ツィンマーマン ~ シベリウス/ヴァイオリン協奏曲

フランク・ペーター・ツィンマーマンのシベリウス《ヴァイオリン協奏曲》の珍しいライブ映像は2008年の演奏。
同年、ONDINEにこのコンチェルトを録音している。
力強くてきりりとしたツィンマーマンの演奏する姿を見るのは好きだけど、若い頃よりも(恰幅も良くなったことだし)貫禄と余裕が感じられる。
17年前に録音した旧盤よりも起伏がより大きく、シャープさと力感も増しているし、同じ頃に録音したスタジオ録音よりも、このライブ演奏の方がより力強さと気合を感じる。

Frank Peter Zimmermann - ein Porträt (Teil 4)


ツィンマーマンは、シベリウスのヴァイオリン協奏曲を10歳くらいの頃に弾いていたという。
両親から”まだその曲を弾くのは早いから、弾いてはいけません!”と怒られてしまったというエピソードが面白い。
普通の親なら”この子は凄い!”と大喜びするだろうに、逆に叱ったというのだから、演奏家の両親(チェロ奏者の父親とヴァイオリン奏者の母親)はやっぱり違う。

インタビュー映像では、初めてこのコンチェルトを録音して以来長い間弾いていなかったが、最近再び弾き始めるようになって(※たぶん2008年頃のこと)、もう一度初めから終わりまで勉強し直した、とか、難しいパッセージが多くてタイトロープ(綱渡り)のようだ、とか話していた。

ツィンマーマンのシベリウス録音は、2種類。
伴奏がヤンソンス&フィルハーモニア管のEMI盤(1991年録音)、ストルゴー&ヘルシンキ響のONDINE盤(2008年録音)。

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲、プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番シベリウス:ヴァイオリン協奏曲、プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番
(2016年6月22日予定)
ツィンマーマン(フランク・ペーター)

試聴する(既発国内盤にリンク)
※ジャケット写真は既発国内盤のもの。


再録音したONDINE盤は交響詩 「吟遊詩人」と劇音楽「森の精」をカップリング。(シベリウス苦手な私は、両曲とも途中で眠たくなってしまった...)
指揮者のストルゴーとは、ブゾーニのヴァイオリン協奏曲をSONYに録音している。

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲/交響詩 「吟遊詩人」/交響詩「森の精」シベリウス:ヴァイオリン協奏曲/交響詩 「吟遊詩人」/交響詩「森の精」
(2010/8/18)
F.P. ツィンマーマン

試聴する



数あるヴァイオリン協奏曲のなかでも、一番好きなのがこのシベリウス。きりりと引き締まった叙情感とスリリングさにとても惹かれる。
特に好きな第3楽章を聴いても、旧盤と新盤の演奏が違うのは、ヴァイオリン曲には疎い私でもわかる。
演奏時間は、全楽章とも新盤の方が短く、体感テンポも速い。
旧盤の方がアーティキュレーションが克明に聴こえてくる分、やや重たさがあり、疾走感は少なめ。
新盤は、速めのテンポで音の切れが良く、力強くも軽快な躍動感があり、メリハリを利かせた旋律の歌い回しが滑らかなので、旧盤盤よりも颯爽として洗練された感じがする。
ヴァイオリンは、旧盤が1700年製ストラディヴァリ”エクス・ドラゴネッティ”、新盤が1711年製ストラディヴァリ “レディ・インチクイン”。

ヴァイオリン演奏の技巧のことはさっぱりわからないけれど、ヴァイオリン関係のブログを読むと、”目も眩むようなテクニック”とか”完璧”とか書いているので、ツィンマーマンの技巧の高さと安定感は間違いない。
シベリウスのライブ映像を見ていても、余裕綽々というか、自信に満ちた姿で弾いているので、安心して聴ける。

<参考情報>
【推薦動画】 フランク・ペーター・ツィンマーマン[Violinear]

<インタビュー記事>
フランク・ペーター・ツィンマーマン[伊熊よし子のブログ]

そういえば、ツィンマーマンは名だたる国際コンクールでの入賞歴がない。
唯一プロフィールに記載されているのは、11歳の時の「ドイツ連邦共和国青少年音楽家コンクール優勝」。
デュメイは、「好き嫌いに関わらず、今はコンクール以外の選択肢がありません。アンネ=ゾフィ・ムターやフランク・ペーター・ツィンマーマン等は幸運でした」と言っている。


【ベスト・オブ・クラシック放送予定】
ちょうど1年前の来日公演のライブ録音がNHK-FMで放送予定。
曲目は、嬉しいことにシベリウスの《ヴァイオリン協奏曲》と、アンコール曲のバッハの無伴奏。
↓のコンサートレビューを読むと、本当にツィンマーマンはそういう演奏したんだろうか?と思えてくるので、興味津々。
うっかり聴き忘れないように、すぐに録音予約した。
最近になって、NHK-FMもネットラジオでも聴ける。ラジカセでエアチェックしていた昔の頃を思い出すと、便利な世の中になったものだと思う。

(詳細)
日時:3月24日(木) NHKFM 午後7時30分~午後9時10分
タイトル:「セレクション -ベルリン放送交響楽団 来日公演-」 (東京・サントリーホール、2015年3月16日)

◇「バイオリン協奏曲 ニ短調 作品47」 シベリウス作曲(29分39秒)
フランク・ペーター・ツィンマーマン,マレク・ヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団

◇アンコール曲:「無伴奏バイオリン・ソナタ 第2番 イ短調
BWV1003から 第4楽章“アレグロ”」バッハ作曲(5分23秒)

(コンサートレビュー)3・16(月)マレク・ヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団[東条碩夫のコンサート日記]


【2016.3.24 追記】
実際にNHK-FMで聴いてみると、私がいつもCDで聴いているツィンマーマンの演奏(ONDINE盤)と比べて、多少粘り気が強く起伏も大きいようには感じるけれど、そんなに大きくは違わない。
もともと音色の美しいツィンマーマンだけど、このライブ録音はスタジオ録音と同じくらいかそれ以上に、ヴァイオリンの音がとても綺麗で伸びやか。
第3楽章はスタジオ録音に比べてテンポが速いので(演奏時間にして30秒短い)、音が細かく詰まったパッセージになると、ちょっと慌しい感じがしないでも...。そういう点では、スタジオ録音の方が疾走感は少し落ちるけれど、落ち着いた安定感がある。
演奏が素晴らしいことは間違いないけれど、このツィンマーマンの録音が私のベスト盤で、これが私には普通(スタンダード)なので、↑のレビューの評者が感じたほどの凄い驚きは感じない。
でも、人によってはそれほどインパクトがある演奏なのだと初めてわかったのだった。

アンコール曲は、ツィンマーマンの演奏では初めて聴いたバッハの「無伴奏ソナタ第2番第4楽章アレグロ」。
いつも弾いている定番のアンコール曲は「第2番第3楽章アンダンテ」だったので、アレグロは初めて聴いた。
好みをいえば、しみじみとした味わいのあるアンダンテの方が好きだけど。



<過去記事>
F.P.ツィンマーマン ~ シベリウス/ヴァイオリン協奏曲

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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