Amazonの「お坊さん便」

墓じまいのことで、いろいろ情報を集めていたら、amazonが「お坊さん便」なるサービスを発売開始したという。
法要に必要な僧侶を手配するサービスで、いまやお坊さんまでネット通販で手配する時代になっていた。

[お坊さん便] 法事法要手配チケット[お坊さん便] 法事法要手配チケット
(2015/12/75)

お坊さん便

僧侶手配サービス『お坊さん便』Amazon.co.jpに2015年12月8日より出品[みんれび]
サービス提供会社は、ベンチャーキャピタルも出資している「みんれび」。
基本価格3万5000円(税込)は、「葬儀を除く主要な法事・法要での読経」で、「移動なし、戒名なし」。読経法話、御膳料、お車代、心づけが含まれている。
さらに、「移動あり+戒名授与(6万5000円)」、「移動あり、戒名なし(4万5000円)」、「移動なし+戒名授与(5万5000円)」の合計4種類がある。
料金はクレジット決済。
ただし、菩提寺がある人は利用できない。

アマゾンお坊さん便 僧侶から登録希望殺到も仏教界は批判的
Amazonお坊さん便に中止要請…“お布施の明朗化”が猛反対されるワケ
アマゾンが始めた「お坊さん便」 そのシステムと利用者の感想

菩提寺を持たない人にとっては、料金が明確だし、amazonが販売しているという安心感があるのかも。
基本価格35000円を御膳料・御車料込の価格と考えれば、私の菩提寺よりも5千円安いくらいのもので、法外に安いわけではない。
ただし、地域やお寺によってお布施の”相場”は違うので、これが妥当なお布施の金額かどうかは何ともいえない。
運営会社が紹介料等のマージンを取るので、僧侶側の手取りは基本価格よりも安くなるけれど、それでもお布施をいただけるというのは有難いだろうと思う。
紹介された僧侶が信頼できそうで、近くにお寺を持っているのであれば、そこを菩提寺にする可能性もないとは言えないのだから、そう悪いサービスではない気はする。
もし、私に菩提寺がなかったなら、単にお坊さんを紹介してもらう方法と考えて、さほど抵抗なく「お坊さん便」を利用する可能性がないとはいえない。どちかといえば、近隣の葬儀社に紹介してもらうと思うけど。

数十年前から檀家になっている菩提寺は、高額なお布施を払う必要もないので、特に不満はない。
年忌法要などのお布施以外は、納骨料・永代供養料からお寺で合同法要するお盆・お彼岸のお布施まで、書面で金額を明示されている。
戒名料も必要なときに、種類別の金額を口頭で提示される。(いつの間にか大幅に”値上がり”して、びっくりしたことがある。.)
それが、本来のお布施の主旨に合うかどうかはともかくとして、その明朗さ自体は悪くはないと思う。

でも、「お坊さん便」ではお布施をクレジット決済するというのは、ちょっと可笑しい。(ポイント付くので嬉しいけど)
お布施本来の意味というのは、「お経を上げてもらった代金、つまり宗教的サービスの対価」ではなくて、「お経を上げてもらうという清浄なことに対して、清浄な気持ちで顕す感謝・御礼・寄付のこと」。お布施はその名の通り「施し」。
お布施を捧げる相手は、僧侶ではなくて、「ご本尊」。
お布施の意味について[清徳寺]
お布施って何?葬儀や法事法要で気になるお布施のこと

寄付行為なら、インターネットでクレジット決済するのは、今では普通のこと。
でも、自分で封筒に表書きしてお布施を包むと、「お布施をお渡しする」という気持ちにはなる。
お布施の実態としては、「気持ち」でするものではなくて、寺院を維持するために少なすぎない程度の金額をお支払いしないといけないとは思う。
お布施が少なすぎて”経営難”でお寺がつぶれたりすると、お骨を預けたりお墓を建てている檀家が困るので。
お布施に限らず、戒名料もお寺や地域ごとに相場や決まった金額があるようなので、それなら金額が明示されているほうが、すっきりわかりやすくていい。
でも、お布施をクレジット決済でお渡することになると、お布施の本来の意味がますます薄れて、サービスの対価としか思われなくなりそう。


お布施に限らず、仏事の世界もお葬式からお墓まで、低価格化が進んで価格競争の世界。
人口が減ると檀家も減って、お布施も増えないだろうから、寺院経営もだんだん厳しくなっていくので、”収入”を少しでも増やさないといけない状況なのはわかる。
お金を出す側も、普段はお寺とは付き合いが無い人が増えているし、高額になりかねない仏事の出費は抑えたくなるだろうから、価格明朗なのは安心だと思う。

お布施も墓も「低価格化」はもう避けられない/イオンなど異業種参入組の価格破壊は強烈だ
永代供養墓を扱う寺院・霊園を紹介する事業では、イオンとみんれびが3万5000円、ユニクエストは5万5000円。
全て「追加費用なし」で埋葬料、永代使用料、永代供養料、永代管理料込み。埋葬後の合同供養時のお布施も不要。
紹介先の永代供養墓の情報をいくつか見てみると、一般的な屋外にあるお墓だけでなく、建物内にある屋内墓もある。

菩提寺と比べてみると、この永代供養墓は本当に安い。
菩提寺だと1体あたり、納骨塔の納骨料が4万円。過去帳に記入して永代供養する場合は、さらに10万円。
家の仏壇とは祀る位牌とは別に、位牌を作ってお寺の本堂に祀りする場合は、30万円(納骨料・永代供養料込)。(それに、お寺で行うお盆・お彼岸の合同法要時には、毎回供養料(お布施)をお渡しする)
菩提寺がなく宗派も気にせず、こういう永代供養付きの宗派不問の合同墓を選ぶ人が増えるのは、時勢というか時代の流れなので、いくら仏教界がこの種の仏事(仲介)サービスを批判しても、止まりそうにない。

<イオン>
イオンのお葬式
永代供養

<ユニクエスト>
小さなお葬式
永代供養 (2年間、お骨を個別安置するのが、他社と違う点)

<みんれび>
シンプルなお葬式
シンプルな永代供養墓


[2016.3.4 追記]
「アマゾンの僧侶手配サービス 全日本仏教会が中止求める」(NHK、3月4日)
仏教界の言い分は、建前としては正しいけれど、実態とは全く違うので、説得力も半減。
文書では
- 本来、僧侶への「お布施」は宗教行為に対する対価ではなく、「定額にすることによって『お布施』本来の宗教性を損なう」
- お布施は一人一人の気持ちとして納めてもらうもの
- 僧侶のなかには法外なお布施を請求する事例があるのは、「ざんきの念に堪えない」
という趣旨のことを書いているらしい。
現実問題として、お布施・戒名料・回向料などの金額を指定している寺院は少なくないはず。(家の菩提寺がそう)
本当に「気持ち」としてのお布施でいいのなら、金額を明示している寺院に対して、改善指導すべきだと思うけど。
結局、建前と実態が乖離しているために、この種の仲介サービスが成り立っている部分はかなりある。


[2016.8.9 追記]
檀家廃止・お布施公開し値下げ…住職の「変革」、反発も[朝日デジタル,2016年8月9日]

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好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

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