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レオンハルト ~ バッハ/フランス組曲
先日注文したコロリオフの《フランス組曲》のCDが届くまでかなり日数がかかるので、それまでステレオで聴くために、すぐに手に入る《フランス組曲》の録音を探してみた。(いつも聴いていたガブリーロフの録音は、テンポとタッチが今の私の好みとはかなり違っているので)

ピアノ演奏なら、シフ、ペライア、フェルツマン、グールド、リュプザム。いずれも今までに部分的には聴いていたので、試聴ファイルで聴き直してみても、やはりCDを買うまでには至らず。
ほとんど聴いたことがないチェンバロ演奏は、ルセ、レオンハルト、曽根麻矢子。ついでにキース・ジャレットも。
他にもyoutubeにある音源をピアノ・チェンバロともいろいろ聴いたなかで、冒頭から惹き込まれたのはレオンハルトの1973年録音。
今までの経験から言えば、最初を聴いただけで惹き込まれる演奏なら、ほぼ間違いなく波長がぴったり合う。
それに、チェンバロ演奏に対してはプラス方向のバイアスは全くかかっていないので、合うのは間違いはない。

普段からチェンバロはほとんど聴かないけれど、なぜかレオンハルトの《パルティータ》と《イギリス組曲》(いずれも1984年録音の新盤)は好きなのでCDを持っている。(旧盤よりもアゴーギクが強くなくて聴きやすかったので)
フランス組曲》を試聴してみたら、昔はアゴーギクの強い弾き方が好きではなかったのに、今は不思議なことに全然大丈夫。
たぶん、ピアノにしてはアゴーギクを多用したコロリオフの《フランス組曲》を何度も聴いているおかげで、すっかり耳も感性もそれに慣れてしまったらしい。
一音一音の強弱をほとんどつけられないチェンバロでアゴーギクが少ないと、曲によっては表情がかなり単調に感じる。
ルセのチェンバロもかなり好きなのだけど、装飾音に凝って優雅でメロディアスなルセよりは、タッチと音に鋭さがあり、かっちりとした構築感と引き締まった叙情感で格調高く感じるレオンハルトの方がす~と自然に馴染める。

《フランス組曲》で使われているチェンバロは、デイヴィット・ルビオによるパスカン・タスカル・モデル(1723/1725)のレプリカ。
線が細めですっきりした響きが綺麗でとても聴きやすい。
このチェンバロの煌きのある華やかな音色は、《フランス組曲》のバロック音楽らしい優美さと哀感によく似合って、ややゆったりとしたテンポとアゴーギクを多用したフレージングにコクがあって濃厚な味わい。そのわりに旋律も音楽も淀みなく流れるのでとても自然な趣き。
試聴してとても気に入ったのですぐに注文したら、翌日には到着。やはり国内配送は速い。

J.S.バッハ:フランス組曲(全曲)(期間生産限定盤)J.S.バッハ:フランス組曲(全曲)(期間生産限定盤)
(2016/9/7)
グスタフ・レオンハルト

試聴ファイル

※1975年2月&12月 オランダ、ハーレム、ドープスへヅィンデ教会にて録音。《フランス組曲》のCDは普通は2枚組なのだけど、レオンハルトの場合は所々リピートを省略しているので(リピートしている時もある)、演奏時間が78分と短く、CD1枚に収まっている。もっと長く聴いていたいし、リピートした時に装飾音を変えた演奏が聴けないのがちょっと残念。

第1番の”Allemande”や”Gigue”、第5番の”Allemande”などのテンポと歌い回しが、コロリオフの演奏と少しオーバーラップしているように聴こえるところがある。
第1番の”sarabadde”では、弱音で弾くピアノと違って、和音が多い部分ではジャンジャン鳴って、ちょっと賑やかに感じる。
単旋律主体の第2番の”sarabande”ではかなり静かになって、しっとりとした憂いが漂っている。

チェンバロ特有の豊かな倍音と多彩な音色の美しさは、ピアノの音色の美しさとはまた違った味わい。
チェンバロの色彩感は油絵のような濃く鮮やかな色合いがカラフルで、響きは荘重華麗。ピアノは水彩画やパステル画のように淡く透明感があり、何よりもタッチやペダルによって、強弱も響きのバリエーションも豊か。
色彩感豊かで煌くのうに華やかで哀愁漂うチェンバロの音色で聴いていると、コロリオフのピアノの音色の透明感と清楚さ、静謐な弱音の美しさがよくわかる。

同じ曲でもこれだけ音色が違うと、ほとんど別の曲を聴いているみたい。どちらの音も演奏も好きなので、楽器の違いにかかわらず両方とも音楽が自然に身体の中に入ってくる。
もともとピアノが好きなので、メインで聴くのはコロリオフの録音だとしても、次に聴きたいのは(他のピアノ演奏ではなくて)、レオンハルトのチェンバロ。

Leonhardt, Bach, ex Bwv 812




ついでに久しぶりに聴いたレオンハルトの《イギリス組曲》。
これもピアノ演奏で私のイメージ通りの全曲録音が見つからず、チェンバロの荘重華麗な音色と演奏が素晴らしくて、レオンハルトの新盤(とルセ)のCDを買ったのだった。(ピアノの抜粋録音で好きなのは、ソコロフの第2番とアンデルシェフスキの第1・3・5番。特にアンデルシェフスキが素晴らしい)
レオンハルトの《イギリス組曲》は、1973年の旧盤よりもこの1984年の再録音の方がアゴーギクが緩くフレージングが滑らかで流麗。

Johann Sebastian Bach, 5th English Suite e-minor BWV 810, Gustav Leonhardt, 1984


バッハ:イギリス組曲 全6曲バッハ:イギリス組曲 全6曲
(2012/9/19)
グスタフ・レオンハルト

試聴ファイル(国内盤にリンク)



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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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