ピアノ編曲版(みたいな)《ゴルトベルク変奏曲》
2017-04-19(Wed)
《ゴルトベルク変奏曲》の編曲バージョンは10種類くらいはある。
チェンバロまたはピアノ以外の楽器で演奏する編曲版(オルガン、ハープ、ギター、リコーダー、アコーディオン、弦楽アンサンブルなど)と、ピアノ編曲版(ソロ、2台、4手連弾)。
ピアノ編曲版は、ブゾーニのソロ、ラインベルガーの2台のピアノ(これをさらにレーガーが編曲している)、アイヒラーの4手連弾。(もっと探せば他にもあるかも)
ブゾーニ編曲版は、最初の方は原曲の主旋律の音自体はあまり変えていないようで(変奏にもよる)、ペダルが頻繁に使われているので、残響が長くて、音色がキラキラ煌いている。
全体的に音がつけ加えられて和音が増えているし、1オクターブ高い/低いこともある、
普通はノンレガートでよく弾かれるところがレガートになっていることも多いので、響きや曲の雰囲気がかなり変わって聴こえる。
変奏が進むにつれて、編曲の度合いが大きくなっていき、終盤に近付くと煌きが増して華やか。
最後の「アリア」はシンプル。ケンプが弾く「アリア」にちょっと似ている気がする。
Bach-Busoni "Goldberg Variations" BWV988 (piano : David Buechner)
(参考情報)Bach-Busoni Goldberg Variations[バッハのピアノ編曲・音盤紹介]
楽譜にない音を付け加えたり旋律を変えたりしているフェルツマンや、凝った装飾音いっぱいのバケッティの弾くゴルトベルクも、ほとんど編曲版と言ってもよいかも。
フェルツマンは装飾音はあまり凝らず、低音部の和音やオクターブを追加したり、高音部の旋律自体を改変したり付け加えているのが目立つ。
低音部の音を追加しているところはドシドシ響くのであまり好きな響きではない。高音部は妙に可愛らしく聴こえる。
Pianist Vladimir Feltsman plays Bach's Goldberg Variations
バケッティのゴルトベルクは、装飾音に凝って、山あり谷ありと起伏だらけで表情豊か。自由で感興に満ちている。
旋律の中に装飾音を散りばめているので、急速系の変奏(第5変奏、第26変奏とか)は装飾音が多すぎて、スピード感がもう一つだったり、音が多すぎてごちゃごちゃした感じする。
Youtubeにいくつもライブ映像があるけれど、このCDの演奏とは違って、装飾音は控えめでかなり”普通”に近い。
編曲版というと音を”足す”ことが多いけれど、(編曲版ではない)ケンプの演奏はその逆で、「アリア」では装飾音をかなり省いているので、音を足さずに”引く”という奏法。
旋律がシンプルになって、ベースとなる旋律がくっきりと聴こえる。音を”引く”だけで編曲版みたいにちょっと違った曲に聴こえてくるのが面白い。
それに、柔らかいレガートとペダルを使った美しい響きはケンプならでは。
この4種類のゴルトベルクのなかでは、一番好きなのがケンプ。次は、バケッティ、それともブゾーニ?
