2016.03/23 [Wed]
グールド ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集
Youtubeで偶然聴いたグールドのベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番が、思いがけなく”まっとう”な演奏だったので、私としては珍しくも、グールドのベートーヴェンBOXを購入。
ピアノ協奏曲全集だけのセットも出ているけれど、このBOXセットにはピアノ協奏曲だけでなく、ピアノ・ソナタも12曲抜粋収録されている。
随分昔にグールドの録音を集めていたので、バッハ以外の録音なら、ブラームスにシュトラウス、ベルク、シェーンベルク、ギボンズなど10枚くらいは持っている。
最近シューマンのピアノ四重奏曲のCDも買ったけれど、ベートーヴェンは最後のソナタ3曲以外は聴いたことがなかった。
<収録曲>
ピアノ協奏曲第1番(1958年,ゴルシュマン指揮コロンビア響)
ピアノ協奏曲第2番(1957年,バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック)
ピアノ協奏曲第3番(1959年,同上)
ピアノ協奏曲第4番(1961年,同上)
ピアノ協奏曲第5番『皇帝』(1966年,ストコフスキー指揮アメリカ響)
もともと好きな第3番は、グールドらしくないかなり”まっとうな”ベートーヴェン。
ノンレガートは多用せず、歯切れよいクリアな打鍵と済んだ音色に滑らかなレガートが、とても耳に心地よく響く。
面白いのは、第3番第1楽章のカデンツァ。
終わり近くで楽譜にないフレーズを付け加えている。Tempo1に入る直前の小節で、左手が短いアルぺジョに続いて主題を弾いている。
普段は聴き慣れないフレーズが聴こえてきたので、他のピアニストの録音を聴いても、楽譜で確認しても、この旋律が出てこない。
突然回想される主題がくっきり浮かび上がって、とても印象的。(1955年のウンガー&CBC響との演奏でも同じ弾き方をしていた。)
Glenn Gould - Beethoven Piano Concerto No. 3 Mvt. 1 ( part 1 )
Glenn Gould - Beethoven Piano Concerto No. 3 Mvt. 1 ( part 2 )
グールドが弾いているとは思えない第3番に比べて、第4番は作品よりもピアニストがずっと前面に出て、ピアニストの個性が煌いている。
第3番よりもノンレガート的なタッチが増えて、バッハの対位法みたいに、右手の主旋律以外に左手の旋律もくっきりと明瞭に響かせているところが多い。
第1楽章冒のピアノソロは、かなりネットリしたタッチで始まり、時々歌い回しもメロウになり、ロマン派風の雰囲気が漂う。
冒頭とか途中出てくる和音で、少しアルペジオ風に崩して弾いているときがある。(冒頭はかなり崩したアルペジオだった)
私の好みとしては、和音をアルペジオで弾くとロマン派の曲みたいなセンチメントを感じるので、楽譜どおりに崩さずにしっかり同時に全ての音を和音として弾いて欲しい。
左手側の伴奏の強拍部を強調して、内声部の旋律みたいに聴かせるところが面白い。
スラーのフレーズをノンレガートで弾くのも、響きが違って面白い。(でも、好きなのは、バッハ風ベートヴェンではなくて、普通にレガートで弾いた演奏の方)
カデンツァはペダルを多用して、フレージングも細かい起伏が多いので、ロマン派みたいな響きの厚さとセンチメント。
第2楽章ロマン派みたいに情感過多気味。
いつもは第1楽章より印象が薄かった第3楽章が、マルカート気味の輪郭の明瞭なタッチと、対位法的みたいに両手の旋律の絡み合ったような弾き方が面白い。
Glenn Gould - Beethoven piano concerto No.4 in G major 1st movment (1/2)
Glenn Gould - Beethoven piano concerto No.4 in G major 1st movment (2/2)
第1番は軽やかなタッチと滑らかなレガートで、グールドにしてはとても柔らかくしなやか。
でも、第1楽章のテンポが速すぎて、(小ネズミが走り回っているかのように)ちょこまかとせわしない。第3楽章もかなり速いテンポ。
軽快だけど音楽を味わう前に頭の中を通り過ぎていくような感覚がしたので、私の好みとはちょっと違っていた。
面白いのは、第1楽章のカデンツァ。たぶんグールドのオリジナル。
