」(1947)[神戸市立博物館]


<参考ブログ>
池田遙邨回顧展[遊行七恵の日々是遊行,2008年08月31日]
『ぐるりとまはって枯山 山頭火』、『森の唄』、『岩礁』、『影』などを紹介。

2 Comments

Leaf-passo  

池田遙邨、恥ずかしながら知りませんでした。
調べて出てきた絵を見たら、わたしのツボに入りました。
物語性があって、描いた時代によっても違ってくるのですね。
わたしは動物が描かれているものがユーモラスで気に入りました。
自分なりの解釈が出来るのも楽しいですね。

(追伸 ブログや名前、変えてばかりですいません)

2015/02/02 (Mon) 22:29 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

ユーモラスな動物たち

Leaf-passoさん、こんばんは。

遙邨の絵がお気に召して良かったです。
遙邨はそれほど有名な画家ではないので、知らない人は多いですね。
私もたまたま見た展覧会のチラシに魅かれて観に行きましたが、実物の絵を観てすっかり好きになりました。

今回買った画集を眺めていると、大阪や神戸の風景画は初めて見ましたが、両方とも緻密なタッチで気に入りました。
当時の大阪中之島界隈のハイカラな雰囲気が漂ってます。
倉敷市立美術館のサイトで見ることができる「昭和東海道五十三次」シリーズは、(たぶん永谷園のお茶漬けに付いていた)安藤広重の絵を思い出します。

動物が登場する絵は、構図がユニークで、動物の表情や姿勢がちょっと人間ぽくてユーモラスなので、私もとても好きです。
音楽と同じで、観る人によって解釈が随分違うものなんですね。

2015/02/02 (Mon) 23:49 | EDIT | REPLY |   

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