2019_05
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(Sat)18:00

Netflix視聴記(3) 『スタートレック:エンタープライズ』 

『スタートレック:エンタープライズ』は、不評だったためにシーズン4で打ち切られてしまったシリーズ。
TNG(ネクストジェネレーション)やヴォイジャーとは随分雰囲気が違っていて、NASAの宇宙飛行士が着るような制服、医療室以外は照明が暗くてメタリックで無機質な船体と内装、戦艦のように狭くて機能本位の居室など、現代に近付いた感じ。
それに、宇宙探検初期なので技術的制約がかなり大きく、ホログラムにシールド・レプリケーター・バッジ式コミュニケータとか、ストーリーのネタに使える技術がほとんど出てこない。転送装置はシリーズ後半になると使われる頻度が増えていた。
『エンタープライズ』だけで登場する設備が「キャットウォーク」(艦船に設置されている狭い通路)。クルーがキャットウォークに避難する話が2つ(「嵐を告げる男達」と「光の意志」)あり、普段は見かけることが少ない乗組員たちがひしめきあっている。現代の艦船にオーバーラップするようなリアリティが感じられるし、ストーリーも面白い。
歴代シリーズなかでは現代に一番近いだけに、最もリアル感があって、かなり好き。反面、話を面白くするネタや小道具が少なくなっているので、脚本の出来にかなり左右されると思う。

<キャラクターについて>
見始めた頃はキャラクターの個性がちょっと弱い気がしたけど、話が進むに連れて、キャラクターの人物設定にも馴染めたので気にならなくなった。
トゥポルは、スポックやテュボックに比べると、その科学的知識で船を救う場面が少ない。トゥポルが第3シーズンあたりから感情的な言動や表情が強くなって、まるで地球人と変わらなくなったのは全然いただけない。  
陽気なデノビュラ人ドクターのフロックスはとても好き。(そもそもドクター役のマッコイ、クラッシャー、カルバーは、私の好きなキャラクターではなかったので)

アーチャー船長は、知性派では全くなく直情径行的な言動が多く、アーチャー船長に比べれば、キャプテン・カークでさえ冷静沈着に思えてくる。感情的で怒鳴ったような口調で話すことが多く、特に反論したり怒った時の話し方がぞんざいだし、自分の判断を通すときには感情的で横暴な態度に見えるので、冷静さと安定感に欠ける印象を与える(特に第3シーズン)。(翻訳と吹き替えのせいかと思ったら、英語で聴いても似たようなものだった)
さらに、異星人(それに同僚にも)に殴られるシーンがかなり多い。キャプテンカークも結構殴りあうシーンがあったけど、アーチャー船長のシーンの方がずっと暴力的に見える。
とはいえ、宇宙艦隊の規約が確立されていない初の深宇宙探検であり、内政干渉する話も多いとはいえ、彼(と艦隊)の行動原則を試行錯誤しながら見つけ出していく過程には共感できる。(ただし、大事な外交儀式のために立ち寄った星に、愛犬を連れて行ってトラブルを招いて、さらに相手に責任転嫁するというシナリオは常識はずれで全く感心できない)
この時代に船長が愛犬を連れて宇宙船に乗っていいの?という疑問はともかくとして、ビーグル犬のポートスがとっても可愛い。
とても気に入っているお話『フロックス船長の孤独』では、好きなキャラクターのドクター・フロックスとポートスの出番が多く、戦闘シーンがないのが良い。何よりポートスがシッポを振りながら船内をトコトコ巡回する姿がとても可愛くてほっこり。
ポートス[Memory Alpha]

異星人のなかでは、たびたび登場するヴァルカン人(特にソヴァル大使)やアンドリア人のシュラン司令官の人物設定と役回りが良くて、好感が持てるキャクラクタ。ソヴァル大使は最初は地球人を見下す言動が多かったけど、徐々に地球人と協力したり助ける役柄になっていた。”無人くん”に似ているアンドリア人はの触覚がクネクネ動くのが面白い。
『エンタープライズ』では、ヴァルカン人が登場する話が他シリーズよりもはるかに多いところがいい。地球人とヴァルカン人との関係は微妙な緊張状態にあるし、なぜか第4シリーズでは論理的であるはずのヴァルカン人が内紛めいた謀略で死傷者出すのも厭わなかったり、シリーズを通してヴァルカン人にしては非合理的、偏狭、利己的な登場人物が多い。


