2017_04
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(Tue)18:00

フィオレンティーノ ~ ショパン/ワルツ全集 

フィオレンティーノの録音をいろいろ聴いていて、予想外に面白かったのはショパンのワルツ。
若い頃に全集録音したショパンのワルツは、Concert ArtistとSagaレーベルへの2種類。Youtubeには1989年のライブ録音がある。
米国のNewport音楽祭やNY/AliceHallなどのリサイタルのライブ音源でも、プログラムなアンコールでショパンのワルツを弾いていた。
それに、ショパンに限らず、リストが編曲したグノー《ファウストワルツ》やシュトラウス歌劇のピアノ編曲版ワルツをたびたびリサイタルで弾いているので、ワルツそのものが好きなんだと思う。

フィオレンティーノが弾くショパンのワルツは、曲ごとでも、曲のなかでも、緩急の差が大きく、表情や雰囲気がかなり変わる。
特に、ワルツのもつ運動性や華やかさを強調した技巧の鮮やかさが際立つ。
急速部のテンポが滅法速く、タッチはヴィルトオーソ的に切れ味がよく、さらに楽譜にない音を付け加えたり、違う旋律を弾いていたりして、(ショパンというよりシュトラウスの編曲版ワルツ風みたいに?)華麗で豪快なところも。
もしリストがショパンのワルツを弾いていたら、こういう風に弾いていたのかも...と思わないでもない。
(それに、ベルリン録音集のブックレットには、”リストはショパンの曲を弾くときに音を付け加えていた”というフィオレンティーノの話が載っていたし)
ゆったりとしたテンポの時には情感たっぷりに弾いていても、しなしなした憂いや感傷的な情感過多なところはない。短くシャープで弾力のあるトリルがピリっとスパイスみたいに効いている。

Youtubeのコメント欄を読んでいると、いろんな反応があって結構面白い。
巷のショパンのワルツを期待していた人は、速すぎる、技巧的すぎる、感情移入していない...とか書いてあって、フィオレンティーノの解釈にはかなり抵抗感があるらしい。
フィオレンティーノのワルツは豪快で華やかなところがあるので、メロウなショパンは好きではない私にとっては、普通とは違う解釈の方が、普通に聴けてしまう。

Op.64 No.2のライブ映像では、piu mossoに入って間もなく(0:53~)急激にアッチェレランドして滅法速い。(こんなに速く人は他にはいないかも)

Sergio Fiorentino -- Chopin Waltz Op.64 No.2 in c sharp




Op.34 No.1の方は、4:11~のアルペジオが楽譜(3音ごとに最初の音が徐々に下行する)とは違っていて、最初から最後まで一気に猛スピードで駆け下りて、いかにもヴィルトオーソ風。
フィオレンティーノの流儀として、他にも楽譜にはない音や旋律を弾いていると思う。(若い時のスタジオ録音では楽譜通りに弾いている)

Sergio Fiorentino -- Chopin Waltz Op.34 No.1 in A flat major




1960年代のワルツ全集録音(『Fiorentino Edition, Vol. 4: Early Recordings 1953-1966』に収録)は、デッドで古めかしい音質なので、↓のライブ音源の方が多少金属的な響きがしても、ずっと聴きやすい。
スタジオ録音と同じく、一般的な全集録音で収録される14曲以外に、若い頃に書いたワルツなど5曲も弾いている。

Chopin complete Waltzes - Sergio Fiorentino (live 1989)


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