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World Vision USA の ギフトカタログ
World Visionは国際協力NGOの中でも、世界最大規模と言っていい巨大NGO。
World Vision USAの年間収入は9億ドル。実に約1100億円という巨額収入だ。
まさに大企業並の組織と資金力である。
そのうち、管理費とファンドレイジンぐ費用で1億ドル=約120億円。
これで、優秀な人材が集まらない方が不思議だ。
World Vision Japanは資金力が30億円前後しかない。
それでも日本ではNO2.の大手NGO。
トップはプランジャパンで約40億円。
もちろん、ランキングはユニセフ協会と日本赤十字は除いての話。

どうやってあの巨額の資金調達をしているのだろうかと、World Vision USA のサイトを見てみる。
ファイナンシャルレポートでは
Contributions, primarily private cash      $410,074,000
Public cash and food commodity grants     $ 244,120,000
Gifts-in-kind (現物、物品寄付)         $237,781,000
つまり、500億円は一般の寄付金、300億円が公的資金、さらに300億円分の現物寄付がある。
寄付は多いのはわかるが、公的資金で300億円というのは恐ろしく多いように見える。
日本の補助金がきわめて貧弱なので、なおさらそう感じるのだろう。
多分米国政府以外に、いろんな国際組織からも補助金をもらっているのだろう。

トップページで目に付いたのは
”It's Not Too Late to Change the World”
”2006 Gift Catalog Life-changing gifts for the world!”
”Choose gifts that are meaningful and unforgettable ― for both the ones you honor, and the children and families who benefit. ”
というPRが載っている。

ギフトカタログには、以下のカテゴリーが設定されている。
-Animals
-Clean Water
-Our Neighbors in America
-Girls and Women
-Maximum Impact Fund With Special Gifts!
-Health Care
-Education
-Disabilities
-HIV and AIDS Care
-Care for Infants and Children
-Shelter and Warmth
-Nourishing Food
-Year-long Gifts

例えば、Animalsには、ヤギ、アルパカ、羊、牛、ラクダなどが並んでいる。
開発途上国には農村が多いので、農作業や酪農に不可欠な動物たちをプレゼントするというわけ。
各ギフトには、最小金額が表示されているので、もっとお金を出すこともできる。

寄付といえば、一体最終的に何に使われたのか、はっきりしないことが多い。
このギフトカタログシステムだと、明確な目的をもって、自分が送りたいギフト(動物やものだったり、サービスや援助だったりする)を選択できる。
とてもクリアな寄付システムだ。
それも、Donation と言わずに、Giftと言うところがいい。
たとえそれが見知らぬ人でも、Gift=贈り物 をおくる。
そのGiftには本当に贈る人の思いや考えがこもっている。
お金を寄付するのも悪くはない。特定の目的の寄付では、組織を運営する経費が賄えないので、用途を指定しない一般寄付は、NGOにとっては最も使い勝手が良い寄付のはず。
でも、お金より具体的なモノやサービスの形に変換すると、贈る側、贈られる側の両方にとって、わかりやすいメッセージになるように思う。
それに、お金を寄付することに関心はなくても、ギフトという形での寄付なら興味を引く可能性もあると思う。

World Vision UKでも同じようなギフトカタログがある。
でも、USAのサイトとはギフトが違っている。
サイトのトップに赤いリポンをつけた牛の写真が、でかでかと載っているのもユーモアがあって楽しい。
それぞれ独自のプロジェクトやプログラムを持っているので、ギフトも異なってくるのだろう。

WORLD VISION

寄付といわず、ギフトといい、ギフトカタログから選ぶシステム。
これは、開発途上国の人々への寄付が、日常的なGiftのレベルにまで、社会の中では一般化している現れだろうか。
日本では絶対にギフトとは言わない。あくまでもご寄付。
それに、寄付金額は、奨学金とかマンスリーサポート以外はあまり決められていない。
このギフトカタログは、普通の商品カタログのように、金額と内容を明確にしている。
このわかりやすさは合理的。
金額が明確に提示されていると、選ぶ楽しみが増えると思う。
でも慣れていない日本人は違和感を感じる人も多いかもしれない。

これを日本のNGOができるかとなると、まず組織が零細なため、単一組織では多くのギフトのメニューを提供できない。
一番低コストでギフトメニューを増やすのは、国際協力NGOが集まって1つのギフトカタログを作ること。
そこに各団体のメニューを掲載すれば、ギフトを贈る側の選択肢が一気に増える。
また、ギフトの申し込みデータを集約すれば、マーケティング資料にもなる。
各団体ともあまり公開したがらないだろうが...。
小さい組織がそれぞれ似たようなことをちまちまとしていても、そのメッセージが届くのは小さなセグメントにしかすぎない。
小さな組織ゆえの良さもあるだろうが、PRに関しては、共同キャンペーン方式にして、国際協力NGOという組織の認知度を上げる方が良い。

国際協力の分野は一種の村社会。
NGOは、その中でも日本人にとっては特殊な形態の組織。
一般の人は、まず寄付をしようなんて、災害の時にぐらいしか思いつかない。
でも、寄付を災害の時だけにしても、その効果は一過性。
開発途上国の抱える問題は、一つが解決しても、別の問題が積み上がっている。
継続的にずっと活動を支えていくために資金=継続的寄付が本当は重要。
日本人は一過性だから、災害の時にはわずかなりとも寄付するが、平時に寄付する人は少ない。

日本人が、寄付を贈り物だと考えて、ギフトカタログを見ながら、楽しく、気軽に、何を贈ろうかな~と考えられる時代がくるだろうか。

tag : NGO

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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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