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NGOの管理経費率
国際協力NGOへの寄付は、寄付金の全額が現地の活動経費に充当されるわけではない。
特定のプロジェクトを指定して寄付する場合では、10-20%が本部の一般管理費に当てられる。
一般管理費には、現地や東京でプロジェクを担当しているスタッフの経費を含めまれていない。
この分の人件費は、直接人件費として一般管理費を控除した残りの80-90%でカバーしている。
少なくとも現地のスタッフ人件費はそうしているはずだ。

寄付する人は、”3000円で○○(食料、文具、薬など)が支給できます”というフレーズを見て、3000円を寄付すると援助物資の購入に当てられると思っている人も多いはず。
これはまぎらわしいPR方法によるからだ。
一応、脚注には小さく、管理費として○○%が当てられます、みたいな文面がたいてい入っている。
このことに気が付く人はそれほど多くはないと思うが。

プロジェクトを指定しない一般寄付や会費の場合は、使途は限定されない。
多分、かなりの部分が本部の運営経費(人件費、福利厚生費、賃料・光熱費、イベント費、出版経費等)に使われているはずだ。

寄付が全て、現地の人々が直接受け取る物資購入に使われるわけではないと知って、それはおかしいという人がいる。
組織が運営される原理を考えれば、それが当然だということくらいは理解してほしい。
NGOはボランティア組織ではない。
企業組織と一緒で、寄付(=企業なら売上)を集めて、活動を行っている。
責任ある活動を継続していくためには、安定的に働けることが必要だ。
スタッフは霞を食べて生きているわけではないので、当然仕事として給料をもらって働いてる。
一部の小さなNGOで全部無給ボランティアなんて組織もあるが、それは例外。
そんな組織は、人依存なので、代表が変わったり、コアのスタッフがいなくなると弱体化するリスクが高い。
そうでないNGOでも、あまりの労働条件の悪さにスタッフは定着しない。来てくれる人材も限られる。
たぶん年収250万円あれば良い方だろう。
特に男性の定着率は悪いし、そもそも男性は非常に少ない。
その理由は、女性なら、親元で生活する人が多い、配偶者が働いていればそれで生活できる、将来的に結婚するとしても家族を養うわけでもない、など、生活設計の男女差が大きいためだ。

外資系NGOでも、日本国内の拠点な年収はスタッフクラスで400万円~500万円前後だろうか?
もちろん、欧米にある大手の外資系NGOは企業並。だから、いくらでもスタッフが揃う。
一説、ファンドレイジングの管理職で1000-2000万円クラスの年収というケースもあるという。

じゃ、日本のNGOで管理費分をカットされるのは嫌だから、海外のNGOに寄付しようと考え直す。
しかし、管理費分を徴収されているのは、どこでも一緒。
外資の方が、若干管理費比率が低いが、それでも15%前後。
彼らは、スタッフの給料が高く、広告宣伝費がかなり必要だ。
欧米NGOの資金調達は、個人向けの場合はDM主体なので、郵送費、パンフレット作成費などが結構かかる。
結局、予算規模が数百億円もあるNGOでも、管理費比率はさほど下がらない仕組みだ。

では、国連へ寄付しようと、例えば、ユニセフ協会へ寄付する。
現地オペレーションを全然していないただ単なる集金組織でしかない。
それなのに、管理費比率(彼らの言うところの管理費+事業費)が15%と異常な高さだ。
なおさら悪い選択だ。
寄付の15%近くが管理費と事業費に充当される。彼らの言う事業費の大半は宣伝広告費に関わる費用だ。
そういえば、立派な自社ビルも購入している。
まあ、賃料を払うよりは長期的に見れば安いかもしれないが、寄付金でビルを購入するというセンスが驚きだ。
それでも、年間140億円近くが募金されていたように記憶している。
企業寄付も含めてだが、大半は個人寄付だ。

次に、いろいろユニセフ協会が自分たちの経費に使ったその残りは、国連(ユニセフ)へ送る。
ユニセフはその費用のうち、ユニセフが必要な一般管理費にその一部を使う。
その残りが、どこかのNGOへ委託業務とか、補助金とかという形で、支給される。
最後に、ユニセフから資金をもらったNGOでも、また管理費分がカットされる。
ということで、3回分の管理費を徴収されることになる。
全く馬鹿な話だ。それを知らない寄付者のなんと多いことか。
それでも、まだしも日本のNGOに還元されていればいいが、ユニセフは欧米組織とつながっている。
日本のNGOにはほとんど還元されていない。
日本人は何も文句を言わない理想的なおサイフということ。
国際機関(国連組織、世界銀行など)の世界と同じで、海外協力NGOの世界でも、日本はお金を出して、欧米の組織とスタッフを育てている。
日本人の人と組織は育たない。

私は同じお金を出すのなら、日本人が設立し、運営し、海外で活動している組織に寄付している。
欧米のNGOにも寄付しているが、5年前、この構造を良く知らなかった時に寄付を始めてしまったせいだ。
今もこれは継続している。現地の子供のスポンサーになっているためだ。
子供にはこのことは関係ない。寄付は彼女が大人になるまで続けるだろう。
それ以外は、海外NGOへの寄付は止めて、国内NGOに募金したり会員になったりしている。

確かに、組織的には海外NGOの方がしっかりしているし、活動内容も幅広いので、安心。
それを言ってしまうと、日本人のNGOは、政府や企業、財団からの補助金頼みのまま。
私は日本人個人の寄付はあまり期待していないので、それはそれでかまわないとは思う。
しかし、補助金はいつももらえるわけではない。政府予算は減っていく方向だ。
企業は、補助金の支給先を多角化する方向へ向いている。
NGOも増えている。少ないパイの奪い合いになる。
で、結局、財政基盤の弱いNGOが乱立して、全体を弱めている。

日本のNGOを成り立たせているアマチュアリズムは尊重されてもいいが、それだけでは継続性や発展性は望めない。
それでもいいという人がいるが、それは組織の弱体化と崩壊につながっている道でしかない。
企業並みの強い組織と人を揃えた国産NGOが作れるものだろうか。
それには、安定した個人寄付が必要だが、現状で米国の1%の寄付総額ではそれも期待できない。
日本人の国民性からいえば、寄付文化はなじまないと思う。
釣銭型寄付がその典型。小額、単発、お付き合い、持続しない。使い道まで気にしない。
手っ取り早いのは、ビル・ゲイツやバフェットといったクラスの富裕な資産家が、NGOの運営資金を提供してくれる財団を設立してくれれば良い。
問題は、スポンサー個人の影響を排除できるかどうか。
従来の支援者が離れていく可能性もある。

個人寄付が大きく増えるなどとは考えてもいないが、価値感は徐々に変わっていく。
本やCD、服を買ったり、レストランで食事したり、旅行に行ったり。
そういうことでお金を使って満足感を得るのも良い。
さらに、自分の興味のある活動をしているNGOなどの団体へ寄付する。
そういう満足感を得るという選択肢を一つ付け加えれば良いだけだ。
それを無駄だとか、もったいないとか思う価値観がある限り、個人寄付などそう増えることはない。
そして、日本のNGOは、財政基盤の多くを政府や財団、企業の資金に依存し、アマチュアリズムで成り立つ零細組織であり続けると思う。

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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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