2016_05
30
(Mon)18:00

マルクス・ベッカー ~ ドゥシーク/ピアノ・ソナタ集 

マルクス・ベッカーのディスコグラフィをチェックすると、かなり珍しい曲の録音が多い。
Hyperion盤では、ロイプケ(ピアノ・ソナタ)、”ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ”のドレーゼケ、サロモン、ヴィドール。
cpo盤では、ドゥシーク(ピアノ・ソナタ集2枚)、アンタイル(ピアノ協奏曲)、シュミット(ピアノ協奏曲・変奏曲)。


J.L.ドゥシーク:ピアノ・ソナタ集J.L.ドゥシーク:ピアノ・ソナタ集
(2008/5/9)
Markus Becker

試聴ファイル

クレメンティと名声を分かちあったと言われるドゥシークのピアノ・ソナタ集(2枚目)は、ベートーヴェンとシューベルトを連想するような作風。
最後のピアノソナタ"L'invocation(祈り)"は、第1楽章はいかにも初期のベートーヴェンといった暗雲垂れ込めるような雰囲気。
第2楽章・第3楽章はメヌエットとアダージョなので穏やか。第4楽章は再びベートーヴェン風のロンド。
雰囲気的にはベートーヴェンなのだけど、緩徐部分とか、旋律自体はかなりシューベルトに近づいた感じ。
最初はベートーヴェン風で好みの作風だと思ったけれど、聴き進むにつれてシューベルト風な印象が強くなり、ちょっと単調な気がしないでも...。

Jan Ladislav Dusík - Piano sonata in F minor, Op.77 "L'invocation" (Hanuš Bartoň 、piano)




ドゥシーク:3つのピアノ・ソナタドゥシーク:3つのピアノ・ソナタ
(2006/3/1)
Markus Becker

試聴ファイルなし

1枚目のソナタ集の収録曲は、ピアノ・ソナタ変イ長調「パリへの帰還」 Op.64/嬰ヘ短調「プロイセンのルイ・フェルディナント王子の死に寄せる悲歌」 Op.61変ホ長調「告別」 Op.44。
「パリへの帰還」 の方は、短調の悲愴感のある旋律と和声がちょっとメンデルスゾーン風。
最終楽章は、かつてドゥシークが仕えていたフランス王妃マリー・アントワネットを題材にしているらしく、ギロチンがアントワネットを斬首し、その後亡霊となったアントワネットが戻ってくるという様子を描いているのだそう。
メンデルスゾーンに比べると、構成がわかりずらくて、音楽も平板な気がするけれど、メンデルスゾーンの好きな私としては、この曲は結構好き。

Dussek - Piano Sonata in F-sharp minor ("Elégie Harmonique"), Op. 61 - Constance Keene



鍵盤楽器奏者の山川節子さんが書かれた「ドゥシークの功績」を読むと、ピアノよりもフォルテピアノで弾いた方が、ドゥシークの作品の真価がわかるらしい。
ドゥシークは、当時では最新式の6オクターブのフォルテピアノをブロードウッド社に作らせ、演奏会でも演奏していたという。
そういえば、シュタイアーが1806年製のフォルテピアノでドゥシークのピアノ・ソナタとピアノ協奏曲を録音している。
ピアノ協奏曲は、モーツァルト&初期ベートーヴェン風。

Jan Ladislav Dussek - Piano Concerto in G-minor, Op.49 (1801)



面白いのは、ドゥシークのプロフィール。
タワーレコードの紹介文では、「全ての作曲家の中で、最も正直、かつ礼儀正しく、最も優れた男」とハイドンが賞賛したらしい。
でも、J.L.ドゥシークという人物を読むと、美男子で波乱万丈の生涯だったドゥシークは、対女性関係においてはお世辞にも高いモラリティを持っているようには思えないけれど、少なくとも自分自身に対しては”正直”だったには違いない。

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