<ストーリーについて>
第4シーズンでは大半が2話または3話完結のストーリーで、以前のシーズンよりもはるかに質が上がっている。
第1と第2シーズンは小粒ながらも好きな話が多い。秀作と思うのは『スプートニクの夜に』。それに『追放された者への祈り』や『戦場の絆』など、ヴァルカン人が登場する話は面白い。
シリーズ全体が連作話になっている第3シーズンはかなり問題あり。スタートレックが(B級?)SF戦争アクションのドラマになってしまった。
緊迫感があって結構面白く観れるけど、敵側の通信ステーション基地を先制攻撃で破壊したり、捕虜を減圧で拷問したり、必要に迫られてとはいえ、何の関係もない別種族の宇宙船からワープ航法に不可欠なワープコイルを略奪したりと、今までのスタートレックではありえない設定。現実世界を反映しているようなリアリティがあるとはいえ、トレッキーに不評だったのも納得。
アーチャー船長はこの第3シリーズでは、今までにも増して軍人風の言動になり(髪も短く刈っているし)、トゥポルがヴァルカン人なのに”麻薬”中毒患者になって感情抑制を失ってしまい、地球人とほとんど変わらなくなってしまった。
トンデモ設定が多々あるとはいえ、まともな話がないわけではなく、『留められない記憶』と『フロックス船長の孤独』、『エンタープライズ2』は殺伐さがなく、ほっこりするところもあっていい話だった。シュラン司令官が登場する『アンドリア人の協力』も化かし合いみたいで面白かったし、『ライサリア砂漠幼虫』は臓器移植のために生まれたタッカーのクローン人がテーマだったので、カズオ・イシグロの小説『私を離さないで』(2005年)を思い出した。

フィクションなのでどーでもいい事だろうけど、ずっと気にかかってしまったのは、エンタープライズにワープコイルを奪われた民間宇宙船。インパルスエンジンだけで3年もかけて無事に母星に帰還できるんだろうか?(アーチャー船長自身は、彼らを犠牲にしたと思っているので、たぶん帰り着けない可能性が高い)
地球に帰還後、休暇中にエンタープライズの修理をさっさと完了させて、あの宇宙船を探し出して、ワープコイルを返してあげないといけないのでは?と思ってしまった。ワープコイルのおかげで期日どおりに評議会に到着出来て、その結果として地球(と宇宙)が救われたなら、その恩を返すための後日談を作って欲しかった。

好きな話や秀作も多い一方で疑問の多い設定や展開も多々あるなかで、最もがっかりしたのは最終話。(そのうちトゥポルと結婚するだろうと思われた)タッカーが侵入者との戦闘中に負傷して死んでしまうという展開にあちこちから批判が殺到したらしい。重要なレギュラーのクルーを最後に死なすなんて、それも必然性が全く感じられないのでなおさら、シリーズのエンディングにしては後味が悪すぎる。私としては、この最終話は観なかったことにしたい。

シリーズ全体としては、トレッキーの間で不評だったというのもよくわかるけど、クルーや異星人に好きなキャラクターが多いし、時代設定が現代に近くなっているだけ、作り物めいた科学技術も他シリーズに比べて少なく、好きなストーリーも多い。
時々、他シリーズのストーリーを流用している話があって、面白ければそれでも良いとは言え、ちょっと手抜き気味?
特に第4シーズンは3連作や前後編でストーリー展開が複雑になって、見せ場も多いし、平和交渉に尽力するアーチャー船長は第3シーズンとは打って変わって安定感が増していた。このレベルの話が続く第4シーズンを見ていると、打ち切られてしまったのがとても残念。


スタートレック:エンタープライズ Star Trek: Enterprise 放映タイトルリスト

ENTERPRISE 日本語版エピソードガイド(Star Trek - U.S.S. Kyushu [スタートレック総合サイト])


『エンタープライズ』のメインテーマは、珍しくインストルメンタルではなくて、ラッセル・ワトソンの歌う”Where My Heart Will Take Me”。(原曲はロッド・スチュワートの 「Faith of the Heart」)
曲自体はとても好きだけど、オープニングとしては、ポップな雰囲気がドラマのイメージとちょっとズレているような気がする。

これはシーズン1&2で使われていたバージョン。
Where My Heart Will Take Me (Album Version) - Enterprise Soundtrack - Russell Watson



シーズン3&4では、低音のビートが効いた(というのか)アレンジに変わり、躍動感溢れる曲になっている。(こっちの方が好き)
STAR TREK ENTERPRISE Season 3 & 4 Opening Titles (HQ)



メインテーマにするなら、(ヴォイジャーのテーマと同じく)堂々とした輝きと広がりのある”Archer's Theme”の方が似合っていると思う。こちらはエンディングに使われているので、オープンニングとひっくり返して欲しかった。
Star Trek: Enterprise Music - Archer's Theme (expanded edit)


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