2018_01
27
(Sat)16:00

チョ・ソンジン ~ ドビュッシー/ピアノ作品集 

今年はドビュッシーイヤーなので、昨年秋頃から新録音が次々と出てきている。
新譜情報で紹介されているものは大体試聴しているけれど、CDで聴きたいと思ったものは少ない。
オズボーンはタッチが強くて明晰(もう少し柔らかくてファンタジーのある方が...)、バレンボイムはテンポの揺れが激しくアーティキュレーションが独特で、ポリーニはタッチが昔のような緻密で明晰なタッチではなく(新譜の試聴ファイルがないので以前のドビュッシー録音を聴いた)、他にもいくつか聴いたけど、どれも私の好みとは違っていた。

そのなかで素晴らしいと思った数少ない録音は、スティーブン・ハフとチョ・ソンジン。
チョ・ソンジンは、青柳いづみこ『ショパンコンクール』を読んで初めて知ったピアニスト。コンクール中のライブ映像とかは全然見ないので、この本を読むまで、彼がショパンコンクールで優勝したということも知らなかった。
『ショパン・コンクール』のなかで、コンクール時の演奏については、「明るく爽やかな音」、「どこまでもなめらかなピアニズム」、「音楽的には恣意的なルバートをしない端正なアプローチ」、「音にはダイヤモンドのようなぎらぎらした輝きはなく、絹のような上品な光沢」。ただし音の減衰が早いので重量感に問題があるが、「ダイナミックバランスは完璧なのでソロではよかった」(「テンポが遅くて音も分厚いワルシャワ・フィル」の伴奏とは相性が悪かったようだ)

ショパン・コンクール - 最高峰の舞台を読み解く (中公新書)
(2016/9/16)
青柳 いづみこ



このドビュッシーにも、そういうソンジンの美点がそのまま表れている。
細部まで精緻なタッチで、柔らかく多彩なソノリティが美しく、フレージングも流麗で、まるで印象主義の絵画を音にしたようなドビュッシー。

アルバムの収録曲は、《映像》、《子供の領分》、《ベルガマスク組曲》、《喜びの島》。
どの曲も絹や真珠のような上品な煌きのある高音や温もりのある柔らかな響きが心地よい。繊細でも粘着的ではないタッチで、フレージングがとても滑らか。
「ダイナミックバランスが完璧」という評の通り、強弱のコントラストと推移が自然に聴こえるので、端正であっても表情豊かで、ダイナミックなのに爽やか。
残響長めなので、《映像》の「水の反映」や「葉ずえを渡る鐘」の響きがとても美しいし、メカニカルな「動き」も華やかで躍動感豊か。
面白かったのは、ちょっとくぐもった弱音で、可愛いというよりはまったり優雅な「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」と「象の子守歌」。
端正で品の良い『ベルガマスク組曲』は、力強さのあるタッチながらも情感細やかで、盛り上がり方も上手くて、ちょっとドラマティック。
ハフとはタイプが違うけど、いままで聴いたドビュッシー録音のなかで特に好きな演奏の一つだった。

Debussy Debussy
(2017/11/22)
Seong-Jin Cho

試聴ファイル(国内盤)


↓はミュンヘン・リサイタルのライブ音源。
Seong-Jin Cho - Debussy Images, Books 1 & 2

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