Bach, Variaciones Goldberg, BWV 988. Wilhelm Kempff, piano
ラインベルガーの2台のピアノ版もついでに聴いてみると、「アリア」は装飾音を省いているので、シンプルなケンプの演奏とよく似ている。
そう思って安心して聴いていたら、変奏に入るととっても賑やか。2つのピアノのどちらかが主旋律を弾き、役割を交代しながら、原曲にはない和音や旋律を伴奏的に入れたり、対旋律や副旋律(というのだろうか)を入れたりして、音と旋律が随分増えている。
曲としては面白いんだけど、原曲では聴こえてこない音や旋律の方に耳が引き寄せられてしまって、曲をじっくり味わうどころではなく。(おかげで眠くならずにすむけど)
J.S.Bach: Goldberg Variations BWV 998 1. Aria Andante espressivo
(Edited by Joseph Rheinberger, Revised by Max Reger)
J.S.Bach: Goldberg Variations BWV 998 2. Veränderung Piu animato
チェンバロまたはピアノ以外の楽器で演奏する編曲版(オルガン、ハープ、ギター、リコーダー、アコーディオン、弦楽アンサンブルなど)と、ピアノ編曲版(ソロ、2台、4手連弾)。
ピアノ編曲版は、ブゾーニのソロ、ラインベルガーの2台のピアノ(これをさらにレーガーが編曲している)、アイヒラーの4手連弾。(もっと探せば他にもあるかも)
ブゾーニ編曲版は、最初の方は原曲の主旋律の音自体はあまり変えていないようで(変奏にもよる)、ペダルが頻繁に使われているので、残響が長くて、音色がキラキラ煌いている。
全体的に音がつけ加えられて和音が増えているし、1オクターブ高い/低いこともある、
普通はノンレガートでよく弾かれるところがレガートになっていることも多いので、響きや曲の雰囲気がかなり変わって聴こえる。
変奏が進むにつれて、編曲の度合いが大きくなっていき、終盤に近付くと煌きが増して華やか。
最後の「アリア」はシンプル。ケンプが弾く「アリア」にちょっと似ている気がする。
Bach-Busoni "Goldberg Variations" BWV988 (piano : David Buechner)
![]() | Ferruccio Busoni: Arrangements and Transcriptions of Bach Goldberg Variations (1997/5/6) David Buechner |
(参考情報)Bach-Busoni Goldberg Variations[バッハのピアノ編曲・音盤紹介]
楽譜にない音を付け加えたり旋律を変えたりしているフェルツマンや、凝った装飾音いっぱいのバケッティの弾くゴルトベルクも、ほとんど編曲版と言ってもよいかも。
フェルツマンは装飾音はあまり凝らず、低音部の和音やオクターブを追加したり、高音部の旋律自体を改変したり付け加えているのが目立つ。
低音部の音を追加しているところはドシドシ響くのであまり好きな響きではない。高音部は妙に可愛らしく聴こえる。
Pianist Vladimir Feltsman plays Bach's Goldberg Variations
![]() | Goldberg Variations(Nimbus Records) (2008/7/8) Vladimir Feltsman 試聴する |
バケッティのゴルトベルクは、装飾音に凝って、山あり谷ありと起伏だらけで表情豊か。自由で感興に満ちている。
旋律の中に装飾音を散りばめているので、急速系の変奏(第5変奏、第26変奏とか)は装飾音が多すぎて、スピード感がもう一つだったり、音が多すぎてごちゃごちゃした感じする。
Youtubeにいくつもライブ映像があるけれど、このCDの演奏とは違って、装飾音は控えめでかなり”普通”に近い。
![]() | J.S. バッハ:ゴルトベルク変奏曲/アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳第2巻から5つの小品(バッケッティ) (2012/04/01) Andrea Bacchetti 試聴する |
編曲版というと音を”足す”ことが多いけれど、(編曲版ではない)ケンプの演奏はその逆で、「アリア」では装飾音をかなり省いているので、音を足さずに”引く”という奏法。
旋律がシンプルになって、ベースとなる旋律がくっきりと聴こえる。音を”引く”だけで編曲版みたいにちょっと違った曲に聴こえてくるのが面白い。
それに、柔らかいレガートとペダルを使った美しい響きはケンプならでは。
この4種類のゴルトベルクのなかでは、一番好きなのがケンプ。次は、バケッティ、それともブゾーニ?
Bach, Variaciones Goldberg, BWV 988. Wilhelm Kempff, piano
![]() | GOLDBERG VARIATIONEN (1994/3/7) Wilhelm Kempff 試聴する |
ラインベルガーの2台のピアノ版もついでに聴いてみると、「アリア」は装飾音を省いているので、シンプルなケンプの演奏とよく似ている。
そう思って安心して聴いていたら、変奏に入るととっても賑やか。2つのピアノのどちらかが主旋律を弾き、役割を交代しながら、原曲にはない和音や旋律を伴奏的に入れたり、対旋律や副旋律(というのだろうか)を入れたりして、音と旋律が随分増えている。
曲としては面白いんだけど、原曲では聴こえてこない音や旋律の方に耳が引き寄せられてしまって、曲をじっくり味わうどころではなく。(おかげで眠くならずにすむけど)
J.S.Bach: Goldberg Variations BWV 998 1. Aria Andante espressivo
(Edited by Joseph Rheinberger, Revised by Max Reger)
J.S.Bach: Goldberg Variations BWV 998 2. Veränderung Piu animato
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