2017_04
28
(Fri)18:00

フィオレンティーノ ~ シューマン/幻想曲、謝肉祭、献呈 

フィオレンティーノが弾くシューマンは、《幻想曲》でも《謝肉祭》でもロマンティシズム豊かで、響きが豊穣。
《謝肉祭》を聴いて、初めて面白くて好きな曲だと思ったくらい。

フィオレンティーノの《謝肉祭》録音は3種類。
Saga盤(LP):1958年、Hamburg/Musikhalle
Summit/Concert Artist盤(LP):1965年、Guildford/Civic Hall (APRが2008年にCD化。『Fiorentino Edition, Vol. 4: Early Recordings 1953-1966』(Piano Classics)収録)
APR盤(CD):1996年、Berlin/Siemensvilla (『Fiorentino Edition Vol. 1:The Berlin Recordings』(Piano Classics)収録)


↓の音源はSagaの1958.年録音。LPジャケットには「ステレオ」表示。この年代の録音にしてはかなり音が良い。
1965年録音の方は、演奏時間が30秒ほど長いし、残響が短めでデッドな音質。
どちらも「Sphinxes/スフィンクス」は省略。1996年の3度目の録音では省略せずに弾いている。
音質は当然ながら1996年盤が一番良い。1958.年とテンポはほぼ同じで、Sphinxesの分だけ演奏時間が長い。
基本的な語り口は大きく変わっていないと思うけれど、(音質が良いこともあって)以前よりも芝居っ気たっぷりで、曲想もさらに表現豊か。
低音の力強い豊かな響きで始まる堂々とした”Preambule”。ワルツが得意なフィオレンティーノらしい”Valse noble”と”Valse allemande”。
まったりとして甘く囁くような”Eusebius”と憂い漂う”Aveu”はとっても密やかな雰囲気。”Chiarina”と”Estrella”は、パッショネイトで、”Chopin”はとってもロマンティック。こういう曲想の曲になると、横溢するロマンティシズムが素敵。
”Papillons”は、軽快なリズムとアクセントが効いて、
キビキビと速いテンポの”Pause”からアタッカで続く終曲”Marche des ‘Davidsbundler' contre les Philistins”は、ペダルはあまり使わず、クリアな響きと力強いタッチで勇壮。終盤近くVivo11に入って11小節目から始まる右手と左手のスケールは、力強く勢いよく駆け上がっていくドライブ感が爽快。
どの曲も何度聴いても面白い。

Sergio Fiorentino plays Schumann Carnaval Op.9 RARE recording



フィオレンティーノのNewport音楽祭のライブ録音で、バッハ=ブゾーニに続けて、弾いていたのが、《幻想曲》。
第1楽章の冒頭の瑞々しく豊かなアルペジオの響きが美しくて、そのまま全曲聴いてしまった。
第1楽章の旋律や音響的な美しさに魅かれるけれど、シューマンらしく気分が次々と移り変わっていくように緩急・静動きが頻繁に交代していき、第1楽章と第3楽章は私には長すぎて、やはり好きな曲とまでは言えなかったけど。
ピアノ・ソナタも好きではなかったので、演奏時間が短く異なる曲想の曲を組み合わせた組曲(《幻想小曲集》や《子供の情景》、《クライスレリアーナ》に《謝肉祭》とか)が私には合うらしい。

フィオレンティーノの《幻想曲》の録音(1958、1996、ライブ音源2種)のなかで、一番音が良いのがこの1996.年Newport音楽祭のライブ録音。(CD化されていない)
スタジオ録音よりもさらに音が瑞々しく残響が豊か。ペダルを使って音が厚く重なった時のたっぷりとした響きの豊潤。
フィオレンティーノの音の美しさと深いロマンティシズムが薫り立つようなシューマン。(第2楽章の終わりでは、珍しく聴衆で拍手している人がいくらかいた。)
このリサイタルは音質も選曲も演奏もどれも良く、音源が残っているフィオレンティーノのライブ録音のなかではベストではないかという気がする。
この演奏の評判が大変高く、それ依頼あちこちから演奏会のオファーが山のように舞い込んできたという。

Sergio Fiorentino in recital (1996.07.08 Newport) Bach/Busoni, Schumann, Gounod, Tchaikovsky
(14:20 : Schumann - Fantataisie op. 17 - I )



シューマンの原曲をフィオレンティーノが編曲した《献呈》。
曲自体は何度も聴いたことがあるのに、曲名が《献呈》だとは知らなかった。

Sergio Fiorentino plays Schumann "Widmung"


『Fiorentino Edition, Vol. 4: Early Recordings 1953-1966』に収録されている《ウィーンの謝肉祭の道化》も音質が良くない《子供の情景》も、溢れ出すファンタジーと濃いロマンティシズムに彩れて、苦手なはずのシューマンが好きになってしまうくらい。フィオレンティーノの弾くシューマンとは相性がとても良いらしい。

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