ポール・ルイス ~ ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ全集(3)第1番,第2番,第3番,第4番,第22番,第23番「熱情」
2020-07-26(Sun)
ポール・ルイスの『ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ全集&ピアノ協奏曲全集』BOXセット。CD1から順番に聴いているところで、今回はCD5とCD6。収録曲は、第1番,第2番,第3番,第4番,第22番,第23番「熱情」。
<曲順>
[CD1] 第16番,第17番「テンペスト」,第18番「狩り」(2005年4月)
[CD2] 第8番 「悲愴」,第11番,第28番(2005年12月,2006年3月)
[CD3] 第9番,第10番,第24番,第21番 「ワルトシュタイン」(2005年12月,4月)
[CD4] 第27番,第25番,第29番 「ハンマークラヴィーア」(2006年3月,6月)
[CD5] 第1番,第2番,第3番(2006年10月,11月)
[CD6] 第4番,第22番,第23番『熱情』(2006年10月,11月)
[CD7] 第12番(「葬送行進曲」,第13番(「幻想曲風」),第14番「月光」(2006年10月、11月)
[CD8] 第5番,第6番,第7番(2007年4月)
[CD9] 第15番「田園」,第19番,第20番,第26番「告別」(2005年4月,2006年6月,2007年4月)
[CD10] 第30番,第31番,第32番(2007年6月)
録音場所:ベルリン、テルデックス・スタジオ
CD5とCD6で好きな演奏は第4番と第22番。どちらも素晴らしい。
曲自体が好きな第1番と、あまり聴かない「熱情」は、急速楽章の緊迫感や白熱感をあまり感じなかった。疾風怒濤的な曲はタッチが柔らかくて丁寧なせいか、ちょっと緩く感じる。
<第1番>
Sonata No. 1 in F Minor, Op. 2 No. 1: I. Allegro
Sonata No. 1 in F Minor, Op. 2 No. 1: IV. Prestissimo
<第4番>
ミケランジェリの重くて暗い(私にはコンクリートみたいに殺伐とした感じがする)録音で初めて聴いた曲。ルイスの演奏だと印象が全然違って、優美で明るく、開放感と広がりがあって、特に第1楽章がとても好きになった。
第1楽章は、柔らかい軽やかなタッチで躍動感もあり、和音連打でも全然重たくないけど、構築感はしっかり感じる。曲線的な起伏のあるフレージングが優美で、特に主題部の終盤(オスティナート・トレモノ?)の響きが荘重で美しい。タッチ(硬軟強弱)が多彩で、特に弱音と強音では響きの質がかなり変わるので、起伏が緩くても微妙に移り変わる表情が豊か。
第3楽章と第4楽章は、曲想が似ていて、雨上がりのような清々しさで、お出かけしたい浮き浮きとした気分。でも、中間部は胸騒ぎがするような不安感。タッチと響きがガラっと変わるので、明暗のコントラストが鮮やか。
Sonata No. 4 in E-Flat Major, Op. 7: I. Allegro molto e con brio
<第22番>
元々好きな曲だけど、ケンプと並んでルイスの演奏が一番好き。
第1楽章は、「問いと答え」みたいな旋律の掛け合い。ベートーヴェンのピアノ・ソナタにはこういう問いかけるような旋律が時々でてくる。同じ旋律が音程かえて循環していくような構成で、ルイスの演奏はメリハリ強めで面白い。
第2楽章は第1楽章よりもずっと好きで、第2楽章はケンプの録音が幻想的な響きでとても美しい。
上行・下行を繰り返してぐるぐる循環していくところは、第1楽章とちょっと似た感じ。練習曲風みたいな歌謡性のない単純な旋律と構成なのに、響きが綺麗でとても叙情的。
幻想的なケンプの響きとは違って、ルイスの演奏は柔らかいタッチとちょっと甘くて可愛らしい響きでファンタジーの世界で遊んでいるような楽しさ。
タッチと響きが多彩で微妙に移り変わっていき、時々フレージングも音型をくっきり浮き出すようなシャープなリズムとタッチで弾くのがアクセントになって、何度聴いても全然飽きなくて面白い。
「ワルトシュタイン」と「熱情」に挟まれてあまり目立たない曲だけど、元々好きなことに加えて、ルイスの演奏は素晴らしいと思う。
Sonata No. 22 in F Major, Op. 54: I. In tempo di menuetto
Sonata No. 22 in F Major, Op. 54: II. Allegretto
<第23番「熱情」>
Sonata No. 23 in F Minor, Op. 57 - "Appassionata": III. Allegro ma non troppo
