F.P.ツィンマーマン&ヘルムヒェン ~ ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第1番~第4番
2020-09-07(Mon)
フランク・ペーター・ツィンマーマンの新譜は、今年リリースされるかも..と期待していたベートーヴェンの《ヴァイオリン・ソナタ全集》録音の第1弾になる第1番~第4番。
ヴァイオリンはツィンマーマンの愛器1711年製のストラディヴァリウス「レディ・インチクイン」、ピアノはベルギーのクリス・マーネ製作の平行弦ピアノ。
個人的に残念なのは、伴奏ピアニストがいつものデュオ相手エンリコ・パーチェではなく、マルティン・ヘルムヒェンだったこと。
ヘルムヒェンとデュオを組んだ理由は知らないけど、今年はベートーヴェンイヤーなのでツィンマーマンの「ヴァイオリンソナタ演奏会」の予定が詰まっているだろうし、それはカヴァコスのピアノ伴奏者でもあるパーチェも同じこと。それに、今年の演奏会と今回の全集録音とは同じデュオで演奏する必要があるだろうから、もしツィンマーマンが望んだとしても、パーチェと録音するのは難しかったはず。
過去のヘルムヒェンの録音を聴いた印象は、ディアベリ変奏曲とピアノ協奏曲、ブラームスのチェロ・ソナタは、音質が軽くて線が細いし、力感・量感が弱い。音色はまろやかで繊細で綺麗だと思うけど、ダイナミックレンジが狭くて全体的に弱音寄りなので、演奏がちょっと弱々しく感じる。シューベルトとシューマンは、明るく軽やかな音色と、過度に繊細ではない弱音のニュアンスが情感過多でなくて聴きやすい。ベートーヴェンとブラームスの演奏に限って言えば、私の好きなタイプのピアニストではないのは確か。
試聴ファイルを聴くと、↑のヘルムヒェンの印象とはかなり違っていた。
全体的にテンポが速め。ヴァイオリンが控えめ..というよりは、ピアノが賑やかというか、ボリュームが大きいというか、ピアノが前面に出てきているように感じる。
ピアノの甘い音色は弱音で特に綺麗。テンポが速くなるとピアノが忙しなくて、特にフォルテになるとタッチが急に強く尖って突き刺ささるようで、ちょっと騒々しい。
ヘルムヒェンのピアノは、このベートーヴェンでは他の録音よりも肩に力が入りすぎているように感じる。もともと音質が軽くて量感も少ないので、タッチを強くすると力感だけ強調されて聴こえる。
ベートーヴェンに力強さは必要だとは思うけど、何度聴いてもこのフォルテのタッチと響きが私の好みとは違っていた。そのうちNMLでも聴けるだろうし、CD買うのはパス。
2018年のライブ音源。ピアノのフォルテのタッチもスタジオ録音ほどに強くないし、こちらの方がヴァイオリンとピアノのバランスが良い気はする。
FRANK PETER ZIMMERMANN & MARTIN HELMCHEN EN EL FESTIVAL CANARIAS, MÚSICA EN OTOÑO
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
ヴァイオリンはツィンマーマンの愛器1711年製のストラディヴァリウス「レディ・インチクイン」、ピアノはベルギーのクリス・マーネ製作の平行弦ピアノ。
個人的に残念なのは、伴奏ピアニストがいつものデュオ相手エンリコ・パーチェではなく、マルティン・ヘルムヒェンだったこと。
ヘルムヒェンとデュオを組んだ理由は知らないけど、今年はベートーヴェンイヤーなのでツィンマーマンの「ヴァイオリンソナタ演奏会」の予定が詰まっているだろうし、それはカヴァコスのピアノ伴奏者でもあるパーチェも同じこと。それに、今年の演奏会と今回の全集録音とは同じデュオで演奏する必要があるだろうから、もしツィンマーマンが望んだとしても、パーチェと録音するのは難しかったはず。
![]() | Beethoven: Violin Sonatas Nos 1-4 (2020/9/4) Frank Peter Zimmermann & Martin Helmchen 試聴ファイル(bis.se) ※30秒ごとに ▶ をクリックし直せば全曲試聴できる。 |
過去のヘルムヒェンの録音を聴いた印象は、ディアベリ変奏曲とピアノ協奏曲、ブラームスのチェロ・ソナタは、音質が軽くて線が細いし、力感・量感が弱い。音色はまろやかで繊細で綺麗だと思うけど、ダイナミックレンジが狭くて全体的に弱音寄りなので、演奏がちょっと弱々しく感じる。シューベルトとシューマンは、明るく軽やかな音色と、過度に繊細ではない弱音のニュアンスが情感過多でなくて聴きやすい。ベートーヴェンとブラームスの演奏に限って言えば、私の好きなタイプのピアニストではないのは確か。
試聴ファイルを聴くと、↑のヘルムヒェンの印象とはかなり違っていた。
全体的にテンポが速め。ヴァイオリンが控えめ..というよりは、ピアノが賑やかというか、ボリュームが大きいというか、ピアノが前面に出てきているように感じる。
ピアノの甘い音色は弱音で特に綺麗。テンポが速くなるとピアノが忙しなくて、特にフォルテになるとタッチが急に強く尖って突き刺ささるようで、ちょっと騒々しい。
ヘルムヒェンのピアノは、このベートーヴェンでは他の録音よりも肩に力が入りすぎているように感じる。もともと音質が軽くて量感も少ないので、タッチを強くすると力感だけ強調されて聴こえる。
ベートーヴェンに力強さは必要だとは思うけど、何度聴いてもこのフォルテのタッチと響きが私の好みとは違っていた。そのうちNMLでも聴けるだろうし、CD買うのはパス。
2018年のライブ音源。ピアノのフォルテのタッチもスタジオ録音ほどに強くないし、こちらの方がヴァイオリンとピアノのバランスが良い気はする。
FRANK PETER ZIMMERMANN & MARTIN HELMCHEN EN EL FESTIVAL CANARIAS, MÚSICA EN OTOÑO
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。