アファナシエフ 『Homages & Ecstasies』

ここ10年くらいに録音したアファナシエフの演奏なら、昔と違って私の好みにかなり合いそうなので、いくつか試聴。
そのなかでは、『Homages & Ecstasies』が選曲・演奏とも感触がかなり良かった。
たしか発売当初に試聴した記憶はあるのだけど、アファナシエフのブラームスが全く合わなかったのでマイナスのバイアスもかかっていたせいか、その時はあまりピンと来くものがなく。
私の好み(と気分)もその頃とは変わっているので、CDで全曲聴いてみると印象が随分違っていた。

オマージュ&エクスタシーオマージュ&エクスタシー
(2009/12/23)
オマージュ&エクスタシー

試聴ファイル
 

1. グレン・グールドへのオマージュ:フローベルガー/トンボー
2. グレン・グールドへのオマージュ:ワーグナー/エルザの夢 (ローエングリンより)
3. セルゲイ・ラフマニノフへのオマージュ:ラフマニノフ/前奏曲 ト長調 作品32の5
4. セルゲイ・ラフマニノフへのオマージュ:ラフマニノフ/前奏曲 嬰ト短調 作品32の12
5. ウラジーミル・ソフロニツキーへのオマージュ:スクリャービン/前奏曲 イ短調 作品11の2
6. ウラジーミル・ソフロニツキーへのオマージュ:スクリャービン/前奏曲 ホ短調 作品11の4
7. ウラジーミル・ソフロニツキーへのオマージュ:スクリャービン/前奏曲 嬰ハ短調 作品11の10
8. ウラジーミル・ホロヴィッツへのオマージュ:シューマン/クララ・ヴィークの主題による変奏曲 (ピアノ・ソナタ 第3番 作品14より 第3楽章)
9. エミール・ギレリスへのオマージュ:グリーグ/ちょうちょう (抒情小曲集 作品43の1)
10. エミール・ギレリスへのオマージュ:グリーグ/孤独なさすらい人 (抒情小曲集 作品43の2)
11. アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリへのオマージュ:ショパン/マズルカ ヘ短調 (J.エキエル版)
12. アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリへのオマージュ:ドビュッシー/雪の上の足跡 (前奏曲集第1巻より 第6曲)
13. オマージュ:リスト/コンソレーション第3番
14. オマージュ:リスト/コンソレーション第5番
15. オマージュ:チャイコフスキー/舟歌 (≪四季≫より 6月)
16. オマージュ:ワーグナー/(主題) 変イ長調 WWV93

選曲は、曲自体に関連性があるのではなく、オマージュしているピアニストに関連性がある曲を収録している。
叙情美しい曲も多いので、秋の季節に聴くアルバムにぴったりかも。
硬質で輪郭のはっきりした音に湿り気があるせいか、クリアで瑞々しい音が綺麗。
でも、流麗というよりは、ゴツゴツとしたひっかかりのあるフレージングなので、他のピアニスト(ハフ、レーゼル、ソコロフなど)の演奏とは違った感覚がする。

気に入ったのは、元々曲が好きな曲なら、スクリャービンの前奏曲3曲、グリーグの《蝶々》と《孤独なさすらい人》、チャイコフスキーの《舟歌》。
スクリャービンの前奏曲では、アファナシエフの硬質の冷んやりした響きが良く映えて、密やかな叙情感もさっぱり。
最初の2曲(第2番、第4番)は、スクリャービンらしい曲。3曲目(第10番)は、何度聴いてもヤナーチェクを聴いている気がする。

afanassiev - 5 - 7. scriabin - preludes, op. 11 nos 2, 4, 10




《舟歌》は、主題部分はそれほどべったりと憂愁濃くはないところが私には良い。
後半に長調に転調して盛り上がるところでも、テンポも遅めでまったりと足取りが重い。
弾けるような煌きや晴れやかさがあまりないけれど、こういう弾き方があっても良いかと。

afanassiev - 15. tchaikovsky - barcarolle





さらに、印象が随分変わったのは、さほど好きでもなかったリストの《コンソレーション第3番》。
耳触りの良い甘くてロマンティックな曲だと思っていたら、そこはかとなく寂寥感が漂って、まるで侘び寂びの世界。
若い頃のエッシェンバッハなら、こういう風に弾いたに違いないと思えるような物寂しさ。(こういう弾き方はわりと好きなので)

afanassiev - 13 - 14. liszt - consolations nos. 3, 5

タグ:アファナシエフ ラフマニノフ スクリャービン シューマン グリーグ リスト チャイコフスキー ワーグナー

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

コメント

エクスタシーというタイトルに惹かれて
やってきました。でも、
「 オマージュ」は理解できますが、それに続く「エクスタシー」が
理解できません。

賛美が高度に昇華されると、無我の境地になるという意味で
恍惚・無我の域に行くのでしょうか?
そんなことを考えながら、このCDを引っ張りだして
ホロビッツのエクスタシーに妄想を抱きました(シューマン)。





 

takataka様、こんばんは。

タイトルのことは気にせず聴いていましたが、アファナシエフが書いているライナーノートを読むと、ミケランジェリのシャコンヌのライブを聴いてショックを受けたと書いてますね。
芸術家である演奏家とそうではないリスナーでは、感性も体験もかなり異なるものがあるのではないかと思いますが、「エクスタシー」という言葉が意味するものが、”虜になる”とか”(音楽に)没入する”という種類のものであれば、音楽を聴いていて体験できることでしょうね。
残念ながら、このCDではそういう強烈な体験はできませんでしたが、ベートーヴェンの後期ソナタ集ではそれに近いものがあったように思います。

こんにちは。
私もアファナシエフにたいして全面的に好きというわけではありません。ブラームスもシューベルトもベートーヴェンも。考え抜かれた工夫を感じるものの、音楽の流れがいまひとつよくないと感じ、なんだか歯がゆい思いです。
このディスクは面白そうです。いやゆる名人に思いを馳せた演奏なのですね。

 

芳野様、こんばんは。

以前と比べれば、最近はテンポも上がって、陰鬱さも薄れていますので、このアルバムも普通に聴けました。
ピアニストにしては、内面を吐露するかのように訥々としたフレージングなので、流麗というわけではないですね。
高橋悠治にちょっと似ているところがありますから、私はこういう弾き方はわりと好きなので、まあ抵抗なく聴けます。

このアルバムは選曲が面白いですね。
たぶん、オマージュしているピアニストが録音・演奏した曲を弾いているのでしょうね。
グリーグはハフやレーゼルの演奏とも違ったところがありますし、スクリャービンは情念ベタベタではなくて聴きやすく、苦手のシューマンとワーグナー以外は面白く聴けました。
そういえば、シューマンの曲は、ブラームスの《シューマンの主題による変奏曲》を連想しました。
非公開コメント

◆カレンダー◆

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

◆ブログ内検索◆

◆最近の記事◆

◆最近のコメント◆

◆カテゴリー◆

◆タグリスト◆

マウスホイールでスクロールします

◆月別アーカイブ◆

MONTHLY

◆記事 Title List◆

全ての記事を表示する

◆リンク (☆:相互リンク)◆

◆FC2カウンター◆

◆プロフィール◆

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

◆お知らせ◆

ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿と思われるコメントや、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。