2016_12
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(Sun)12:00

内藤 晃 『Les Saisons』 

そろそろクリスマスが近づいてきて、なぜか聴きたくなったのは珍しくもチャイコフスキーの《四季》。
「クリスマス」という曲が入っているし、12の月ごとに標題がついた12曲を聴くというのは、1年を振り返るのに相応しい気もする。

《四季》(に限らずチャイコフスキーの曲は全て)、ロシア的憂愁漂うロマンティシズムでベタ~っと弾かれるのは苦手なので、なかなか全曲聴く気になれなかった。
「レコ芸」濱田氏のレビューによると”多少すっきりと美しすぎるきらいがある”チャイコフスキーが聴けるのは、内藤晃さんのアルバム《Les Saisons》。
「舟歌」と「クリスマス」を試聴してみても、レビューどおり、硬質で透明感のある清々しい演奏なので、苦手のチャイコフスキーでも大丈夫そう。
ピアノはベヒシュタイン。品の良さが薫り立つようなシックな音がとても綺麗。

Les SaisonsLes Saisons
(2009/10/20)
内藤晃

試聴ファイル(2曲のみ)

<収録曲>
ヤナーチェク:「霧の中で」
チャイコフスキー:「四季-12の性格的描写」
吉松隆:4つの小さな夢の歌

チャイコフスキー/「四季」~12の性格的描写(Les saisons - 12 Morceaux caracteristiques Op.37bis)(ピティナの作品解説)
1月 「炉端で」 / No.1 "Au coin du feu"
2月 「謝肉祭」 / No.2 "Carnaval"
3月 「ひばりの歌」 / No.3 "Chant de l'alouette"
4月 「松雪草」 / No.4 "Perce-neige"
5月 「白夜」 / No.5 "Les nuits de mai"
6月 「舟歌」 / No.6 "Barcarolle"
7月 「刈り入れの歌」 / No.7 "Chant de faucheur"
8月 「とり入れ」 / No.8 "La moisson"
9月 「狩の歌」 / No.9 "La chasse"
10月 「秋の歌」 / No.10 "Chand d'automne"
11月 「トロイカ」 / No.11 "Troika en traineaux"
12月 「クリスマス」 / No.12 "Noel"

全曲通して初めて聴くと、硬質の澄んだ音色とさらりとした叙情感で透明感があって、苦手のチャイコフスキーでもこういう弾き方なら全然大丈夫。

チャイコフスキーの曲にしては、意外なことに長調・短調の曲とも好きな曲がいっぱい。
長調の曲で好きなのは、旋律が優美で美しい「4月:待雪草」と流麗な「5月:白夜」、ほのぼのと嬉しそうな「12月:クリスマス」。
それに、暖炉で暖まっているような温もりのある「1月:炉辺で」と浮き浮き楽しそうな「2月:謝肉祭」。
特に面白かったのは、「8月:収穫」。よく実った作物を農民たちが慌ただしく刈り入れたり、中間部では収穫作業の合間にほっと一息休憩しているような情景が浮かんでくる。
どちらかというと、短調の曲の方が私の好みとぴったり合うようで、「6月:舟歌」と「10月:秋の歌」が一番好きな曲だった。特に深い哀感漂うく「秋の歌」がとても素敵。

Tchaikovsky: Chant d'automne (演奏:内藤晃)



カップリングは、前から好きなヤナーチェクと吉松隆の2曲。
ヤナーチェク:「霧の中で」
いつも聴いているのは、フィルクスニーの再録音(RCA盤)。”霧の中”のようなふんわりとした柔らかく暖かい音色と滑らかな歌い回しが心地よい。
それと比べると、硬い音質と澄んだ音色で残響も少し短いせいか、もやもやした”霧”というよりは、透明な水がしたたり落ちるような瑞々しさがあって、クールで明晰な感じがする。
《霧の中で》は寒い冬の凍り付いた空気のような冷やかさと透明感があって、今の季節には良く似合う。


吉松隆:4つの小さな夢の歌
《四季》と《4つの小さな夢の歌》は、構成と曲想がちょうどクリスマスの頃に聴くのにぴったり。
こちらは、おなじ四季でも「春夏秋冬」の4曲。吉松作品のなかでは、特に好きな曲の一つ。この曲を聴くとちょっと幸せな気持ちになってくる。
澄んだピアノの音色としとやかで品の良い叙情感が、密やかに夢想するような愛らしさと清々しさに良く似合う。
このアルバムのなかでは一番好きな曲と演奏だった。

春:5月の夢の歌
夏:8月の歪んだワルツ
秋:11月の夢の歌
冬:子守唄

吉松 隆/4つの小さな夢の歌/演奏:内藤 晃


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