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(Mon)18:00

松崎 太『ベッカライ・ビオブロートのパン』 

本屋さんでたまたま見かけてパラパラと読んでみたところ、とっても面白くて買ってしまったのが『ベッカライ・ビオブロートのパン』。
著者は、芦屋でオーガニックの全粒粉パンのお店「ベッカライ・ビオブロート」を営むパン職人の松崎太さん。
この本と実際にお店で購入した人のブログを読むと、一度は食べてみたいな~という気になってくる。
芦屋なら電車で1時間くらいかかるので、まあパンを買うことはないと思うけど。何かの用事のついでに立ち寄れたとしても、予約して取り置きしていないと、売り切れていることもあるらしい。

<シニフィアン シニフィエ>のパンは、志賀シェフの本も読んだし、評判も良いけれど、何しろ通販で買うと送料がかかってかなり高いので、(お店で買っても高いけど)食べてみたいとは思わなかった。
「ベッカライ・ビオブロート」のパンは、全粒粉パンでも柔らかくて食べやすいようだし、これだけ良質の高価な材料を使っているわりにとてもお安いのが、良心的というか不思議なくらい。

松崎さんの留学先はドレスデン、修業先のベッカライはエーバーバッハという街にある。
ドレスデンといえば、カート・ヴォネガットの『スローターハウス5』のドレスデン空襲、ピアニストのレーゼルのホームベース。
エーバーバッハといえば、青池保子のスパイ漫画(とでもいうのか)『エロイカより愛をこめて』の主人公エーベルバッハ少佐の名前の由来となった街。(熱心なファンの日本人女性が時々訪れるので、現地の人たちは長らく不思議に思っていたという。)

ベッカライ・ビオブロートのパンベッカライ・ビオブロートのパン
(2014年9月1日)
松崎 太

目次(PDF)

ベッカライ・ビオブロートのパン(柴田書店の書籍紹介文)

第1章 「修業時代」
ごく普通の民間企業に就職してからパン職人に転職した経緯、個人経営のベーカリーショップでのパン職人生活、ドイツの「マイスター」になろうと決心してからの渡航準備の様子、ドレスデンの職業学校(ベルーフスシューレ)とヴァインハイムのマイスター学校での授業内容、並行してドイツ人が経営するベッカライでのパン作り修行、当時の苦しい生計と耐乏生活、ドイツでの一般的なパンの製法とパン職人の生活、旧東ドイツ時代の製法やシュタイナー主義に基づくパン作りとの出会いなどを通じて、自らが目指すべきパンづくりとは何かということを見出すまでの道筋が語られている。
- 有名な調理師学校グループの製パン専門学校の入試に落ちた(普通は滅多に不合格にはならない)
- 日本のパン職人は「」、理論からパン作りを考えるのではなく、現場の仕事を通じて覚える修業方法が受け入れられなかっ
- 「マイスター」学校なら、
- ドイツ語・英語がほとんどできない状態で、ドイツの職業学校に留学。最初はかなり苦労した。特に卒業試験で、パン以外の分野をドイツ語で勉強しなかければならかなったのは、苦労した思い出でしかない。
- 職業学校時代は授業料が無料。修行中のベッカライの給料が安くて生活がかなり苦しかった。
- 職業学校の試験で94人中トップで卒業したので、マイスター学校の修業年限が3年から1年に短縮された。ベッカライでの給料も5倍に上がったので生活が楽になった。
- ドイツのマイスター学校を卒業した今の奥さんとの出会い、彼女のビザが切れてしまったのが、日本へ帰るきっかけ。日本でベーカリーショップを開業するための準備。
- ドイツのパンは、イーストや添加物をたくさん使って効率的に焼くので、職人の労働環境は良いけれど、味は良くないという。
- 旧東ドイツ時代のじっくり発酵時間をとって焼いたパンの方が美味しかった。
- 古い東ドイツ時代のパンの教科書に載っていたのが、長時間発酵。隣国フランスでは一般的なパンの製法なのに、ドイツでは珍しい。
- 修業先でとてもユニークなベッカライ(ドイツ語でベーカリーのこと)は、シュタイナー教育の理念をパンづくりに取り入れたオーガニック(有機)パンを作っている   。小麦から石臼で自家挽きする。


