ハンネス・ミンナール『Bach Inspirations』

2015.04.30 13:00| ♪ ハンネス・ミンナール
たまたまHMVの新譜情報で見つけたオランダ人の若手ピアニスト、ハンネス・ミンナール(Hannes Minnaar)。
プロフィールを調べると、2008年のジュネーヴ国際音楽コンクール第2位、2010年のエリザベート王妃国際音楽コンクール(審査員のひとりがペーター・レーゼル)でコジュヒン、ボジャノフに次ぐ第3位。
アムステルダム音楽院でヤン・ウィーンに師事、2009年に最高位で卒業。
ジャック・ファン・オールトメルセンにオルガンも師事。
オランダの次世代ピアニストとして期待されているという。

ソロアルバム「ラフマニノフ&ラヴェル作品集」(Cobra Records)で、”オランダのグラミー賞”エジソン賞受賞。
5月発売予定の新譜は、オランダの指揮者、鬼才フリエンドと録音したベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番『皇帝』&第4番
昨年には、クーレンとベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲録音していた。
ソロアルバムの試聴ファイルやYoutubeでライブ映像を少し聴いただけで、ミンナールのピアノには強く惹きつけられるものがある。
とりわけ鮮やかに思ったのは、(バッハに限らず)両手というより3本の手で弾いているみたいに、声部の色彩感の違いが明瞭で、異なる旋律が語るような歌いまわしでそれぞれくっきりと聴こえてくるところ。

Bach InspirationsBach Inspirations
(2014/02/11)
Hannes Minnaar

試聴ファイル(Allmusic.com)

<収録曲>
J.S.バッハ(リスト編): 前奏曲とフーガ イ短調 BWV.543
J.S.バッハ(ブゾーニ編): コラール 《目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声》 BWV.645、コラール 《いざ来ませ、異邦人の救い主よ》 BWV.659、コラール 《いざ喜べ、尊きキリストのともがらよ》 BWV.734
フランク: 前奏曲, コラールとフーガ M.21
J.S.バッハ(ラフマニノフ編): 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ短調 BWV.1006より
J.S.バッハ(バウアー編): カンタータ第127番 《主イエス・キリスト、真の人にして神よ》 BWV.127
J.S.バッハ(ヴォーン・ウィリアムズ編): コラール 《ああ、われらと共に留まりたまえ、主イエス・キリストよ》 BWV.253、コラール前奏曲 《ああ、われらと共に留まりたまえ、主イエス・キリストよ》 BWV.649
リスト: BACHの主題による幻想曲とフーガ S.529(第2版)
グレインジャー: 陽気な鐘の音 after BWV.208
録音:2013年6月 Westvest90(スキーダム/オランダ)

このアルバムは、2014年1月のGramophone MagazineでEditor's Choiceとして選ばれている。CD評は”early contender for Gramophone instrumental record of the year. Why? The recorded piano sound is a real pleasure to hear; the programme is artfully conceived...lastly, every single performance by this 28-year-old Dutch pianist is out of the top drawer.”。(Presto Classical のCD紹介文)

バッハの編曲もののCDはたくさん持っているけれど、ミンナールの選曲はかなりユニーク。
ポピュラーなリスト、ブゾーニの編曲のほかに、彼らほどには知られていないフランクが入っていたり、ラフマニノフ、ヴォーン・ウィリアムズ、グレインジャーの曲はわりと珍しい。
曲名だけはよく知っているリストの「バッハの主題による幻想曲とフーガ」は最後までしっかり聴いた覚えが無い。

Vrije Geluiden(オランダのメジャーなテレビ音楽番組)の放送用ライブ映像で聴いても、試聴ファイルと印象は同じ。(CDの方が音が柔らかく残響がちょっとだけ多い)
一音一音の輪郭が明瞭でくっきりと粒立ち良く、やや硬質で丸みのある抜けの良い音がクリアに響く。
特に、残響が深く長い低音や持続音にもニュアンスが篭っていて印象的。
色彩感も声部ごとに違い、全ての旋律の響きが混濁することなく、立体的に聴こえるので、ミンナールの奏法はバッハ演奏にはぴったり。オルガンも学んでいたせいか、ポリフォニックに聴かせる。
ピアニスティックな派手さや繊細さに耽ったような凝った感情表現はしないけれど、ほどよい力強さと繊細さがうまく融合して、速めのテンポながら、歌心豊かで落ち着きのある爽やかな叙情感がとても心地良い味わい。
一番好きなユーディナのライブ録音と同じくらいに好きかも。

Hannes Minnaar - Bach/Liszt - Prelude and fuga in a

演奏場所となっている現代的なガラスウォール・ビルディングは、アムステルダムで有名なジャズのライブハウス"Bimhuis"。


こちらは、オランダを代表する女性ヴァイオリニスト、イザベル・ファン・クーレンとベートーヴェンフェスティバルのためのリハーサル風景。

Isabelle van Keulen & Hannes Minnaar - Beethoven's Complete Sonatas for Violin & Piano



今までのクーレンのヴァイオリン曲の録音では、ピアノが(”フォルテピアノ界の巨匠”と言われているらしい)ロナルド・ブラウティハムだったのに、今回のベートーヴェンでは、ずっと若いミンナール。
レーベルサイトにある試聴ファイルを聴くと、クーレンのヴァイオリンは線が細くて響きが薄めで(私には)特に印象的というわけではないけれど、ミンナールのピアノはかなりいい感触。
そのせいか、私の耳にはヴァイオリンの音が後ろに回ってピアノの音ばかり聴こえてくる。(もともとピアノを聴くのが目的なので、全然かまわない)
試聴ファイルを聴いていたら、どうしてもCDで全曲聴きたくなって、結局、バッハとベートーヴェンの両方ともオーダーしてしまった。

Beethoven: Complete Sonatas FoBeethoven: Complete Sonatas Fo
(2015/01/13)
Isabelle van Keulen / Hannes Minnaar

試聴ファイル(Challenge Classics)


<参考情報>
「オランダ、蘭学、ミンナール」[公益財団法人 武蔵野文化事業団]

タグ:ミンナール クーレン バッハ ベートーヴェン

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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