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
![]() | Beethoven: Complete Piano Sonatas (2019/11/15) Paul Lewis 試聴ファイル(allmusic.com、ピアノソナタ全集原盤) |
<曲順>
[CD1] 第16番,第17番「テンペスト」,第18番「狩り」(2005年4月)
[CD2] 第8番 「悲愴」,第11番,第28番(2005年12月,2006年3月)
[CD3] 第9番,第10番,第24番,第21番 「ワルトシュタイン」(2005年12月,4月)
[CD4] 第27番,第25番,第29番 「ハンマークラヴィーア」(2006年3月,6月)
[CD5] 第1番,第2番,第3番(2006年10月,11月)
[CD6] 第4番,第22番,第23番『熱情』(2006年10月,11月)
[CD7] 第12番(「葬送行進曲」,第13番(「幻想曲風」),第14番「月光」(2006年10月、11月)
[CD8] 第5番,第6番,第7番(2007年4月)
[CD9] 第15番「田園」,第19番,第20番,第26番「告別」(2005年4月,2006年6月,2007年4月)
[CD10] 第30番,第31番,第32番(2007年6月)
録音場所:ベルリン、テルデックス・スタジオ
CD5とCD6で好きな演奏は第4番と第22番。どちらも素晴らしい。
曲自体が好きな第1番と、あまり聴かない「熱情」は、急速楽章の緊迫感や白熱感をあまり感じなかった。疾風怒濤的な曲はタッチが柔らかくて丁寧なせいか、ちょっと緩く感じる。
<第1番>
Sonata No. 1 in F Minor, Op. 2 No. 1: I. Allegro
Sonata No. 1 in F Minor, Op. 2 No. 1: IV. Prestissimo
<第4番>
ミケランジェリの重くて暗い(私にはコンクリートみたいに殺伐とした感じがする)録音で初めて聴いた曲。ルイスの演奏だと印象が全然違って、優美で明るく、開放感と広がりがあって、特に第1楽章がとても好きになった。
第1楽章は、柔らかい軽やかなタッチで躍動感もあり、和音連打でも全然重たくないけど、構築感はしっかり感じる。曲線的な起伏のあるフレージングが優美で、特に主題部の終盤(オスティナート・トレモノ?)の響きが荘重で美しい。タッチ(硬軟強弱)が多彩で、特に弱音と強音では響きの質がかなり変わるので、起伏が緩くても微妙に移り変わる表情が豊か。
第3楽章と第4楽章は、曲想が似ていて、雨上がりのような清々しさで、お出かけしたい浮き浮きとした気分。でも、中間部は胸騒ぎがするような不安感。タッチと響きがガラっと変わるので、明暗のコントラストが鮮やか。
Sonata No. 4 in E-Flat Major, Op. 7: I. Allegro molto e con brio
<第22番>
元々好きな曲だけど、ケンプと並んでルイスの演奏が一番好き。
第1楽章は、「問いと答え」みたいな旋律の掛け合い。ベートーヴェンのピアノ・ソナタにはこういう問いかけるような旋律が時々でてくる。同じ旋律が音程かえて循環していくような構成で、ルイスの演奏はメリハリ強めで面白い。
第2楽章は第1楽章よりもずっと好きで、第2楽章はケンプの録音が幻想的な響きでとても美しい。
上行・下行を繰り返してぐるぐる循環していくところは、第1楽章とちょっと似た感じ。練習曲風みたいな歌謡性のない単純な旋律と構成なのに、響きが綺麗でとても叙情的。
幻想的なケンプの響きとは違って、ルイスの演奏は柔らかいタッチとちょっと甘くて可愛らしい響きでファンタジーの世界で遊んでいるような楽しさ。
タッチと響きが多彩で微妙に移り変わっていき、時々フレージングも音型をくっきり浮き出すようなシャープなリズムとタッチで弾くのがアクセントになって、何度聴いても全然飽きなくて面白い。
「ワルトシュタイン」と「熱情」に挟まれてあまり目立たない曲だけど、元々好きなことに加えて、ルイスの演奏は素晴らしいと思う。
Sonata No. 22 in F Major, Op. 54: I. In tempo di menuetto
Sonata No. 22 in F Major, Op. 54: II. Allegretto
<第23番「熱情」>
Sonata No. 23 in F Minor, Op. 57 - "Appassionata": III. Allegro ma non troppo
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