フェインベルクとスタンチンスキーのピアノ作品
2020-01-16(Thu)
マルク=アンドレ・アムランの新譜は、サムイル・フェインベルクのピアノ・ソナタ集。
フェインベルクの作品はまともに聴いた覚えがないので、試聴ファイルで少し聴いた限りでは、音の厚みと情感を薄くした初期スクリャービンを聴いているような気がする。
曲自体は美しくて聴きやすいけど、スクリャービンを聴いている時のような印象的な旋律や強い情感が感じられないので私のこのみとは合わなかった。
フェインベルクについて調べていたら、アレクセイ・ウラディミロヴィチ・スタンチンスキーという同時代の作曲家がいたのを見つけた。
フェインベルクを同じくスクリャービンの受けているようなので、NMLで聴いてみたら、フェインベルクよりも作風にバラエティがあって、どの曲も面白い。
初期の作品で一番最初の《ピアノ・ソナタ変ホ長調》はまるでスクリャービン聴いている気分になるけど、《12のスケッチ》はモダンなリズムと旋律とちょっとシニカルな雰囲気がプロコフィエフに近く、《前奏曲ハ短調》(912年)はほとんどムソルグスキー。
《無言歌》や《ノクターン》はベタっとした感傷性は薄くて、とてもロマンティック。
どの曲も印象的な旋律と起伏に富んだ彫の深い表情で情感豊か。でも、ラフマニノフ風な華麗な旋律や響きの曲でも、ロシア的憂愁のウェットな重たさはない。
旋律・リズムの面白さでは《12のスケッチ》、音色と響きの多彩で華麗な美しさなら《前奏曲》、カノン形式のなかに現代的な旋律や民族舞踏的な旋律やリズムが織り込まれた《カノン形式による5つの前奏曲》など、曲ごとに作風や形式の特徴が明瞭なので、作品年順に聴くと作曲技法の変遷がよくわかる。好きな曲がかなり多いので、全集録音があればCDで聴きたいと思うくらい。
ピアノ・ソナタ変ホ短調(1905年)
Alexei Stanchinsky - Piano Sonata in E-flat minor
12のスケッチ
Alexei Stanchinsky ‒ 12 Sketches, Op.1
ノクターン(1907)
Stanchinsky: Nocturne (1907)
前奏曲とフーガ ト短調 (1909)
Alexei Stanchinsky - Prélude and Fugue in G minor
5つの前奏曲 (1907-1912) (最後のハ短調はムソルグスキー風)
Alexei Stanchinsky - 5 Preludes (1907-1912)
カノン形式による5つの前奏曲 (1913-1914)
第1番は勇壮、第2番は民謡風、第3番は瞑想的、第4番はミステリアス、第5番は無窮動風。曲想が全部違って面白い。一番好きなのは第1番。
Alexei Stanchinsky - Five Preludes in the form of a Canon
ピアノ作品全集の録音はまだ出ていないようで、今のところCD1枚分のピアノ作品集がいくつか。
エカテリーナ・デルジャヴィナはタッチが丁寧で、ピアノのソノリティや演奏が流麗で美しいので好きだけど、《カノン形式の前奏曲》が入っていればさらに良かった。
オルガ・ソロヴィエヴァの全集分売盤(Vol.1)は、スタンチンスキーが1910年までに作曲した全作品を収録。《12のスケッチ》は入っていないけど、他のCDには収録されていない《ユモレスク》や《練習曲》が聴けるのでバラエティは豊か。
作品番号ごとではなくランダムに配列しているので、一つの曲集ごとにまとまって聴きたい私としてはあまり好きな曲順ではない。
Nikolai Fefilovは、《12のスケッチ》、《前奏曲》、《カノン形式による5つの前奏曲》を収録。タッチの切れ味と指回りが良くて↑の2枚に比べると、力強くて男性的な感じがする。(もう少しタッチが丁寧な方が好きだけど)演奏と選曲ともかなり私好みなので、スタンチンスキーのCDを買うならこちらにするかも。
フェインベルクの作品はまともに聴いた覚えがないので、試聴ファイルで少し聴いた限りでは、音の厚みと情感を薄くした初期スクリャービンを聴いているような気がする。
曲自体は美しくて聴きやすいけど、スクリャービンを聴いている時のような印象的な旋律や強い情感が感じられないので私のこのみとは合わなかった。
