2017_06
08
(Thu)18:00

2つの《シューマンの主題による変奏曲》(ブラームスとクララ・シューマン) 

ユーリ・エゴロフのEMI録音集『The Master Pianist』に入っているシューマンの《色とりどりの小品》を聴いていたら、ブラームスの《シューマンの主題による変奏曲》の主題が聴こえてきた。
この変奏曲は、シューマンの《色とりどりの小品/Bunte Blatter Op.99》のなかの「5つの音楽帳/Funf Albumblatter」第1曲の主題旋律を使っている。
《色とりどりの小品》は、1836~49年に書かれた未出版の作品をまとめて、1852年に出版したもの。

ブラームスの《シューマンの主題による変奏曲》は1854年に書かれている。
その頃、シューマンはライン河へ身投げした後で精神病院に入院していた。クララは多くの子供たちを育てなければならなず、心身ともに苦労が多いクララへの慰めとシューマンへの敬意が込められた曲なのだそう。
それ以前にも、クララ自身が同じ主題を使って変奏曲を書いていた。

<作品解説>
ブラームス : シューマンの主題による変奏曲 嬰ヘ短調 Op.9 [ピティナ]
クララ・シューマン:ローベルト・シューマンの主題による変奏曲 作品20[クララ・シューマンのホームページ by Kenji Itoh]


《シューマンの主題による変奏曲》を初めて聴いたのは、カッチェンのブラームス全集。
主題と16の変奏曲で構成。後年のブラームスが書いた変奏曲に比べると、織り込まれている主題の旋律が聴きとりやすい。
ステレオ録音なのに、この曲だけモノラル風のデッドな音質だったせいか、主題の悲し気な雰囲気に拍車がかかって、涙がこぼれ落ちてくるかのような音楽だった。
どうにも苦手なタイプの曲なので、聴いたのはその時だけ。でも、この主題だけは忘れることがなかった。
今聴き直していても、やっぱり涙がしたたり落ちるように哀しそう。でも、痛切な哀感だけでなく、安らぎと慰めのような穏やかさもあって、心に染み入ってくる旋律が美しい。
急速系の変奏は切迫感と悲愴感が強まって、若い頃のブラームスらしいパッショネイトな曲が多い。
第15変奏は嵐が過ぎ去った後のように穏やかで清らか。これでエンディングと思ったら、まだ第16変奏が残っていた。
この最終変奏でまた哀感や悲痛な雰囲気がぶり返したようでも、最後は調和した響きのなかで安らかにフェードアウトする。

Brahms - Variations on a Theme of Robert Schumann, Op. 9 - Katchen


Brahms:Works for Solo PianoBrahms:Works for Solo Piano
(1997/11/11)
Julius Katchen, Jean-Pierre Marty

試聴ファイル




こちらはクララが作曲した《ローベルト・シューマンの主題による変奏曲 Op.20》。
宝石のように煌く音色と流麗で舞うようなアルペジオが美しい。
主題はブラームスと同じでも、こちらはブラームスの曲よりも哀感が薄く華やかさがあり、愛らしさと親密感は強い。クララの想いが全編に流れているようなとても素敵な曲。

Clara Schumann: Variations on a Theme by Robert Schumann
Micaela Gelius(Piano)



クララが作曲したピアノ曲の全集盤。このCDは、↑の音源とは違うピアニストによる録音。
クララ・シューマン: ピアノ曲全集(Clara Schumann: Complete Piano Works)クララ・シューマン: ピアノ曲全集(Clara Schumann: Complete Piano Works)
(2001/8/1)
Jozef De Beenhouwer

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