レーゼル ~ メンデルスゾーン/ピアノ協奏曲第1番 

2015, 06. 14 (Sun) 18:00

とても珍しいレーゼルのライブ映像を見ることができるのは、ライプチヒのゲヴァンハウスで行った1997年の演奏会。
伴奏はマズア指揮ライプチヒゲヴァントハウス管。旧東ドイツ時代には、この顔合わせで国内外の演奏会でよく協奏曲を演奏していたという。
(ベルリンの壁崩壊後、マズアは1991年から2002年までニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督・指揮者に就任している。)

ロマン派のなかでは、もう一つ有名ではない(と思う)ピアノ協奏曲第1番は、ルドルフ・ゼルキンが得意としていたレパートリー。
レーゼルは、スタジオ録音もライブ録音も残していないので、このライブ映像は貴重。
残念ながら、とても好きな両端楽章のうち、第1楽章だけは演奏せず。
夢見るようなアンダンテの第2楽章は安息感に満ちて美しく、第3楽章は軽快なリズムと流麗な旋律で鍵盤上を駆け回って、とても華やか。
ピアニスティックで躍動的でパッショネイトな第3楽章。
力強いタッチでばたばたと賑やかに弾く人が結構多いけれど、レーゼルはばたつくことなく、粒立ちの良い軽やかなタッチと滑らかなフレージングで品良く爽やか。緩徐部分でも逸ることなく、透明感のある響きと落ち着いた歌い回しが綺麗。
久しぶりに聴いたメンデルスゾーンは、音楽もレーゼルの演奏もとても素敵。

ピアノ協奏曲は、第2楽章(20:37~)と第3楽章(26:34~)のみ。

MENDELSSOHN-MATINEE des Gewandhausorchesters Leipzig, 1997 (0:57 HD)



レーゼルは、急送楽章でも(跳躍の多いパッセージでも)非常に動きの少ない安定した姿勢。
上半身の動きが少なく、スタッカートでもレガートでも、手の甲が低い位置で安定していて、指先の動きも全く無駄なく滑らか。
フォルテでも跳躍でも、肘の位置はほとんど変わらず、手の甲がちょっと上がるくらいで、それでも、芯のある粒立ち良い音で、音量も力感もしっかりあるので、指のコントロール力が凄い。
手指の動きに全く無駄がないので、ミスタッチがほとんどないし、低い位置から打鍵するので上部雑音も少ない。
レーゼルの精密なメカニックと澄んだ音色は、この姿勢と奏法から生まれるのだと映像を見て納得。
6年くらい前の来日リサイタルでワルトシュタインソナタを弾いているライブ映像を見たことがあり、演奏する姿はこの映像と同じだった。たぶん若い頃からこういう姿勢だったに違いない。
奏法は変わっていなくても、新譜の『楽興の時~ピアノ小品集』を聴くと、昔の録音と比べて音の柔らかさや響きの美しさにさらに磨きがかかって、うっとりと聴き惚れるくらいに綺麗。

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