![]() | フェインベルグ:ピアノ・ソナタ第1番~第6番 (2020年02月15日) Marc-André Hamelin 試聴ファイル(hyperion) |
フェインベルクについて調べていたら、アレクセイ・ウラディミロヴィチ・スタンチンスキーという同時代の作曲家がいたのを見つけた。
フェインベルクを同じくスクリャービンの受けているようなので、NMLで聴いてみたら、フェインベルクよりも作風にバラエティがあって、どの曲も面白い。
初期の作品で一番最初の《ピアノ・ソナタ変ホ長調》はまるでスクリャービン聴いている気分になるけど、《12のスケッチ》はモダンなリズムと旋律とちょっとシニカルな雰囲気がプロコフィエフに近く、《前奏曲ハ短調》(912年)はほとんどムソルグスキー。
《無言歌》や《ノクターン》はベタっとした感傷性は薄くて、とてもロマンティック。
どの曲も印象的な旋律と起伏に富んだ彫の深い表情で情感豊か。でも、ラフマニノフ風な華麗な旋律や響きの曲でも、ロシア的憂愁のウェットな重たさはない。
旋律・リズムの面白さでは《12のスケッチ》、音色と響きの多彩で華麗な美しさなら《前奏曲》、カノン形式のなかに現代的な旋律や民族舞踏的な旋律やリズムが織り込まれた《カノン形式による5つの前奏曲》など、曲ごとに作風や形式の特徴が明瞭なので、作品年順に聴くと作曲技法の変遷がよくわかる。好きな曲がかなり多いので、全集録音があればCDで聴きたいと思うくらい。
ピアノ・ソナタ変ホ短調(1905年)
Alexei Stanchinsky - Piano Sonata in E-flat minor
12のスケッチ
Alexei Stanchinsky ‒ 12 Sketches, Op.1
ノクターン(1907)
Stanchinsky: Nocturne (1907)
前奏曲とフーガ ト短調 (1909)
Alexei Stanchinsky - Prélude and Fugue in G minor
5つの前奏曲 (1907-1912) (最後のハ短調はムソルグスキー風)
Alexei Stanchinsky - 5 Preludes (1907-1912)
カノン形式による5つの前奏曲 (1913-1914)
第1番は勇壮、第2番は民謡風、第3番は瞑想的、第4番はミステリアス、第5番は無窮動風。曲想が全部違って面白い。一番好きなのは第1番。
Alexei Stanchinsky - Five Preludes in the form of a Canon
ピアノ作品全集の録音はまだ出ていないようで、今のところCD1枚分のピアノ作品集がいくつか。
エカテリーナ・デルジャヴィナはタッチが丁寧で、ピアノのソノリティや演奏が流麗で美しいので好きだけど、《カノン形式の前奏曲》が入っていればさらに良かった。
![]() | Stanchinsky: Piano Works (2017/3/3) Ekaterina Derzhavina 試聴ファイル |
オルガ・ソロヴィエヴァの全集分売盤(Vol.1)は、スタンチンスキーが1910年までに作曲した全作品を収録。《12のスケッチ》は入っていないけど、他のCDには収録されていない《ユモレスク》や《練習曲》が聴けるのでバラエティは豊か。
作品番号ごとではなくランダムに配列しているので、一つの曲集ごとにまとまって聴きたい私としてはあまり好きな曲順ではない。
![]() | Stanchinsky: Complete Piano Works, Vol. 1 (2019/11/1) Olga Solovieva 試聴ファイル |
Nikolai Fefilovは、《12のスケッチ》、《前奏曲》、《カノン形式による5つの前奏曲》を収録。タッチの切れ味と指回りが良くて↑の2枚に比べると、力強くて男性的な感じがする。(もう少しタッチが丁寧な方が好きだけど)演奏と選曲ともかなり私好みなので、スタンチンスキーのCDを買うならこちらにするかも。
![]() | Stanchinsky: Piano Music (1992/1/1) Nikolai Fefilov 試聴ファイル |
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