コジュヒン ~ ブラームス/ピアノ曲集
2017-10-21(Sat)
NMLで聴いてとても魅かれたコジュヒンのブラームス。
コジュヒンは名前を聴いた覚えはあるのだけど、ブラームス録音が出ているのを知ったのは最近読んだレコ芸の評論記事。
このブラームスのCDはすぐに買ったけれど、他のコジュヒンの録音はNMLで聴いてもあまりピンとこなかったので購入せず。
コジュヒンのブラームスアルバムは、選曲がちょっとユニーク。
録音が少ない《主題と変奏》と有名な《4つのバラード》。後期のピアノ小品集からはOp.116。(Op.118、またはOp.117かOp.119を録音するピアニストが多い)
アルバムの中で一番好きなのが《主題と変奏》。
ゆったりとしたテンポで渋い味わいのあるルプーとは印象がかなり違う。
速めのテンポで、力強さと若々しさがあり、高音の弱音の情感が細やかで、こういう弾き方も好き。
私が好きなタイプの瑞々しくしっとりした音色で、残響が重なっても濁らずに艶のある爽やかな感触で気持ち良い。
柔らかくて伸びやかな響きで、残響が多くても重たくならない。
フレージングも粘りがなくてさらっとしたわりに、強弱の変化にダイナミズムがあるので、若々しい情熱がほとばしるようにパッショネイト。
ルバートやディナーミクを強調するようなアーティキュレーションではなくとも、一つ一つの音に情感が籠っていて叙情豊で心地よい。
私にはとっつきのあまり良くない曲の《4つのバラード》。
全体的にタッチが柔らかくて落ち着いているので、第1曲と第3曲はオドロオドロしさがなくて、構えることなく聴ける。
第1曲は、(血も凍るような)ミケランジェリの演奏とは違って、色調は明るめで柔らかいタッチが穏やか。(エピソードの内容から言うと、冷え冷えとしたミケランジェリの方がぴったりだとは思うけど)
第3曲も鋭く突き刺さるような打鍵ではなく、軽やかで和らい響きが密やか。
第4曲はテンポの遅い演奏が多くて、特にミケランジェリとグールドの演奏は重たすぎて好きではない。私が好きなカッチェンとレーゼルはテンポがかなり速くてリズミカル。
コジュヒンは、ゆったりしたテンポながら、重苦しさや寂寥感は薄くて、軽く柔らかい響きで淡い情感がさらさらと流れていく。乳白色のような色彩感でフワフワした綿にくるみこまれるような感触が心地よい。
《7つの幻想曲 Op.116》で好きなのは、急迫感と緊張感が強くてかなりパッショネイトなCapriccio。
テンポが速く躍動的なCapriccio の力強い低音のフォルテや幾重にも重なる残響で音響的に豊か。フォルテでも丸みのある柔らかな響きなので重たくなりすぎない。(カッチェンよりもテンポが遅いので急迫感がちょっと弱い)
ルバートも気にならないくらいに自然に流れていくので、テンポの遅いIntermezzoでも情緒過剰なしつこさはなく、特に弱音の密やかさや脆く壊れやすそうな繊細さが何とも言えない。
試聴時の印象以上に、音色と響きが柔らかて潤いのあり色彩感豊か。フォルテも強打せず柔らかさがあるし、歌い回しがしなやかで優美でしっとりした叙情感。
暗すぎない陰翳と瑞々しい音色で、情感は濃くても鬱々した重苦しさは強くはなく、(マリー・ローランサンの絵のように)どこか儚げで一抹の淋しさが漂っている。
カッチェンともレーゼルとも違うタイプのブラームスなのだけど、コジュヒンのブラームスなら全集で聴きたくなってくる。
Denis Kozhukhin Artist of the Season: Playing Brahms Fantasies No. 1 in D minor
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
コジュヒンは名前を聴いた覚えはあるのだけど、ブラームス録音が出ているのを知ったのは最近読んだレコ芸の評論記事。
このブラームスのCDはすぐに買ったけれど、他のコジュヒンの録音はNMLで聴いてもあまりピンとこなかったので購入せず。
コジュヒンのブラームスアルバムは、選曲がちょっとユニーク。
録音が少ない《主題と変奏》と有名な《4つのバラード》。後期のピアノ小品集からはOp.116。(Op.118、またはOp.117かOp.119を録音するピアニストが多い)
![]() | Brahms: Ballades & Fantasies (2017/3/31) Denis Kozhukhin 試聴ファイル |
アルバムの中で一番好きなのが《主題と変奏》。
ゆったりとしたテンポで渋い味わいのあるルプーとは印象がかなり違う。
速めのテンポで、力強さと若々しさがあり、高音の弱音の情感が細やかで、こういう弾き方も好き。
私が好きなタイプの瑞々しくしっとりした音色で、残響が重なっても濁らずに艶のある爽やかな感触で気持ち良い。
柔らかくて伸びやかな響きで、残響が多くても重たくならない。
フレージングも粘りがなくてさらっとしたわりに、強弱の変化にダイナミズムがあるので、若々しい情熱がほとばしるようにパッショネイト。
ルバートやディナーミクを強調するようなアーティキュレーションではなくとも、一つ一つの音に情感が籠っていて叙情豊で心地よい。
私にはとっつきのあまり良くない曲の《4つのバラード》。
全体的にタッチが柔らかくて落ち着いているので、第1曲と第3曲はオドロオドロしさがなくて、構えることなく聴ける。
第1曲は、(血も凍るような)ミケランジェリの演奏とは違って、色調は明るめで柔らかいタッチが穏やか。(エピソードの内容から言うと、冷え冷えとしたミケランジェリの方がぴったりだとは思うけど)
第3曲も鋭く突き刺さるような打鍵ではなく、軽やかで和らい響きが密やか。
第4曲はテンポの遅い演奏が多くて、特にミケランジェリとグールドの演奏は重たすぎて好きではない。私が好きなカッチェンとレーゼルはテンポがかなり速くてリズミカル。
コジュヒンは、ゆったりしたテンポながら、重苦しさや寂寥感は薄くて、軽く柔らかい響きで淡い情感がさらさらと流れていく。乳白色のような色彩感でフワフワした綿にくるみこまれるような感触が心地よい。
《7つの幻想曲 Op.116》で好きなのは、急迫感と緊張感が強くてかなりパッショネイトなCapriccio。
テンポが速く躍動的なCapriccio の力強い低音のフォルテや幾重にも重なる残響で音響的に豊か。フォルテでも丸みのある柔らかな響きなので重たくなりすぎない。(カッチェンよりもテンポが遅いので急迫感がちょっと弱い)
ルバートも気にならないくらいに自然に流れていくので、テンポの遅いIntermezzoでも情緒過剰なしつこさはなく、特に弱音の密やかさや脆く壊れやすそうな繊細さが何とも言えない。
試聴時の印象以上に、音色と響きが柔らかて潤いのあり色彩感豊か。フォルテも強打せず柔らかさがあるし、歌い回しがしなやかで優美でしっとりした叙情感。
暗すぎない陰翳と瑞々しい音色で、情感は濃くても鬱々した重苦しさは強くはなく、(マリー・ローランサンの絵のように)どこか儚げで一抹の淋しさが漂っている。
カッチェンともレーゼルとも違うタイプのブラームスなのだけど、コジュヒンのブラームスなら全集で聴きたくなってくる。
Denis Kozhukhin Artist of the Season: Playing Brahms Fantasies No. 1 in D minor
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。