気ままな生活

♪音楽と書物に囲まれて暮らす日々の覚え書♪  

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【新譜情報】スティーブン・ハフ 『ブラームス/最後のピアノ作品集』(追記あり)

久しぶりにリリースされるスティーブン・ハフの新譜は、全然予想していなかったブラームスの後期ピアノ小品集『Brahms:The Final Piano Pieces』。タワーレコードの発売日は12月15日なので、クリスマスの頃には聴けるはず。

収録曲は《7つの幻想曲集 Op.116》、《3つの間奏曲 Op.117》、《6つの小品 Op.118》、《4つの小品 Op.119》。
ブラームスの後期ピアノ曲では、以前はOp.118が一番気に入っていたけど、カッチェンのライブ録音やコジュヒンのスタジオ録音でOp.116をよく聴くようになってから、今ではOp.118と同じくらいに好き。

早くも公開されている試聴ファイルを聴いてみたら、CDで聴くのが待ち遠しくて仕方がない。今はPCスピーカーで聴いているけど、音質がずっと良いステレオでCDを聴けば印象も変わると思う。
ハフが弾いているのはスタインウェイではなく、ヤマハCFX。ハフのCDのブックレットを調べてみたところ、昔はスタインウェイ、最近は、ソロはヤマハ、室内楽とコンチェルトはスタインウェイというように、ピアノを使い分けてるみたい。

色彩感豊かで煌くような音色が美しく、ハフらしい粘りのないさらっとしたタッチが軽やか。ブラームス独特の重音が重なる厚い響きでも混濁することなくソノリティはクリア。
重たく持たれることのない繊細な叙情感が、季節が移ろいゆくように自然に流れてゆく感覚がする。

試聴した限りでは、全体的に陰翳が薄めでテンポが速いので、曲によってはさらさらと淡い情感が通り過ぎてしまって、もっとじっくりと叙情感を味わいたいと感じる曲もある。
Op.116は、テンポと曲想とがぴったり合って、叙情感はこの曲集が一番濃く感じる。
Op.117以降は曲自体に枯れた感じが濃くなってきたせいか、叙情感もあっさりした感じがする。
Op.117はテンポが速くて陰翳が薄いので、好みとしてはもう少し鬱々して欲しい。Op.118-2もテンポがかなり速いので、私にはあっさりしすぎな感じ。(最後まで聴けば印象変わるかも)
Op.119-1はハフの速いテンポの方が陰鬱すぎずに、淡い情感の脆さが感じられて好き。

Brahms:The Final Piano PiecesBrahms:The Final Piano Pieces
(2019年12月15日)
Stephen Hough

試聴ファイル(hyperion)


録音年月:2014年5月(Op.116)、2018年12月(Op.117-Op.119)
ジャケットの絵は、ヴィルヘルム・ハンマースホイ《室内、ストランゲーゼ30番地》。ハンマースホイが住んでいたコペンハーゲンのストランゲーゼ30番地にあるアパートの室内を描いたもので、窓際の女性は妻イーダ。

Digital booklet の冒頭に書かれたハフの言葉のなかで印象に残ったのは、”晩年の作品を書いた頃に、ブラームスは孤独感にもがいていたわけでも、それを乗り越えたわけでもない。後期作品は小部屋で聴衆が聴くサロン音楽というジャンルに分類されるだろう。その種のピアノ小品の父ともいえるシューベルトの場合は、どんなに傷心の旋律に満たされていても常に共感する聴き手の存在が感じられる。ブラームスでは、部屋のなかに誰の姿もなく、ただ一人髭面のピアニストがピアノの前に座っている。”



[2019.12.21 追記]
クリスマス前に届いたCDを早速ステレオで聴くと、試聴した時よりもはるかに素晴らしい。今まで聴いた後期作品集の録音のなかでは、カッチェン・レーゼルと並ぶマイベスト盤。
最新のデジタル録音で細部まで明瞭に聴き取れるので、ハフのピアノの音色の美しさとソノリティの豊かさが際立っている。ピアノの音に関してはハフが最も美しいと思う。

ハフのブラームスは細部まで緻密で繊細な表現と多彩な色彩・ソノリティが相まって、淡くも深みのある情感が音の隙間にまで籠っているような感覚がする。
カッチェンのように細かなルバートを多用するのではなく、長いフレーズでテンポをかなり変えているので、冒頭でテンポが速すぎると感じても、途中でちょうど良い感じのテンポに変わっている。
重音でもタッチが軽やかなので、重たく感じることはないし、ブラームスらしい厚みのある響きがペダルで折り重なって、膨らみのある豊かな響きには、混濁感を感じさせない透明感がある。
全体的に響きがまろやかで、弱音が折り重なる残響のなかに、時に靄がかかったような曖昧さと不可思議さが漂っている。
特に弱音の微妙なニュアンスに繊細な情感がさりげなくこぼれ落ちてくるようで、内面のささやきのような密やかさと静けさがじんわりと心に沁み込んでくる。

ピアノの音や表現の素晴らしさに加えて、今まで聴いたブラームスと一番違うところは、右手と左手のタッチや色彩感も響きが微妙に違うせいか、まるで2人のピアニストがデュエットしているような立体感。フレージングの違いも加わって、いつも聴いているのと同じ曲なのに、音やフレーズが微妙に違うように感じる。

面白い解釈なのはOp.118-1。この曲はちょっと変わったリズムが苦手だったけど、すっかり印象が変わってしまった。力感と音量が押さえめで、リズム感も少し緩め。せり上ってくるような力強さはなく、くぐもったような曖昧さのある響きが時に沈み込むようで、ためらいみたいなものを感じる。

CDを一度聴いてハフのブラームスの素晴らしさに惹き込まれてしまい、羽毛のように優しく触れるような親密感と淡く深い情感にシンクロして溶け込んでくような感覚があまりに心地よくて、何回聴いても飽きない。

Tag : ブラームス スティーヴン・ハフ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

|  ♪ スティーヴン・ハフ | 2019-12-21 00:00 | comments:2 | TOP↑

初めまして。今日こちらのブログを見つけました。
職業柄、医療や音楽に関係があるので、こちらのブログは本当に興味深いです。
沢山記事があるので、過去に遡って毎日楽しみに読ませて頂きます^^

| Kino | 2019/10/25 09:48 | URL |

 

Kino様

ご訪問とコメント、どうもありがとうございます。
医療に関する記事は。素人がいろいろ調べたことをまとめたものですが、何かのご参考になれば幸いです。

| yoshimi | 2019/10/25 22:38 | URL | ≫ EDIT











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