ペーター・レーゼル『楽興の時~ピアノ小品集』(試聴ファイルあり) 

2015, 06. 04 (Thu) 00:00

最新記事:ペーター・レーゼル『楽興の時~ピアノ小品集』(2015.06.09)

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レーゼルの新譜『楽興の時~ピアノ小品集』の試聴ファイルがようやく公開されたので、早速試聴。
収録曲の最後に、聴いたことがないシチェドリンの《ユーモレスク》がなぜか追加されていた。(ボーナストラック代わり?)
ドビュッシーの《子供の領分》みたいにユーモラスなんだけど、ちょっと間抜けなところがヒョウキンというか何と言うか...。

今まで収録曲リストだけ見ていると、あまり買う気が起こらなかったのに、試聴ファイルの最初の1曲を聴いただけで、購買意欲がいたく刺激されてしまった。
レーゼルらしい濁りのないクリアな音は、ほんのりと温かみがあって、柔らかくて優しい。
短調でも、陰翳が暗く深くはないので、抑制のきいた哀感がさらさらと流れる。
甘すぎず・重たすぎず・淡白すぎず、足さない・引かない・余計なことはしないという自然体の如く。
繊細さに耽溺せず明晰でありつつ、ほどよい叙情感と気品が漂っている。
今まで何度も聴いている曲がほとんどだし、ピアニスティックで技巧華やかな曲もあまりないし、特に好きな曲も少ないのに、レーゼルのピアノの音と演奏があまりに魅惑的すぎて、まるで磁石のように音の世界に引き込まれてしまう。
名曲とはいえ技巧華やかなりしところもないシンプルな小品をこれほど聴かせてくれるのは凄い。やはりレーゼルの音と演奏の魔力は恐るべし。
気の変わりやすい私は、もうほとんどCD買う気になっている...。(と書いている間に、さっき注文してしまいました)


楽興の時~ピアノ小品集楽興の時~ピアノ小品集
(2015年06月03日)
ペーター・レーゼル

試聴ファイル(e-onkyo.music)

<収録曲>
● フランス組曲第5番~ガボット ト長調(J.S.バッハ)
● ピアノ・ソナタ K.331~トルコ行進曲(モーツァルト)
● ロンド op.51-1(ベートーヴェン)
● エリーゼのために(ベートーヴェン)
● ワルツ イ短調 op.34-2(ショパン)
● 無言歌集 op.62-6『春の歌』(メンデルスゾーン)
● 抒情小品集 第5集~小人の行進(グリーグ)
● 抒情小品集 第5集~夜想曲(グリーグ)
● 子供の情景 op.15~トロイメライ(シューマン)
● 子供の情景 op.15~見知らぬ国と人びとから(シューマン)
● 四季 op.37a~舟歌(チャイコフスキー)
● ユーモレスクop.10-2(チャイコフスキー)
● 即興曲 変イ長調 D.935-2(シューベルト)
● 楽興の時 ヘ短調 D.780-3(シューベルト)
● 舞踏への勧誘 op.65(ウェーバー)
● 楽興の時 op.16-5(ラフマニノフ)
● スペイン組曲『アンダルシア』~コルドバ(レクオーナ)
● スペイン組曲『アンダルシア』~マラゲーニャ(レクオーナ)
● ユーモレスク(シチェドリン)

<CD紹介文>
「凛と美しい円熟のきわみ
立ち姿の美しい──しかし、穏やかな微笑みにもウィットのひらめく語り口。自然に聴き手を惹きこんでやまない音楽だ。聴いていると身体がふわっとリラックスしながら、耳は心地良く澄んでゆくような‥‥。
ペーター・レーゼルの音楽は、飾らない。しかしそれでいて、なんと豊かな時間が生まれることだろう。凛と美しい円熟のきわみにある芸術家だからこそ可能な、絶妙なシンプル。この透明感とあたたかみは、深い知性と情感のバランスに優れた名匠ならではだ。」


