エングルンド/ピアノ協奏曲とピアノ独奏曲 

2015, 11. 20 (Fri) 18:00

2016年が生誕100年にあたるフィンランドの作曲家エイナル・エングルンド。
名前くらいしか知らなかったので、少し調べてみると、ピアニストとしても有名な人だった。
作品数は多くはないけれど、ピアノ協奏曲やピアノ・ソナタ、ピアノ独奏曲などの曲を残している。
最も有名な《ピアノ協奏曲第1番》を聴いてみると、第1楽章は現代的な勇壮さと清々しく美しい叙情感を併せ持ったような曲で、バルトークの《ピアノ協奏曲第3番》がすぐに浮かんできた。
第3楽章はフーガが入ったりして、ところどころ少しヒンデミット(それともプロコフィエフ?)に似た感じがしないでもない。
あまり印象的な旋律が出てこないし、凄く面白いと思うほどではないけれど、現代曲にしては調性感がしっかりあるので、普通に聴きやすい。
3つの楽章のなかでは、バルトーク風の第1楽章はかなり好き。

Einar Englund: Piano Concerto No.1 (1955)


エングルンド:ピアノ協奏曲第1番, 第2番/凱旋の讃歌2010エングルンド:ピアノ協奏曲第1番, 第2番/凱旋の讃歌2010
(2010/8/9)
ラエカッリオ (piano)

試聴ファイル



ピアノ独奏曲の方は、調性感が曖昧なところはあるし、印象的な歌謡性のある旋律というのはあまりなくて、あるときはプロコフィエフ風、あるときはヒンデミット風。
私には馴染みのある旋律、リズム、和声なので、面白く聴ける。
ピアノ協奏曲とは違って、ピアノ独奏曲の方ではバルトークを連想することはあまりないし、プロコフィエフよりは、ヒンデミットにかなり近い感じがする。

エングルンド:ピアノ作品集エングルンド:ピアノ作品集
(1985/1/1)
ラエカッリオ (piano)

試聴ファイル(BIS)

 <収録曲>
Introduction and Toccata for Piano
Sonata for Piano no 1
Prelude no 1 "Notturno"
Sonatina for Piano no 1 in D minor
What the hens tell
Gnome
Scherzino
Humoresque for Piano
Pavane and Toccata for Piano

BISのホームページでは、全曲最後まで試聴できる。(なんと太っ腹な)
冒頭の”Introduction and Toccata for Piano”は、時々調性感が曖昧になったり、ちょっとジャジーな雰囲気になったり、現代的な曲。こういうタイプの曲は結構好き。

Einar Englund: Introduction and Toccata, played by Matej Stašík


《ピアノ・ソナタ第1番》や《ソナチネ》の第3楽章は、どこかで聴いたことがある旋律が度々出てくる。
それがヒンデミットの《ピアノ・ソナタ第3番》なのに気が付いたけれど、別のところでは、プロコフィエフ風のシニカルな諧謔風になったりする。

”What the Hens Tell”は、本当に鶏がおしゃべりしているみたい。
”Gnome”というのは、「(地中の宝を守ると信じられた)地の精,小鬼」のこと。
”Humoreski”は、題名どおり、可愛らしくてユーモアのある曲。
”Pavane and Toccata”も、ちょっと不可思議な雰囲気と乾いた抒情感で現代的。

強く印象に残るということはなくても、曲自体はどれも面白い。
現代曲らしいクールな叙情感が、感情的に一定の距離感を保ちつつ押し付けがましいところはないので、私にはストレスなく聴ける。
曲を聴き終わると、やっぱりヒンデミットやプロコフィエフのピアノソロを聴いたときと同じ感覚がずっと残っている。

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