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フェルツマン ~ バッハ/6つのパルティータ、ゴルトベルク変奏曲
数年ぶりに聴いたウラディミール・フェルツマンのパルティータ。
初めて聴いたときの驚きが甦ってくるように、色彩感豊かで響きがとても美しく、純化された音の世界を聴いているよう。
ノンレガートなのに軽やかなタッチのせいか、レガートを聴いているかのように流麗で繊細。声部もそれぞれくっきりと浮かびあがって、立体的。
技巧的にはアンデルシェフスキのパルティータと同じくらいに鮮やか。
チェンバロ奏法的にルバートが時々かかっているし、弦を力強くはじくような弾力を感じるせいか、だんだんチェンバロみたいな響きに聴こえてくる。
第1番は舞うように軽やかで、愉悦感に満ちている。
短調の第2番と第6番は、美しい色彩感の響きと凝った装飾音に彩られて、悲愴感や哀感さえも華やかに感じる。
急速系の曲は、軽やかで歯切れの良いスタッカートのようなノンレガートがよく映える。
いつもは聴かない3曲(第3番~第5番)も、フェルツマンのピアノなら面白く聴けてしまう。


Six Partitas Bwv 825-830(Nimbus Records)Six Partitas Bwv 825-830(Nimbus Records)
(2013/3/5)
Vladimir Feltsman

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Bach: Six Partitas(Camerata)Bach: Six Partitas(Camerata)
(2007/6/11)
Vladimir Feltsman

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ついでに聴いてみたのは《ゴルトベルク変奏曲》。
これが滅法面白い。パルティータ以上に装飾音に凝っているだけでなく、フレーズ丸ごと装飾というよりも、”改変”(音程を変えたり、音を加えたり、旋律自体も変わっていたり)しているので、まるで編曲版。
たしかにゴルトベルクなのだけれど、別の曲みたいに聴こえることが度々。
ピアノの最高音域で弾いている旋律は、まるでオルゴールの音色で、とっても可愛らしい。
パルティータと同じく、豊かな色彩感と立体的な声部の弾き分けの見事なこと。
ゴルトベルクを聴くと寝てしまうことが多いけれど、こんなに面白くて刺激的なゴルトベルクを聴けば、眠気も寄り付かない。

Pianist Vladimir Feltsman plays Bach's Goldberg Variations


Goldberg VariationsGoldberg Variations(Nimbus Records)
(2008/7/8)
Vladimir Feltsman

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Goldberg Variations(Music Masters盤)Goldberg Variations(Music Masters)
(1994/12/12)
Vladimir Feltsman

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フェルツマンには、イギリス組曲フランス組曲(リリース予定)の全曲録音もある。
試聴したところ、構造堅牢なイギリス組曲なら、ソコロフとアンデルシェフスキの方が好みに合うし、フランス組曲は凄く好きというわけではないので、今のところガヴリーロフの全集盤だけで持っていればいいかなあという気がする。


<関連情報>
ウラディミール・フェルツマン/NIMBUSからのアルバム[アリアCD]
フェルツマンのアルバムは、以前はカメラータからいくつか出ていた。
久しぶりにチェックしてみると、NIMBUSから新録音と復刻盤(原盤はMusic Masters、URTEXT)の両方が多数リリースされている。
正規のスタジオ録音なのに、全てCD-R盤。(ただし、amazonでは「CD」、towerrecordでは「CD-R」表示。HMVでは取り扱っていない)
倒産後に再建されたNIMBUSは、全てCD-R盤しか出していないとのこと。
CD-Rだと、CDに比べて劣化するのが速いらしいので、リッピングしてwavファイルを保存しておいた方が良さそうな気がしてきた。(持っているカメラータ盤(とMusic Masters盤)の方はCD仕様)

《ゴルトベルク変奏曲》は注文したけど、ベートーヴェンのピアノソナタの録音も3種類ある。
3大ソナタ(悲愴、月光、熱情)の方はm細部まで繊細なフェルツマンの演奏を試聴しているだけで、だんだん息苦しくなってきたので、パス。
初期・中期のソナタでは、フェルツマンの演奏だと私には重すぎた。
そういう点でも、好きな曲が揃っている後期ピアノソナタ集(最後の3曲)を聴くべきかと思案中。

tag : バッハ フェルツマン 「ゴルトベルク変奏曲」

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(非公開コメント受付中)

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こんにちは。

ゴルトベルクは一時期ハマって色々CDを集めたんですが、いくつかトンデモ系の演奏もありました。暴風雨のような猛スピードと装飾音の多さが印象的なバケッティや、極彩色を思わせるシェプキンなど。しかし、フェルツマン盤の衝撃はそれらを凌いでいますね。もう「フェルツマン編曲版」と言っていいくらいです。第20変奏などは、思ったよりテンポが遅く始まりますが、その後は「あれ、あれれー」という感じで。ここまで過激な演奏にも関わらず、説得力を失わず音楽的にも破綻しないとは、本当に凄いテクニックと音楽性ですね。80分近くありますが、全く退屈することなく聴けます。保守的なクラシックファンの方は顔を真っ赤にして怒り出すかもしれませんが。。。

