メンデルスゾーン/無言歌集(全曲盤と抜粋盤)
2018-11-20(Tue)
メンデルスゾーンの《無言歌集》のCDを買いたいので、レビューの多い録音や知っているピアニストの録音をいろいろ試聴。
抜粋盤の録音多数。そのなかでは、昔の定番がギーゼキング、シフとペライアも録音している。日本で人気があるのは田部京子。
全曲盤の方は、定番らしいのはバレンボイム。意外なことにエッシェンバッハの録音もある。全然知らないピアニストのイルゼ・フォン・アルペンハイムも人気があるらしく、ダニエル・アドニの録音もある。
何度も試聴して手に入れたCDは、田部さんの抜粋盤と、エッシェンバッハの全曲盤。
ギーゼキング(抜粋盤、1956年録音、EMI)
17曲収録。全体的にテンポがかなり遅く、思いのほかクセのあるフレージングだった。曲数が少なく、音質もかなり悪い。
シフ(抜粋盤、1986年録音、DECCA)
22曲収録。モダンピアノにしては年代物のピアノみたいな少し滲み気味の音質が好みと合わず。
ペライアの抜粋盤(1997年録音、ソニー)透明感のあるすっきりした厚過ぎない響きがとても綺麗で、音響的には一番好き。語り口はややさっぱりしたところはあるけど、濃すぎなくて好みに合う。でも、カップリングされているバッハ編曲を凄く聴きたいわけでもなく、無言歌集の曲数(15曲)も少なかったのでCD買わず。(全曲録音していたらCD買いたいけど)
ダニエル・アドニ(全曲盤、1972年録音、WARNER)
田部さんのCDのブックレットで紹介されていた録音。表情がそれほど濃厚ではないのでさっぱりした叙情感。古い録音なので残響は少な目。音の粒立ちは良いけれど、「狩り」や「胸騒ぎ」のフレージングで一瞬、間が入ったりするし、緩徐系の曲は音色やテンポとか似ていてメリハリが少ない感じがする。
イルゼ・フォン・アルペンハイム(全曲盤、1980年録音、ユニバーサル国内盤)
テンポが時々速すぎる感じがすることと、語り口はさっぱりして、エッシェンバッハに比べると情感が薄めであまり心情的にシンクロしない。特に短調の曲でそういうことが多く、好きな曲で好みと合わず。
田部京子(抜粋盤、1993年録音、DENON)
25曲収録。スイスのラ・ ショー・ド・フォン(ムジカ・テアトル)での録音。アラウがPhilipsレーベルで頻繁に録音していたホール(ムジカ・テアトルかどうかはわからない)なので、音響が凄く良い。
今回聴き比べた録音のなかでは、音質が一番良く、残響豊かな豊穣な響き。情景や心の移ろいゆく様子が思い浮かぶような濃淡のある彫の深い表現。私にはちょっと濃すぎるけど、響きの美しさと選曲の良さ(好きな曲が多い)のでCD入手済み。
バレンボイム(全曲盤、1973年録音、DG)
起伏が大きく、ダイナミックで、響きも豊か。時々テンポが速すぎると思う時があることと、「春の歌」のアルペジオが短く弾くところとか、「胸さわぎ」の起伏が大きくて細かく揺れるところとか、好みと違う曲が結構ある。NMLで聴けるし、全曲盤はエッシェンバッハのBOXセットを買ったので、CD買うのはパス。
エッシェンバッハ(全曲盤、1975年録音、DG)
私のテンポ感にぴったり。表現も濃厚すぎなくて、「狩り」や「失われた幸福」の直線的な弾き方とか好き。録音が古いので残響は短め。やや線の細い透明感のある音は繊細で壊れそうな脆さも感じさせる。
他の作曲家の録音でも感じたように、第1番の「甘い思い出」とか甘美な曲でも、どこかしら淋しげな雰囲気が漂っているのがエッシェンバッハらしいけど、(特に明るい長調の)曲のイメージとちょっと違う気がしないでもない。
短調の曲になると、さりげない歌い回しと沈み込む響きのせいで、陰翳、寂寥感、焦燥感が真に迫ってくる。「失われた幻影」の口ずさむような語り口とさりげない哀感や、「羊飼いの嘆き」の静かに涙が滴りおちてくるような悲痛さとか、エッシェンバッハのピアノで聴くと生々しさがある。特に柔らかな弱音のタッチが美しく、品良くも脆さをはらんだ繊細な情感が何とも言えない。
エッシェンバッハの無言歌録音は、全曲盤と抜粋盤があり、抜粋盤は入手しやすい。
全曲盤は、2枚の分売盤(国内盤)が廃盤で、今確実に入手できるのは、ロマン派ピアノ作品集のBOXセット。
私が持っているBrilliant盤の6枚組BOXセットと収録曲が一部重複しているけど、そっちには無言歌集が入っていないので、このロマン派BOXセットを購入。
エッシェンバッハ(抜粋盤、1975年録音、DG)
全曲盤から20曲抜粋。カップリング曲もないのに、異聴盤に比べると収録曲が少なすぎる。NMLに登録されているアルバムは、ジャケット写真も違うし、曲目が30曲とかなり多い。(NML限定盤?)
Mendelssohn Lieder ohne Worte 無言歌集より(ピアノ:クリストフ・エッシェンバッハ)
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抜粋盤の録音多数。そのなかでは、昔の定番がギーゼキング、シフとペライアも録音している。日本で人気があるのは田部京子。
全曲盤の方は、定番らしいのはバレンボイム。意外なことにエッシェンバッハの録音もある。全然知らないピアニストのイルゼ・フォン・アルペンハイムも人気があるらしく、ダニエル・アドニの録音もある。
何度も試聴して手に入れたCDは、田部さんの抜粋盤と、エッシェンバッハの全曲盤。

