*All archives*



デュシャーブル ~ サン=サーンス/ピアノ協奏曲第2番
サン=サーンス/ピアノのピアノ協奏曲集で定評があるのは、昔は(たぶん)パスカル・ロジェ、新しい録音ではスティーヴン・ハフの演奏だと思う。
私は速いテンポで切れ味鋭いハフの演奏の方が好き。
Youtubeにあるデュシャーブルのライブ録音を聴くと(音質が悪い)、安定したテクニックと力感のある演奏で、ハフと方向性はこれも好みに合っている。

Saint Saëns Piano Concerto No 2 G minor Francois Rene Duchable Armin Jordan



この曲自体とても好きなので、スタジオ録音のCDを購入。
デュシャーブルは2年前からCDを時々買っている。
先日、以前に買ったCDに入っているベートーヴェンの「テンペスト」第3楽章を聴いてから、すっかりはまって、苦手なショパン録音のBOXセットまで買ってしまった。
ルシャーブルの録音では、一番好きなのがベートーヴェン(ソナタとコンチェルト)。次がリストのソロ録音とサン=サーンスのソロ&コンチェルト。ショパンなら、ポロネーズとバラード。
他にもブラームスやシューマン録音などがあり、どれも廃盤になっていて入手困難なのが残念。
デュシャーブルのErato録音を早く全集化して、再発売して欲しい。

ラヴェル/サン=サーンス:ピアノ協奏曲集ラヴェル/サン=サーンス:ピアノ協奏曲集
(1994/5/10)
デュシャーブル(フランソワ=ルネ)

試聴ファイルなし


1981年のステレオ録音のわりに、硬くざらざら感のある滲んだような音で、それほど良い音質ではない感じがする。(AKGのヘッドフォンで聴くと、音像が明瞭でマシにになる)
サン=サーンスの5曲のピアノ協奏曲のなかでは、この第2番と第4番が好きなので、選曲がぴったり。
ハフの演奏と聴き比べると、どちらも技巧的鮮やかで安定している。ハフはテンポがかなり速く、軽やかなタッチで疾走感があり、残響が多くて華やかさもあり、颯爽としてスタイリシュ。
デュシャーブルは、残響が少な目の音質のせいか、硬質で輪郭の明瞭な音で、しっとりとした水気もあって瑞々しさを感じる
テンポがハフより少し遅いので、骨格が明瞭で力感もあり、演奏がきりりと引き締まっている。(これでもう少し音質が良ければさらに良かった)



<インタビュー記事>
[Interview]21世紀の音楽伝道師 フランソワ=ルネ・デュシャーブル(船越清佳)[音楽の友2016年7月号]

華やかなステージピアニストの世界から去った理由は、次の5つが嫌いだったため。
1)演奏旅行:フランス国外(イタリアであっても)は遠く感じる
2)音楽ホールの雰囲気、伝統的な儀式めいたこと(固定化された照明、黒い服、指揮者に挨拶、一人で演奏など)
3)リハーサル:特に室内楽。ただし、オーケストラは別。
4)レコーディング
5)実験室のように閉塞し、凝り固まった聴衆の世界(聴衆の僅か1%前後に過ぎないが)

いくらなんでも、若い頃から引退理由となっている事々が苦痛だったわけでもないだろうと思っていたら、「自分を30年間も偽りつづけていた」というくらい、昔から嫌いだったらしい。
そんなに嫌いなコンサートピアニストのキャリアを選んだ理由は、敬虔なキリスト教信者だったデュシャーブルにとって、「天からの才能を授かったのなら、その贈り物を社会のために捧げなければならない」という宗教的道徳観のためで、30年間もこの難行苦行を続けていた。

「今、音楽の占める割合は、私の人生の10%位」、「私が愛しているのは聴衆とのダイレクトな交流」というデュシャーブルにとっては、ピアノを弾くという行為は、それ自体が目的というよりも、様々な人と触れ合ってコミュニケーションする方法という性格が強いのかも。
ピアノを公開の場で弾くこと自体は苦痛でもなく、「今でも演奏会でのリスクやストレスが大好き」と言っているし、何より「超一流のクオリティ」と自負するくらい演奏には自信を持っている。
たとえ意に染まない状況で弾いていたとしても、その演奏自体は素晴らしいと思うし、失望させられることはない。
「一つだけ残念なのは、オーケストラとの共演が減り、オーケストラの音色の中に身をゆだねることが少なくなったこと」というくらいに、コンチェルトの演奏はとても好きだったようだ。
スタジオでのレコーディングやコンサートホールでの演奏が嫌いなら、彼が望む環境(教会とか音響の良い場所)で、ライブ録音してくれたら嬉しいなあ。

このインタビュー記事を読んだ後に、1980年代と思われるサン=サーンスの《ピアノ協奏曲第2番》のライブ映像を見ると、なぜかデュシャーブルが修行中の修道士みたいな風貌に思えてきた。

tag : サン=サーンス デュシャーブル

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
Secret
(非公開コメント受付中)

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。