ユーリ・エゴロフ・メモリアルコンサート (Young Pianist Festival in 2013) 

2015, 07. 18 (Sat) 18:00

コロリオフの情報を探していて見つけたのは、Young Pianist Foundation (YPF) が主催している”Young Pianist Festival”のプログラムのひとつであるユーリ・エゴロフ・メモリアルコンサートのライブ映像。

ユーリ・エゴロフは、ソ連から亡命してアムステルダムに移住したピアニスト。エイズの合併症により33歳で早世。
その後、Dick Swaanを初代議長として、Youri Egorov Foundationが設立された。
Youri Egorov Foundationは、若手ピアニスト支援のために、エゴロフの遺産管理をYoung Pianist Foundationに委託している。

Young Pianist Foundation は、プロのピアニスト育成を目的として、Marcel Baudetによって1999年に設立。
(Marcel Baudetは、Amsterdam Conservatory、Yehudi Menuhin Schoolのピアノ科教授。1982~2011年にわたってハーグのRoyal Conservatoryでも教えていた)

Young Pianist Foundationが開催する”Young Pianist Festival”では、国際ピアノコンクール、レクチャー、マスタークラス、現役のプロピアニストによる演奏会を開催している。
2013年のYoung Pianist Festivalの演奏会に登場したのは、アンヌ・ケフェレック、エミール・ナウモフ、ボリス・ベルマン、エフゲニー・コロリオフ、ホルヘ・ルイス・プラッツ。
5人がそれぞれソロリサイタルを行い、さらに5人が3台のピアノで合奏するという珍しい演奏まで入っている。

コロリオフはもちろん、ケフェレックとベルマンは聴いたことがある。ナウモフとプラッツは名前は知っていても聴いたのはこれが初めて。
面白いのが、3台のピアノを使った10手連弾(というのかわからないけど)。
これだけ細かいパッセージを速いテンポで弾いても、縦の線がばらばらと乱れずに、ごちゃごちゃと混濁することなく淀みなく流れのがさすが。
曲名はプログラムにも載っていないのでわからない。アンコールでも最初と同じ曲を弾いているらしい。

Prats, Queffélec, Naoumoff, Berman, Koroliov - Live Concert - HD



Anne Queffélec - Bach & Händel - Live Concert - HD

1.Johann Sebastian Bach/Ferrucio Busoni Nun komm der Heiden Heiland BWV659a
2.Alessandro Marcello/Johann Sebastian Bach Adagio, uit Hoboconcert in d BWV974
3.Antonio Vivaldi/Johann Sebastian Bach Largo, uit Orgelconcert in d BWV596
4.Georg Friedrich Händel/Wilhelm Kempff Menuet uit Suite in Bes HWV434

ケフェレックが弾いた曲のなかで特に美しいのが、2曲目(5:07~)の「アダージョ」。(この曲は聴いたことがなかった)
イタリア人作曲家アレッサンドロ・マルチェッロの代表作《オーボエ協奏曲ニ短調》をバッハがチェンバロ曲(BWV974)に編曲したもの。
同じくらいに美しいのは、4曲目(12:50~)のケンプ編曲によるヘンデルの《チェンバロ組曲HWV.434》のメヌエットト短調。


Emile Naoumoff - Maurice Ravel Valses Nobles et Sentimentales - Live Concert - HD

エミール・ナウモフは、ブルガリア生まれの作曲家・ピアニストで、 ナディア・ブーランジェのお弟子さん。


Boris Berman - Sergej Prokofjev Sonate nr. 5 - Live Concert - HD

プロコフィエフの第5ソナタは、勇名な第7番や第6番・第8番に比べると、演奏しているのをあまり聴いたことがない。
ピアノ協奏曲第2番に出てくるような旋律があったり、ちょっと摩訶不思議な楽しさがあったりして、結構面白い曲。
初版が1923年(Op.38)、改訂版が1953年(Op.135)で、今でも両方の版が演奏されているらしい。
この曲はそれほどしっかり聴いたことはないので、楽譜を見ないとどちらの版を演奏しているのかわからない。

Evgeni Koroliov - Claude Debussy Préludes - Live Concert - HD

Claude Debussy/Préludes Des pas sur la neige, Dance de Puck, Minstrels, Canope, Les tierces alternées, Feux d'artifice

珍しいコロリオフのドビュッシー。”バッハ弾き”というイメージがあるので、全く奏法の違うドビュッシーには興味はあったけれど、CDでは聴いたことがなかった。粒の揃った折り目正しく明晰なドビュッシー...みたいな感じ。


Jorge Luis Prats - Vitier, Ravel & Bortkiewicz - Live Concert - HD

Jose Maria Vitier/ Sofia
Sergei Bortkiewicz/ Etude op. 15 nr. 8 in Des
Maurice/ Ravel La Valse

とても印象的なのは、叙情美しくもパッショネイトなホセ・マリア・ ビティエールの” Sofia”。
セルゲイ・ボルトキエヴィッチの”Etude”も、ラフマニノフ風の古きよき時代を髣髴するような濃厚なロマンティシズムが優雅で美しい。

ホルヘ・ルイス・プラッツ Jorge Luis Prats PROFILE(KAJIMOTOホームページ)
Jose Ma Vitier(ホセ・マリア・ ビティエール )は、キューバ音楽界の重鎮で、作曲家・鍵盤奏者。キューバのシンフォニック・プログレッシブ・バンドGrupo Sintesisにも在籍したことがある。


<関連サイト>
Young Pianists Festival in november 2015
Pianists Festival Foundation

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2 Comments

ANNA  

yoshimiさん、こんばんは。

ユーリ・エゴロフ コンサート、聴かせていただきました。
普段バロック時代の音楽をよく聴いているからでしょうか。ケフェレックのプログラムが、特に気に入って繰り返し聴いてました。
yoshimiさんがおっしゃるように
バッハ編曲マルチェッロの「オーボエ協奏曲 ニ短調」それから、
ケンプ編曲ヘンデルの「チェンバロ組曲」よりメヌエット ト短調
の美しさが心に響きました。
こういう少ない音で構成された音楽を、しみじみと「聴かせる」ところは、さすが演奏家ですね。
おかげさまで、素晴らしいコンサートを聴くことができました。
yoshimiさん、いつもありがとうございます!

2015/07/20 (Mon) 21:52 | REPLY |   

yoshimi  

ケフェレック、しみじみとしていいですね

ANNAさん、こんばんは。

偶然見つけたメモリアルコンサートでしたが、思わぬ目っけものでした。
ケフェレックというと”ショパン弾き”のイメージがあるのですが、ケフェレックのプログラムが最もエゴロフの追悼コンサートらしい選曲ですね。

「アダージョ」はとても綺麗な曲ですね。バッハがこういう編曲を書いていたのは知りませんでした。
ヘンデルのメヌエットの方は、ケンプ自身が録音しているので聴いたことがありますが、何度聴いても哀感漂う美しい曲です。
美しく気品のある曲にケフェレックの演奏がぴったり合っています。

ケフェレックのバロックは、ケンプやコロリオフとは違って、厳粛さや構築性とかは薄い気はしますが、優しく語りかけるような柔らかさと親密感があって、こういう弾き方もいいなあと思わせられました。
4曲ともゆったりとして似たような雰囲気があるのですが、緩徐楽章苦手な私が全く単調さを感じることなく、音楽のなかに惹き込まれてしまいました。
これもケフェレックの演奏の素晴らしさのなせるわざですね。
メモリアルコンサートに相応しい演奏でした。

2015/07/21 (Tue) 01:54 | EDIT | REPLY |   

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