17曲収録。全体的にテンポがかなり遅く、思いのほかクセのあるフレージングだった。曲数が少なく、音質もかなり悪い。

22曲収録。モダンピアノにしては年代物のピアノみたいな少し滲み気味の音質が好みと合わず。


田部さんのCDのブックレットで紹介されていた録音。表情がそれほど濃厚ではないのでさっぱりした叙情感。古い録音なので残響は少な目。音の粒立ちは良いけれど、「狩り」や「胸騒ぎ」のフレージングで一瞬、間が入ったりするし、緩徐系の曲は音色やテンポとか似ていてメリハリが少ない感じがする。

テンポが時々速すぎる感じがすることと、語り口はさっぱりして、エッシェンバッハに比べると情感が薄めであまり心情的にシンクロしない。特に短調の曲でそういうことが多く、好きな曲で好みと合わず。

25曲収録。スイスのラ・ ショー・ド・フォン(ムジカ・テアトル)での録音。アラウがPhilipsレーベルで頻繁に録音していたホール(ムジカ・テアトルかどうかはわからない)なので、音響が凄く良い。
今回聴き比べた録音のなかでは、音質が一番良く、残響豊かな豊穣な響き。情景や心の移ろいゆく様子が思い浮かぶような濃淡のある彫の深い表現。私にはちょっと濃すぎるけど、響きの美しさと選曲の良さ(好きな曲が多い)のでCD入手済み。
![]() | UHQCD DENON Classics BEST メンデルスゾーン:無言歌集 (2017/2/22) 田部京子 試聴ファイル |

起伏が大きく、ダイナミックで、響きも豊か。時々テンポが速すぎると思う時があることと、「春の歌」のアルペジオが短く弾くところとか、「胸さわぎ」の起伏が大きくて細かく揺れるところとか、好みと違う曲が結構ある。NMLで聴けるし、全曲盤はエッシェンバッハのBOXセットを買ったので、CD買うのはパス。
![]() | Songs Without Words (1997/4/15) Christoph Eschenbach 試聴ファイル |

私のテンポ感にぴったり。表現も濃厚すぎなくて、「狩り」や「失われた幸福」の直線的な弾き方とか好き。録音が古いので残響は短め。やや線の細い透明感のある音は繊細で壊れそうな脆さも感じさせる。
他の作曲家の録音でも感じたように、第1番の「甘い思い出」とか甘美な曲でも、どこかしら淋しげな雰囲気が漂っているのがエッシェンバッハらしいけど、(特に明るい長調の)曲のイメージとちょっと違う気がしないでもない。
短調の曲になると、さりげない歌い回しと沈み込む響きのせいで、陰翳、寂寥感、焦燥感が真に迫ってくる。「失われた幻影」の口ずさむような語り口とさりげない哀感や、「羊飼いの嘆き」の静かに涙が滴りおちてくるような悲痛さとか、エッシェンバッハのピアノで聴くと生々しさがある。特に柔らかな弱音のタッチが美しく、品良くも脆さをはらんだ繊細な情感が何とも言えない。
エッシェンバッハの無言歌録音は、全曲盤と抜粋盤があり、抜粋盤は入手しやすい。
全曲盤は、2枚の分売盤(国内盤)が廃盤で、今確実に入手できるのは、ロマン派ピアノ作品集のBOXセット。
私が持っているBrilliant盤の6枚組BOXセットと収録曲が一部重複しているけど、そっちには無言歌集が入っていないので、このロマン派BOXセットを購入。
![]() | Romantic Piano Music (2015/6/16) Christoph Eschenbach 試聴ファイル(1)(分売盤) 試聴ファイル(2)(分売盤) |

全曲盤から20曲抜粋。カップリング曲もないのに、異聴盤に比べると収録曲が少なすぎる。NMLに登録されているアルバムは、ジャケット写真も違うし、曲目が30曲とかなり多い。(NML限定盤?)
![]() | メンデルスゾーン:無言歌集 (2015/5/20) エッシェンバッハ(クリストフ) 試聴ファイル |
Mendelssohn Lieder ohne Worte 無言歌集より(ピアノ:クリストフ・エッシェンバッハ)
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