第2章 「ベッカライ・ビオブロートのパン」
お店のコンセプト、パンの種類、1日のパン作りのスケジュール、休日の取り方から、道具(石挽き臼、石窯)、原材料・製法(レシピ、パン酵母、小麦粉、モルト、サワー種、湯種、臼挽き、窯焼きなど)まで、苦労して試行錯誤した点からコツまで詳しく書かれている。
もっぱらHBでパンを焼いている私でも、読んでいるだけでも面白いし、応用できるところや役に立つ情報もいろいろ載っている。
作りたくないパンを売るつもりはないので、普通のベーカリーショップに比べると、パンの種類がかなり少ない。オーガニックの全粒粉パンを中心にサイズ違いも含めて16種類。
実際のお店の情報をウェブサイトで探してみると、オーガニックの材料を使っているわりには、かなり価格は安い。

お店で使っている酵母は、ドイツ産の有機酵母「Bioreal」。
amazonやカルディコーヒーファームでも販売しているので、カルディでお試し用に9gの小袋サイズを買ってみた。
本に書かれていた通り、もともと発酵力は強くはないので、低温だと発酵しにくい。
ホシノ天然酵母みたいに酵母の味が強く出ないので、まろやかな味わいでクセがない。
発酵力が弱くて、価格も高いし、オーガニックという点に拘りはないので(小麦粉もオーガニックにしないと意味はないと思うので)、リピートせず。

<関連記事>風と光/有機穀物で作った天然酵母


<参考情報>
ベッカライ ビオブロート【芦屋】(パン/パン屋さん取材レポート/Allabout)
「戦後、ドイツでも機械化が進んで、扱いやすいようにとパンの水分量を少なくしているし、発酵時間を減らすためにイーストフード(添加物)が多用されるようになってきています。どこもそういうものなのかと思ったら、行列ができているパン屋さんがあって、そこのパンは昔ながらの製法で水分量が多く、しっとりしていたんです。昔は加水率が高く、生地を柔らかくして、発酵時間もきちんととってパンを作っていたんですよ」。
- トーストブロートとラントブロート(田舎パン)を除く、ほとんどすべてのパンが全粒粉100%。無農薬の有機の玄麦を石臼で自家製粉。
- パンはサイズの大小を勘定に入れても17種類。ライ麦パンはなし。
- 加水はだいたい89~90%。湯種(小麦粉の一部をお湯で溶く製法)でも調整。
- 現代の設備で昔のやり方に近づける製法。
- 酵母は、有機小麦を天然水で培養したドイツ産のオーガニックイースト。

ベッカライ ビオブロート~挽きたて全粒粉パンとの出会い[珈琲処豆屋厳選!!逸品館]
-「全粒粉100%の美味しいパンを焼きたいと思ったら、必ず「挽きたて」を使わないと胚芽にある油脂分がどんどん酸化して劣化する。」

2冊の本、2人のパン職人 松崎太著『ベッカライ・ビオブロートのパン』[2014.11.28,パンラボ]
「小麦ヌーヴォー解禁祭りin東京」出品FILE06 ベッカライ・ビオブロート[2014.09.26,パンラボ]

松崎太さん(ドイツパンマイスター BÄCKEREI BIOBROT)[palashio,2013.09.07]

ベッカライ・ビオブロート冷凍パン(通販)[ビオフロレスタ(むそう商事)]
わざわざ電車に乗って芦屋のお店に買いに行くなら、通販で買った方がはやい。でも、なかなか入荷しないらしく、いつ見ても品切れ。
電車代とクール便送料はほぼ同じなので、梅田に出たついでに芦屋のお店まで買いに行くしかない?


「ベッカライ・ビオブロート」のクノーテンレシピ
粉300gに対して、有機天然酵母9g(3%)。酵母量が異様に多いので、発酵力の弱いBiorealでも短時間で発酵する。

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