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食事摂取基準(2015年版) ~ コレステロールは摂取目標量を撤廃、たんぱく質は新設
栄養学は、「今日の非常識は明日の常識」の世界。
この言葉の元になったかどうかは定かではないけれど、日清食品の創業者である安藤百福は、「明日になれば、今日の非常識は常識になっている」と言ったという。
それを実証する例は多数あり、最近の一番良い実例が「コレステロール」。

脂質の一種であるコレステロールは、人間のあらゆる細胞を構成する物質で、特に、肝臓、脊髄、脳などに多数含まれている。
血中コレステロールの7~8割は体内で作られるので、食事の影響はもともと少ない。
それに、食事からの摂取量に応じて、体内で作られるコレステロール量が増減して、血液中の量をコントロールする調整機能が人間には備わっているという。

今までは、”脂質の一種であるコレステロールの過剰摂取は動脈硬化を引き起こす”などとして、厚生労働省は食事におけるコレステロールの摂取基準を設定していた。
しかし、今年4月、5年ぶりに改訂した「食事摂取基準」(2015年版)で、実はその基準設定には科学的根拠がなかったとして、規準を撤廃。
5月には、”血中の「悪玉」のコレステロールは心筋梗塞の引き起こす要因”と警告していた動脈硬化学会も、食事で体内のコレステロール値は大きく変わらないと表明。
(日本脂質栄養学会の方は、従来から「数値が高い人はむしろ長生き」と主張している。)

食物由来コレステロールのほとんどは動物性食品に含まれている。
1日食べる卵は1個だけと言われていたり、”低コレステロール”、”コレステロールゼロ”をうたった食品がいろいろ出ていたりするけれど、実際は、食事から摂取するコレステロールは健康には(悪い)影響がないというオチ。


「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書(ファイルリスト)
「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書(概要版)
「各論:脂質」
- 脂質、飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸について基準を設定。
- コレステロールの摂取量は低めに抑えることが好ましいものと考えられるものの、目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかったため、目標量の算定は控えた。
- ただし、コレステロールは動物性たんぱく質が多く含まれる食品に含まれるため、コレステロール摂取量を制限するとたんぱく質不足を生じ、特に高齢者において低栄養を生じる可能性があるので注意が必要である。


毎日のクリニック:コレステロール値、食事では変わらず 厚労省見解、学会が容認(毎日新聞、2015年05月02日)

「コレステロールの摂り過ぎは悪い」はウソ?市場規模2700億円の治療薬に影響はあるか(東洋経済オンライン、2015年04月23日)
- 日本動脈硬化学会の基準を元に推定すると、49~79歳の男性の約3分の1、女性では約半数もの人が脂質異常症ということになる。(⇒基準がおかしいのでは?)
- LDLコレステロールを下げるために、世界で最も広く使われている薬がスタチン(LDLコレステロール合成阻害剤:クレストール、メバロチン、リピトールなど)。2014年の国内市場規模(推定)で約2700億円。
- スタチンは、世界売上高ランキングで長年にわたってトップを占めていた超大型医薬品。

コレステロール値」の嘘 第1部 理事長を直撃! 「食事制限」はまったく無意味だった(Yahoo!ニュース、週刊現代)
コレステロール値」の嘘 第2部 健康診断の「コレステロール基準値」はこんなにいい加減。 血圧、血糖値に続いて、ここでも(同上)
「コレステロール値」の嘘 第3部 意味のない「コレステロール値」で儲けている人たち 利権になっていた(同上)
- 日本健康・栄養食品協会によると、特定保健用食品の市場規模は約6000億円。そのうちコレステロール値を下げると謳う食品の市場規模は約220億円。製品は、茶、青汁、豆乳、シリアル、マヨネーズ、etc.。


No.072  日本人の食事摂取基準(2015年版)について(田中消化器科クリニック)
2015年版での「耐容上限量」と「目標量」において大きく変更点がまとめられているので、わかりやすい。
- コレステロール:2010年版 750mg(30~49歳男性の値) ⇒ 2015年版 基準値設定なし
- タンパク質:基準を新設。当面目標とすべき摂取量は、摂取エネルギーに対して13~20%。

筋肉を育てるのに必要なエネルギーとタンパク質量は?[岩沢クリニック]
- 日本人の食事摂取基準(2015年版):たんぱく質の目標量は、1日のエネルギー量の13~20%。
- 日本糖尿病学会:標準体重(BMIが22の時の体重)1㎏あたりたんぱく質1.0~1.2gが妥当。

脂肪分は元々摂取量が少なく、コレステロール値も低いので、コレステロールの摂取基準は気にしていないけれど、タンパク質に摂取量の目標値(上限)が新設されたのは、今初めて知った。
報告書では「現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。」と記載されている一方で、「日本人を含む調査によれば、たんぱく質の過剰摂取が糖尿病や心血管疾患の発症リスク増加につながる可能性がある」とも書かれている。

摂取カロリーが1400kcal/日とすれば、タンパク質の目標摂取量は182kcal(約45g)~280kcal(約70g)。
今の食生活では、肉・卵・乳製品はあまり食べなくとも、大豆製品・ナッツ・魚のタンパク質を合わせれば、70gは軽く超えている。
かといって、たんぱく質を減らすとなると、炭水化物か脂肪を増やす必要があり、炭水化物はほどほど・MEC食(肉、卵、チーズ)はわずかという私の食生活では難しい。
今のところ、耐容上限量は設定されていないし、腎臓系の検査値に異常もなく、多量にとっているたんぱく質のおかげで筋肉質になって疲れにくくなったので、無理にたんぱく質を減らすつもりは全然ないのだけど。


<過去記事>:脂肪(コレステロール)は悪くない?

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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

愛聴するのはベートーヴェンとブラームス、それにバッハ。ロマン派ならリスト。​さらに現代(20​世紀)の音楽を探検中。特に好きなのはピアノ音楽(ソロ、コンチェルトに室内楽)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなピアノ曲:ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30・31・32番,ピアノ協奏曲第3番&第4番。ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番、ヘンデル変奏曲、後期ピアノ作品集。バッハ:パルティータ、フランス組曲、イギリス組曲

好きなヴァイオリン曲:バッハ・ベートーヴェン・ブラームスのヴァイオリンソナタ(ピアノ&ヴァイオリン)、シベリウス/ヴァイオリン協奏曲

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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