2015_06
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(Wed)00:00

メンデルスゾーンのピアノ独奏曲 

メンデルスゾーンが残したピアノ独奏曲は約200曲。そのなかでは、《無言歌集》が飛びぬけてポピュラー。
昔から《無言歌集》は弾いても聴いても好きになれなかったけれど、他の曲は、ピアノ協奏曲と独奏曲に加えて、ピアノ三重奏曲、交響曲、ヴァイオリン協奏曲、《フィンガルの洞窟》、など、好きな曲が多い。
ピアノ作品で《無言歌集》のほかに比較的有名な曲がいくつか。

ロンド・カプリチオーソ Op.14(1824年)
メンデルスゾーンのピアノ独奏曲のなかでは、《無言歌集》を別にすれば、一番有名。
6分ほどの短い曲のわりに、美しくドラマティックで、かなり弾き映えする。
メンデルスゾーンの曲は、序奏と主要部の2部構成の曲が多い。
ホ長調の序奏は、ゆったりしたテンポで優美なアンダンテ。
続いてのロ短調の主要部は急速なエチュード風。歌うような旋律の長調に頻繁に転調するので、どちらかというと色調は明るい。

シフラの《ロンド・カプリチオーソ》は、とても端正で優美なメンデルスゾーン。
特にロ短調のprestoは速めのテンポながら軽やかなタッチで、ばたばたと騒がしくなることなく、旋律を綺麗に歌わせている。
シフラはもっと派手に弾く人だと思っていたので、ちょっと意外だった。

CZIFFRA Plays Mendelssohn Rondo Capriccioso




厳格な変奏曲 Op.54(1841年)(ピティナの作品解説)
ボンに建立するベートーヴェン記念像の資金調達を目的とする楽譜出版のために書かれた曲。
1835年にフランツ・リストなどが中心となって、ベートーヴェン記念銅像を経てる計画を立てたが、建設資金が不足していたらしく、リストが多額の寄付をしたり、発起人の一人だったシューマンは寄附集めを目的に1838年に《幻想曲》を作曲していた。
1841年にウィーンの出版社メケッティも建設資金調達のため、楽譜集「ベートーヴェン・アルバム」製作を企画。
当時の人気作曲家10人(メンデルスゾーン、ショパン、チェルニー、リストなど)に、アルバムへの作品提供を依頼。
シューマンは『幻想曲』、ショパンは依頼直前に完成していた《前奏曲嬰ハ短調作品45》(24の前奏曲とは別の作品)を提供。
メンデルスゾーンは、新たに《厳格な変奏曲》を書いた。主題、17の変奏、コーダで構成。
変奏曲はほとんど書かなかったメンデルスゾーンが、変奏曲を作曲したのは、変奏曲の名手だったベートーヴェンへのオマージュなのかも。
タイトルどおり陰翳が濃く張り詰めたものが漂うシリアスなところは、ベートーヴェンの『自作主題による32の変奏曲』を連想する。

この曲を初めて聴いたのは、スティーヴン・ハフのコンセプトアルバム『In Recital』
アルバムには、2007~2008年にかけて、実際のリサイタルで弾いた曲目がスタジオ録音として収録されている。
このライブ音源2008年のリサイタルのもの。

Stephen Hough plays Mendelssohn - LIVE (live recital at the Louvre in 2008)



幻想曲 嬰ヘ短調「スコットランド・ソナタ Op.28(1833年)(ピティナの作品解説)
原題は、 ”Fantasie (Sonate écossaise)”。”écossaisein”とは、フランス語で「Scottish/スコットランドの」という意味。
スコットランド旅行の印象をもとに帰国後まもなく完成。旅行中には交響曲第3番「スコットランド」も着想している。
陰影に富んだロマンティックな曲で、メロディアスな旋律と(特にアルペジオの)ファンタジックな響きが美しい。
第1楽章の叙情的で幻想的な曲想は、スコットランドの陰鬱な気候のように物寂しい。対照的に第2楽章は楽しい旅のスケッチみたいに快活。
第3楽章はフィナーレらしく、荒い波が打ち寄せるように力強く、技巧華やかでとてもピアニスティック。

Murray Perahia - Felix Mendelssohn, Fantasy in F#- ("Scottish Sonata") Op.28




6つの前奏曲とフーガOp.35(1827-1837年)(ピティナの作品解説)
バッハの作品に習って書かれたという6曲の「前奏曲とフーガ」。
短調と長調を交互にして6曲を配置しているので、明暗のコントラストが鮮やか。
《6つの前奏曲とフーガ》のなかで、演奏機会が一番多いのは第1番。(第5番も比較的よく弾かれるらしい。)
ホ短調の第1番のプレリュードは、波が打ち寄せるようなアルペジオに乗せて歌う主旋律が力強く叙情的。
プレリュードはペライアの方がアルペジオが美しく響くけれど、フーガはゼルキンの方が響きが重なり合って荘重でバッハに近い感じがする。

Serkin plays Mendelssohn Prelude & Fugue in E minor, op.35 no.1



私が一番好きなのは、メンデルスゾーンらしい幸福感溢れる変イ長調の第4番。
折り重なっていく響きが、ハープのようでもあり、フォルテピアノのレトロの響きのようにも聴こえて、とても美しい。
曲想と和声の響きが、シューマンの《ペダルフリューゲルのためのカノン形式の練習曲》によく似ている。

Mendelssohn / Annie D'Arco, 1960: Six Preludes and Fugues - Op. 35, No. 4 in A-flat
(動画の英文曲名「No. 5 in F minor」は間違い。正しくは、「No.4 in A-flat」)


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