試聴しただけでも、本当にこの紹介文どおりの演奏。(的を射た録音評に妙に感心してしまった)
冒頭を聴いて気に入ったのは、
バッハ「ガボット」 : 短調の曲の方が好きなフランス組曲。レーゼルの演奏ならどの曲でも聴けそう。
ベートーヴェン「ロンド」 : ベートーヴェンの小品は、優しさがぽろぽろと零れ落ちてくる。
ショパン「ワルツ」 : 珍しいレーゼルのショパン。ワルツ集は演奏者(アンダとハフ)によっては好き。
グリーグ「小人の行進、夜想曲」 : ハフのスタイリッシュで現代的な演奏とはちょっと違った味わい。
メンデルスゾーン「春の歌」 : バタバタして落ち着きなく聴こえるのでいつもは聴かない。レーゼルの優雅な演奏だと雰囲気が違って、これは素敵。
チャイコフスキー「舟歌」 : チャイコフスキーはどんよりした憂愁漂うのでほとんど合わない。レーゼルの演奏なら聴けそう。
シューベルト「即興曲」 : このアルバムのなかで一番心魅かれる演奏。曲としては、D899-3と同じくらいに好き。
レクオーナ「スペイン組曲」 : パッショネイトな曲自体が好き。珍しい曲だけど、レーゼルの選曲が良かった。
シチェドリン「ユーモレスク」 : なんだか間が抜けている(ように聴こえる)ところが面白い。これを最後に持ってきたのが、レーゼルのユーモア。

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4 Comments

passo  

おはようございます

視聴ファイル、聴きました。
ベートーヴェンのボレロも入っていたのですね。
わたしは今、この曲を弾いているのですが、リヒテルの演奏しか持っていないので、この曲を視聴して、ぜひ買わねばと思いました。リヒテルとも違う、透明感のある柔らかさですね。真似することは出来ないけれど、全部聴いてみたくなりました。
最後のユーモレスクは初めて聞きました。コンサートのアンコール曲みたいで面白いですね。スペイン組曲も、カッコイイですね。
いろいろな曲が混ざっているので購入する気はなかったのですが、視聴してみて買うことに決めました。早速今夜、注文しようかな。

2015/06/04 (Thu) 07:20 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

音と演奏の魔力

passo様、こんにちは。

ベートーヴェンの「ロンド」は練習したことがないのですが、曲はとても好きです。
小品なら最後のバガテル集も好きだったので、第1番と第5番はよく弾いていました。
リヒテルとレーゼルはタッチとピアニズムが随分違うので、曲の印象も変わりますね。
レーゼルも若い頃と比べると、透明感のある音に柔らかさが加わって、ずっと美しく聴こえてきます。

シチェドリンの「ユーモレスク」は面白いですね~。発売後に曲目が追加されていたのは、ちょっとしたサプライズです。
「スペイン組曲」も情熱的でノリの良い曲ですし、知らない曲でも好きになれる曲がいくつか入っているのが嬉しいです。

曲目だけみるともうひとつ惹かれなかったのですが(価格も高いですし)、試聴すると俄然聴きたくなりますよね。
ポピュラー(すぎる)シンプルな小品をこれだけ揃えたというのは、レーゼルの自信の表れなのかも。
私はamazonで注文したので、届くまで1週間以上かかりそうです。

2015/06/04 (Thu) 12:27 | EDIT | REPLY |   

芳野達司  

こんばんは。
視聴って、ほとんど聴いたことがないのですが、こんなふうに全曲のそれぞれ出だしを聴けるのですね。
最初のガヴォットにやられました。昨年の秋に聴いたレーゼルの姿が眼前に蘇りましたね。
独特の硬質な響きが、高貴で芳しい。
単なる名曲ピースとは、格が違います。
参りました!

2015/06/05 (Fri) 23:10 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

 

芳野様、こんばんは。

もしかして、いつも試聴せずにCDを買われているのでしょうか。
試聴ファイルは、普通は冒頭部分が30秒間だけ聴けます。(協奏曲だと30秒だけではほとんど役に立ちませんが)
レーベルサイトにある試聴ファイルだと1分間聴ける場合もありますし、BISなら新しいCD以外は全曲(CD全部)聴けてしまいます。

私は演奏者が誰であっても(それがカッチェンやハフであっても)、試聴ファイルがある場合は、必ず聴いてからCDを買うかどうか決めてます。
試聴したときに良い感触だと、CDで聴いても期待にたがわず(それ以上に)良いことがほとんどなので、ハズレることがほぼなくなりました。

レーゼルの新譜も、試聴ファイルを聴いただけで、すっかり参ってしまいますね!
こういうこともあるので、試聴ファイルは今回も役に立ってくれました。
若手ピアニストは、技巧華やかなりし曲をたくさん詰め込んだオムニバスアルバムをよく出していますが、それとは正反対の選曲でここまで聴かせるとは、やはりレーゼルは凄い。
ベートーヴェンのソナタの録音以降、さらに磨きがかかったというか、深化したというか...、ブラームスのコンチェルトと独奏曲集もぜひ(再)録音して欲しいです。

2015/06/06 (Sat) 00:43 | EDIT | REPLY |   

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