イギリス組曲は、全曲盤はこれまで聴いた中だとグールドとヴェデルニコフが良かったです。グールドは彼独特の鋭角的で直線的なリズムと、あと鼻歌(笑)が気になりますが、曲との相性が良いようで、意外とハマっていますね。

フランス組曲は私も同じくガヴリーロフがマイベストですね。解釈、テクニックとも正統派で文句のつけようがありません。録音も良いですね。あとはシフですかね。私はシフのバッハって(上手いとは思いますが)ナヨナヨしててあまり好きではないんですが、フランス組曲は面白く聴けます。ガヴリーロフと比べると、ちょっとテンポが速いのと、残響が多めの録音が気になりますが。あとは2014年に出たシェプキン盤も良さそうです。視聴しただけですが、好感触でした。

逆に、コロリオフのフランス組曲は個人的にはイマイチでした。彼らしい楷書的でビシッとした演奏ですが、禁欲的というか、心地良さが軽視されている気がします。フランス組曲は(パルティータやイギリス組曲と比べると)技術的には易しいとは思いますが、バッハの他のクラヴィーア曲と比べると性格が異なりますので、テクニックとは違った意味で難しいように思います。優美さやしなやかさが求められるといいますか。

しかし、NIMBUSから出ているフェルツマンのCDはCD-R仕様なのですね。全く知りませんでした(怒)。コスト削減ですかね?彼の2013年に出たハイドンの作品集も気になっていたのですが、保留します(笑)。高いお金を出してCD-R盤を買おうとは思いませんねー。
 
かかど様、こんにちは。

バケッティ、3年以上前に試聴だけしました。記事を読み直していたら、いろいろ面白いことをしていても、騒々しくて落ち着きがないとか、聴き疲れするので一度聴いたらもういいわ~みたいな感じでしたね。
フェルツマンは、編曲版だと思って聴いてますが、これは納得の演奏です。
トンデモ?演奏になる手前のギリギリの枠内で、自由に改変しているようなものでしょうか。それでも、これを聴いて吹き飛ぶ人はいると思いますけど。

イギリス組曲は構造堅牢なので、速いテンポとシャープなタッチの方が合っていると思いますから、グールドはいいかもしれませんね。プレリュードやジーグとかは、テンポもタッチもぴったりいい感じです。
個人的な好みの問題として、全体的に厳粛さが薄く感じられて、アルマンドのテンポとタッチが曲想から抱くイメージと合わず、音質が少しデッドなところなど、気になってしまいます。

コロリオフのフランス組曲は未聴です。
構築的なコロリオフと流麗なフランス組曲とでは相性悪そうですし、イギリス組曲の方を聴いてみたいですね。
ヴェデルニコフは厳しくて、ちょっと無愛想?なところもありますが、全曲版としては今のところ私のベストです。
イギリス組曲も、アンデルシェフスキの全曲盤が出るのを期待してますが(無理そうですけど)、2番に限ればソコロフが一番ですね。

ガブリーロフのバッハは、思いがけずいいですね。
フランス組曲と平均律曲集(第1巻)はとても好きです。
ゴルトベルクも好きなのですが、あまりに猛スピードの変奏は(ショパンのエチュードみたいに)コミカルになる寸前のような気が....。
シフの若い頃のDECCA盤では、頻繁にルバートかけたり、装飾やアーティキュレーションをいろいろ工夫して凝っていたので、私にはちょっともたれてしまいました。
最近のライブ録音では、相変わらず凝ったところはありますが、昔よりも音楽の流れが自然に感じます。

NIMBUSは、再建後に出している録音(新規・再販とも)は、全てCD-Rなのだそうです。
amazonは商品情報に「CD-R」と表示して欲しいですね。そうとは知らずに買うところでした。
WAVファイルさえ入手できればコピーとっておきますから(コピーできないことなんてないでしょうね?)、CD-Rが劣化しても私は全然かまわないです。
なので、ゴルトベルクは買いましたよ。CD-Rなら、もっとお安くして欲しいとは思いますけど。
原盤なら20年以上前のCDが入手できるものもありますが、かなり古いのでこちらも寿命が気になります。
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プロフィール

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

愛聴するのはベートーヴェンとブラームス、それにバッハ。ロマン派ならリスト。​さらに現代(20​世紀)の音楽を探検中。特に好きなのはピアノ音楽(ソロ、コンチェルトに室内楽)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなピアノ曲:ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30・31・32番,ピアノ協奏曲第3番&第4番。ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番、ヘンデル変奏曲、後期ピアノ作品集。バッハ:パルティータ、フランス組曲、イギリス組曲

好きなヴァイオリン曲:バッハ・ベートーヴェン・ブラームスのヴァイオリンソナタ(ピアノ&ヴァイオリン)、シベリウス/ヴァイオリン協奏曲

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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