2017_06
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(Tue)18:00

アラウ ~ シューマン/幻想小曲集 

スティーヴン・ハフのコンセプトアルバム『In The Night』に収録されていたシューマンの"In der Nacht(夜に)"。
《幻想小曲集(Phantasiestüke) Op.12》の第5曲で、今まで聴いたことがなかった。
200年以上前に書かれた曲とは思えないモダンでスタイリッシュな曲で、瞬く明かりと喧騒に満ちた夜の都市の情景が浮かんでくる。

《幻想小曲集》で確実に知っている曲は『飛翔(Aufschwung)》。ピアノの練習で弾いていたし、この曲は昔から好きだった。
《幻想小曲集》の録音で有名なのはアルゲリッチらしい。(試聴してみたら、やっぱり全然合わなかった...)。
手持ちのCDを探して見つかったのは、アラウの国内盤のみ。収録曲は、《幻想小曲集》、《子供の情景》、《アラベスク》、《蝶々》。録音は1967年、72年、74年。
いつ買ったのかもわからないし、聴いた記憶もほとんどないけれど、持っていることだけは覚えていた。

シューマン:子供の情景シューマン:子供の情景
(2000/4/26)
アラウ(クラウディオ)

試聴ファイル


philips盤はいつも音質が良くて、アラウのピアノの音色も響きも豊かで伸びやかで演奏も美しく聴こえる。
アラウは線が太く重みのあるタッチなので、まったりとしたコクと(シューマンにしては)安定感を感じる。

《幻想小曲集》のなかで、曲名は知らずとも旋律にいくらか聴き覚えがあるのが、「夕べに(Des Abends)」、「夢のもつれ(Traumes Wirren)」。
この8曲のなかで、一番好きなのが「夜に」、次が「飛翔」と「寓話(Fabe)」。
「夜に」はアラウの線の太い重なり合う響きが重厚で華麗。流麗なハフの演奏と違って、夜の闇のなかで何かが蠢いているような生々しさを感じる。
シューマンらしく曲想がコロコロ変わっていく「寓話」も面白くて、特に中間部のアルペジオが華やか。
他の曲もファンタジーに溢れた馴染みやすい旋律で《子供の情景》よりも好きな曲が多い。

Schumann, Fantasiestücke Op 12, Claudio Arrau,Piano


クララへの手紙に書かれた「夜に」のイメージ。
「この曲を書き終わってから、ヘロとレアンダーの話を見出して喜びました。知っているでしょう。レアンダーは毎晩海を泳いで愛する人の待つ灯台までゆくのです。愛する人は、たいまつをかかげて待っている。古い美しいロマンティックな伝説です。<夜に>を奏く時、このイメージを忘れられないのです。まず、彼が海に飛びこむ-彼女が呼ぶ-彼が答える-彼が海を泳ぎきり陸へ上る-そして抱擁の歌-そして去り難い別れの時-ついに夜がすべてを闇に包んでしまう-。」
(出典:『作曲家別名曲解説ライブラリー/シューマン』(音楽之友社))



《子供の情景》は、線の太い音色で落ち着いた安定感があって、子供の視点から見た情景というよりは、大人が小さな子供を見守っているような優しさと温かさが籠っている。

Schumann - Claudio Arrau (1974) Kinderszenen op 15



《アラベスク》は、アラウにしては珍しくテンポが速い。冒頭のフレーズは弱音ペダルを踏んでいるような少し籠った音色が独特。
ドビュッシーみたいな夢想的な曲ではなくて、展開がちょっとドラマティックで曲自体が面白い。繊細で夢見るような美しいコーダが素敵。

Claudio Arrau Schumann Arabesque Op. 18


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