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ブラッド・メルドー『After Bach』
レコ芸の7月号を読んでいて、発売されているのを知ったブラッド・メルドーの新譜『After Bach』。
アルバムの最初と最後はメルドーのオリジナル。それに挟まれて、最初がバッハの《平均律曲集》(第1巻または第2巻)、続いて同じモチーフを使ったオリジナルを交互に配置。
ジャズピアニストの弾くクラシックは何度か聴いたけど、やはり本業のクラシックピアニストの演奏と比べると、がっかりする事が多い。
NMLでアルバム全曲聴いてみたところ、予想どおりバッハは.......。オリジナルの方がメルドーらしさが出ていて、私には良かった。

AFTER BACH AFTER BACH
(2018/3/9)
ブラッド・メルドー

試聴ファイル


浅いタッチで音が軽やかなオリジナルに比べると、バッハはタッチが深いせいかフレージングが硬く、声部が錯綜すると指がもつれたり、滑ったりするし、突然リタルダンドしたりアクセントやフォルテがついたりして、起伏のつけ方も滑らかではないように感じる(少なくとも私の好みとは違う)。
特にフーガでもたっとした印象がするのは、音の切れがあまり良くなく、縦の線もぴしっと揃わず引き締まった感じがしないからだと思う。声部が錯綜すると分離が悪くなり、ごちゃごちゃして聴こえる。
そもそもジャズピアニストが弾くバッハを、本業のクラシックピアニストの演奏と比べるのが間違いだとは思うけど、気になってしまうのは仕方がない。

キース・ジャレットも《平均律曲集》の第1巻をピアノ、第2巻をチェンバロで録音している。
キースはクラシックピアニストとして演奏活動をしていた時期があって、演奏会でバルトークやバーバーとかを弾いたりしていた。
第1巻の演奏では、メルドーより打鍵もしっかりして音の切れも良く、音の粒も揃って、フレージングも滑らかで、技巧的な安定感がある。
全体的にテンポは速めで(第10番のプレリュードでもかなり速い)、急速系の曲はキビキビと歯切れよく、リズミカルで躍動感豊か。あえて深い情感に浸るのを避けているかのようなシンプルなアーティキュレーションと飾り気のないさらりとした叙情が爽やか。久しぶりに聴いたキースの平均律は結構好き。

バッハのモチーフを使ったメルドーのオリジナルは全部で7曲。曲にもよるけれど、バッハよりは印象が良い。
ベネディクション/Benediction
ロンド/Rondo
パストラーレ/Pastorale
フラックス/Flux
ドリーム/Dream
オスティナート/Ostinato
癒やしのための祈り/Prayer for Healing

テンポが遅い曲はリズムが平板なので、長いと飽きてくる。「ベネディクション」は、ショスタコーヴィチ風の調性感のあいまいな旋律がとりとめなく流れていくようで、つかみどころがない。最後だけジャズ風に。
「癒しのための祈り」は、ゆったりしたテンポと静かな旋律が続き、終盤でオリエンタルな音階の旋律が少し出てきたりする。
不協和的な響きは現代的で好きとはいえ、主旋律があまり印象的ではなく、構成感や展開の面白さが感じられなかったら、10分以上もある「オスティナート」と「癒しのための祈り」になると、緩徐系苦手な私はちょっと飽きてしまう。

「パストラーレ」は後半のトレモロやオスティナートの響きが綺麗。「オスティナート」も響きは綺麗だけど、次々と展開していく旋律はほとんど印象に残らなかった。
「フラックス」もリズミカルだけど、展開が単調な気はする。

オリジナル曲のなかでは、「ロンド」が一番面白い。次々と違う曲想に展開し、ジャズ風の旋律も一番多く出てくるし、公式動画にも選ばれているので、これがオリジナル中ベストではなかろうかと。
結局、好みから言って、「ロンド」以外で好きになれる曲がなかったので、今回はCD買わず。

Brad Mehldau - After Bach: Rondo (Official Audio)


tag : バッハ メルドー

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これは、私にとってもシンドイアルバムでした。メルドーの曲だけだとよかったなあ、と思っています。バッハの曲と並べるのは、大胆すぎるというか。。。ですね。
http://kanazawajazzdays.hatenablog.com/entry/2018/04/06/222606
 
ken様、こんばんは。

クラシックとジャズでは作曲法が全く違うので、曲自体を比べるつもりはないのですが、バッハの奏法については音色の弾き分けや対位法の処理などが必要なので、まともに弾くとなるとちょっと難しいでしょうね。

バッハはモチーフだけ提示しておけば良かったようには思いますが、メルドーを聴く人がバッハをよく聴いていることは少ないでしょうから、バッハを聴くきっかけになるとは思います。
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好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、ミンナール、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
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