2016_03
26
(Sat)15:00

シベリウス/ピアノ小品集 

ツィンマーマンのCDでシベリウスのヴァイオリン協奏曲ばかり聴いていたら、たまにはピアノ曲も聴きたくなってきた。
シベリウスはピアノ協奏曲は書いていないけれど、演奏時間が数分足らずのピアノ小品集を数多く残している。
有名なのは、管弦楽曲版もある「悲しきワルツ」。”悲しい”というよりも、重苦しく陰鬱なワルツ。ピアノソロよりも管弦楽曲版の方がさらに重苦しい。

Sibelius 'Valse Triste' PIANO SOLO - P. Barton


© Jean Sibelius - Valse triste, op. 44 nr. 1 (1903-04) - DRSO - Rafael Frühbeck de Burgos



シベリウスのピアノ曲をいろいろ聴いていると、同じ北欧でノルウェーの作曲家グリーグの《叙情小曲集》とは、印象がかなり違う。
シベリウスは、叙情美しくとも、北国にある湖のような透明感と冷んやりとした温度感があり、情緒や感傷過多になることがない。
感情や情緒に働きかけるというよりも、思索的・内省的。叙情的な曲であっても、感傷を寄せ付けないようなストイックな厳しさ、孤独感、寂寥感などが流れているようにも感じる。
ベタ~っとした感情移入ができる曲ではないので、感情的にもたれたり食傷することがなく、聴けば聴くほど味わいが深くなる。

ピアノを弾く人なら知っているかもしれない《樹の組曲》の終曲「樅の木」は、孤独感漂うモノローグのような音楽。この渋さが何とも言えない。

Jean Sibelius - Kuusi Op.75/5 (by Eero Heinonen)



《樹の組曲》の冒頭は、「ピヒラヤの花咲くとき」。
「ピヒラヤ」とは「ナナカマド」のこと...と言われても、「ナナカマド」も知らない。写真を見ると赤い実がなっているので、南天と間違えそう。
白夜(Aika Felt Works)を見ると、お花の方は、白くて可愛い。
この記事では6月頃に開花しているので、フィンランドなら雪解けの後に咲くのだろうか。
この曲も温度感が低くて、やっぱり寒い国に咲く花のイメージ。

Sibelius Pieces 5, for piano The Trees, Op 75 No 1, 'When the Mountain ash Rowan is in Flower' (田部京子)



こちらはシベリウスのピアノ作品集(抜粋)がまとめて聴ける音源。
ピアニストは、フィンランドのEero HeinonenとOlli Mustonen(CDあり)

Sibelius - Piano Works (piano: )



シベリウスのピアノ作品の録音は数種類あり、BIS(2種類)、FINLANDIA、NAXOS、Alto(Continuum)から出ている。
抜粋盤の録音は意外と多く、幅広い年代の作品をカバーしているのは、舘野泉とフィンランドのピアニスト・ビータサロ。どちらかというと親しみやすい曲を中心に選曲しているせいか、晩年の作品が少ない。
同じくフィンランド人のムストネンは独特のタッチで面白い。(でも、聴きたい曲集がほとんど入っていなかった)
なぜかアシュケナージグールド(ほとんどがソナチネ)も録音している。

Op.75(1914年)以降に書かれた作品を収録したのが田部京子(CHANDOS盤)。
「樹の組曲」と「花の組曲」に加えて、晩年の作品のなかから3つの曲集をカップリング。
選曲が一番私の好みにあっているし、ピアノの音がとりわけ美しい。
試聴ファイルを何度も聴けば聴くほど、シベリウスの音楽の渋さに妙に惹かれてしまう。
結局、CDで全曲聴きたくなってきたので、注文してしまった。

Piano WorksPiano Works
(2000/8/22)
kyoko Tabe

試聴ファイル

タグ:シベリウス 田部京子

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

2 Comments

かかど  

こんにちは。

シベリウスは好きな作曲家なんですが、聴くのは交響曲と交響詩、あとヴァイオリン協奏曲ばかりで、ピアノ曲はほぼノーマークでした。しかし、「悲しきワルツ」は非常に良い曲ですねえ。陰鬱で、かなり私好みです。'Valse'というだけあって、どこかフランス的な雰囲気が感じられます。ラヴェルやサティの作品と言われてもあまり違和感がありませんね。

シベリウスはもともとヴァイオリン弾きだったようですので、あまりピアノ曲は重視しなかったようですが、何だかんだ言ってそれなりに作品数は多いようですね。他のジャンルと同様、やはり北欧的な透明感や寂寥感が漂っていますが、同時に木漏れ日のような美しさや懐かしさもほのかに感じられます。シベリウス好きとしては幻と言われる交響曲八番も是非聴いてみたかったですね。

あと北欧の作曲家だと、私はスウェーデンのステンハンマルもお気に入りです。マイナーで録音がかなり少ないんですが、交響曲二番や二曲あるピアノ協奏曲はドイツ的な重々しさがあって、ブラームスに近い作風です。ニールセンは主要作品は一通り聴いたんですが、(ピアノ曲を含め)イマイチ良さが分かりません。まだ修行が足りないようです。。。

2016/03/26 (Sat) 20:05 | REPLY |   

yoshimi  

 

かかど様、こんばんは。

シベリウスは、交響曲との相性がすこぶる悪いのですが、ピアノ曲の方は晩年の作品が特に私の好みに合うようです。
「悲しきワルツ」、鬱々と暗いですね。
陰鬱すぎてあまり好きな曲ではありませんが、ポゴレリチがライブで弾いた音源を聴くと、陰鬱を通り越して葬送曲みたいに聴こえます。

シベリウスのピアノ曲には、北欧的な透明感や清々しさはありますが、グリーグを聴いたときに感じる親密感のようなものは薄いせいか、私には感情的にもたれず聴けるのも、相性が良いところです。

ステンハンマルは随分以前に少し聴いたことがあります。
重厚な和声はブラームス風ですが、さらにロマンティックでピアニスティックにして、ショパンにかなり近づいたみたいな印象でした。
作曲年代や曲によっても作風が違うのかもしれませんが、華やかでロマンティックすぎて、私の好みとは少し違いました。
Youtubeにある独奏曲の音源をいくつか聴いてみましたが、Impromptu、Fantasy、ピアノ・ソナタ第4番など、好きな作風の曲がいろいろあります。
こちらもブラームスとショパンを融合したような感じはしますが、どうもコンチェルトよりもソロの方が好みに合うようです。

2016/03/27 (Sun) 00:16 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment