2017_02
15
(Wed)18:00

コロリオフ ~ ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第28番 

ベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタが素晴らしく良かったので、すぐに購入したCDはピアノ・ソナタ第28番&第29番。まともに聴いたことがないハンマークラヴィーアではなく、かなり好きな第28番が聴きたかったので。

同じ教会で録音したのに、こちらの方は残響が短くすっと音が消えていき、音もまろやかで輪郭にも丸みがある。夾雑物の混ざっていないような澄んだピアノの音にアコースティック感があって、とても心地良い。
ペダルを踏んだ時の重層感のある低音や、柔らかく伸びる残響がとても綺麗で、特に美しい高音の弱音を聴くと教会録音の良さがよくわかる。
ブックレットの録音情報で確認すると、ピアノはベーゼンドルファー・インペリアル。
後期ソナタ集の方はスタインウェイDなので、音の輪郭がややシャープで音色にもクリスタルのような輝きがある。
同じ教会録音なのに、ピアノの音にかなり違いがあるのは、録音方法だけでなく、ピアノの違いも影響していると思う。

Koroliov Series Vol. 14: Sonatas Op. 101 & Op. 106Koroliov Series Vol. 14: Sonatas Op. 101 & Op. 106
(2013/3/26)
Evgeni Koroliov

試聴ファイル(allmusic.com)



第28番は期待どおりに素晴らしい。
どの楽章も、コロリオフらしい多彩な色彩感と声部の立体感があって、音と旋律がくっきりと浮かび上がってくる。
第2楽章と第4楽章では余計な力が入っていない飄々とした自由闊達さを感じる。
第1楽章~第3楽章は、”問い”と”答え”みたいに右手と左手が対話して、ぐるぐると循環しているように感じる部分が多いので、コロリオフの旋律に立体感のある演奏ではそういう感覚が強くなる。
第1楽章は、ゆったりしたテンポと柔らかく滑らかな歌い回しでとても優美。
第2楽章はやや速めのテンポと明確で軽快なリズムに弾むような躍動感があって、気持ちの良い。中間部は第1楽章を回想しているようで、ちょっと不可思議な(好奇心に満ちたような)雰囲気がする。
第3楽章は、心の中で自問自答しているような静けさともどかしげな旋律。
第1楽章に出てくる主題の回想後に始まる第4楽章は、まるで突然天の啓示が舞い降りたかのように、”問い”と”答え”の繰り返しがようやく解決してモヤモヤがすっと消え去って、飛翔していくような自由さがある。

今まで断片的にしか聴いていなかったので、今回初めて最後まで全て聴いた「ハンマークラヴィーア」は、長大な緩徐楽章がどうにも好きになれないのがわかった。(もともと緩徐楽章自体はあまり聴くのが好きではない上に、異様に長いので)
それでも、第1楽章と第2楽章は普通に聴けるし、特に第1楽章はかなり好きになれたのが良かった。
最後のフーガも変幻自在に変容していくので、構成がわかりにくくてとらえどころがない気はするのだけど、聴き続けていけばそのうちわかるような感触はある。
この曲の録音はたくさん持っているので、いろいろ聴いていけばもっと馴染めるようになれそう。

コロリオフの弾く後期のピアノ・ソナタがこれだけ素晴らしければ、他のソナタもいろいろ聴きたくなってくる。
コロリオフがピアノ・ソナタを全集録音することはないと思うけど、標題付きソナタくらいは録音してくれれば嬉しい。


<参考情報>
第2回 ベーゼンドルファーのおはなし[Gala工房]
インペリアルの鍵盤は、ブゾーニの要望を取り入れて、1オクターブ拡張して97鍵(C0~C8、8オクターヴ)。低音部左端の9鍵のうち5つの白鍵は黒塗りになっているんだそう。

ベーゼンドルファー290インペリアル[音楽スタジオ「アスタルテ」]
拡張された1オクターブ(エクステンドベース)を使う曲のリストが載っている。
このリストにある曲は、ベーゼンドルファー以外のピアノ(スタインウェイ、ヤマハとか)で弾いているピアニストが多いと思うけど、その場合はエクステンドベースの音は弾けないので、省略するしかない。

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