ピアノ協奏曲全集だけのセットも出ているけれど、このBOXセットにはピアノ協奏曲だけでなく、ピアノ・ソナタも12曲抜粋収録されている。
随分昔にグールドの録音を集めていたので、バッハ以外の録音なら、ブラームスにシュトラウス、ベルク、シェーンベルク、ギボンズなど10枚くらいは持っている。
最近シューマンのピアノ四重奏曲のCDも買ったけれど、ベートーヴェンは最後のソナタ3曲以外は聴いたことがなかった。
![]() | Glenn Gould Plays Beethoven Sonatas & Co (2010/08/03) Glenn Gould 試聴ファイル(別盤にリンク) |
<収録曲>
ピアノ協奏曲第1番(1958年,ゴルシュマン指揮コロンビア響)
ピアノ協奏曲第2番(1957年,バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック)
ピアノ協奏曲第3番(1959年,同上)
ピアノ協奏曲第4番(1961年,同上)
ピアノ協奏曲第5番『皇帝』(1966年,ストコフスキー指揮アメリカ響)
もともと好きな第3番は、グールドらしくないかなり”まっとうな”ベートーヴェン。
ノンレガートは多用せず、歯切れよいクリアな打鍵と済んだ音色に滑らかなレガートが、とても耳に心地よく響く。
面白いのは、第3番第1楽章のカデンツァ。
終わり近くで楽譜にないフレーズを付け加えている。Tempo1に入る直前の小節で、左手が短いアルぺジョに続いて主題を弾いている。
普段は聴き慣れないフレーズが聴こえてきたので、他のピアニストの録音を聴いても、楽譜で確認しても、この旋律が出てこない。
突然回想される主題がくっきり浮かび上がって、とても印象的。(1955年のウンガー&CBC響との演奏でも同じ弾き方をしていた。)
Glenn Gould - Beethoven Piano Concerto No. 3 Mvt. 1 ( part 1 )
Glenn Gould - Beethoven Piano Concerto No. 3 Mvt. 1 ( part 2 )
グールドが弾いているとは思えない第3番に比べて、第4番は作品よりもピアニストがずっと前面に出て、ピアニストの個性が煌いている。
第3番よりもノンレガート的なタッチが増えて、バッハの対位法みたいに、右手の主旋律以外に左手の旋律もくっきりと明瞭に響かせているところが多い。
第1楽章冒のピアノソロは、かなりネットリしたタッチで始まり、時々歌い回しもメロウになり、ロマン派風の雰囲気が漂う。
冒頭とか途中出てくる和音で、少しアルペジオ風に崩して弾いているときがある。(冒頭はかなり崩したアルペジオだった)
私の好みとしては、和音をアルペジオで弾くとロマン派の曲みたいなセンチメントを感じるので、楽譜どおりに崩さずにしっかり同時に全ての音を和音として弾いて欲しい。
左手側の伴奏の強拍部を強調して、内声部の旋律みたいに聴かせるところが面白い。
スラーのフレーズをノンレガートで弾くのも、響きが違って面白い。(でも、好きなのは、バッハ風ベートヴェンではなくて、普通にレガートで弾いた演奏の方)
カデンツァはペダルを多用して、フレージングも細かい起伏が多いので、ロマン派みたいな響きの厚さとセンチメント。
第2楽章ロマン派みたいに情感過多気味。
いつもは第1楽章より印象が薄かった第3楽章が、マルカート気味の輪郭の明瞭なタッチと、対位法的みたいに両手の旋律の絡み合ったような弾き方が面白い。
Glenn Gould - Beethoven piano concerto No.4 in G major 1st movment (1/2)
Glenn Gould - Beethoven piano concerto No.4 in G major 1st movment (2/2)
第1番は軽やかなタッチと滑らかなレガートで、グールドにしてはとても柔らかくしなやか。
でも、第1楽章のテンポが速すぎて、(小ネズミが走り回っているかのように)ちょこまかとせわしない。第3楽章もかなり速いテンポ。
軽快だけど音楽を味わう前に頭の中を通り過ぎていくような感覚がしたので、私の好みとはちょっと違っていた。
面白いのは、第1楽章のカデンツァ。たぶんグールドのオリジナル。
- at 12:00
- [【音楽日記】: ♪ピアニスト(現代音楽以外)]
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