白神典子&ブレーメン弦楽ソロイスツ - Bremen String Soloists ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番&第2番(ピアノ&弦楽五重奏版)
2020-07-20(Mon)
NMLでたまたま見つけたのは、白神典子&ブレーメン弦楽ソロイスツによるピアノ&弦楽五重奏版『ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番&第2番』。編曲者は、白神典子の夫でプロデューサー・エンジニアのウリ・シュナイダー。(録音当時結婚していたかどうかは不明。)
白神典子の録音は、『ブルックナー/ピアノ作品集』をずっと昔にNMLで聴いたことがある。BISに編曲作品の録音がかなりあるけど、プロフィールを調べてみたら彼女は2017年に乳がんで49歳で他界していた。
白神典子のプロフィール[ファルスタッフのCD紹介]
※試聴ファイルは全曲試聴可能。但し、30秒ごとに再生が止まる。
このシュナイダー編曲版はとっても面白い。単にオーケストラパートを弦楽五重奏に置きかえたのではなく、トゥッティ(弦楽五重奏)にピアノが加わっている。オケパートを弦楽五重奏に編曲すると色彩感や音量などかなり物足りないので、ピアノの豊かな音量と多彩な音色と響きがそれをある程度補って、”ピアノ六重奏曲”になっている。
ピアノがほとんど休む間もなく聴こえてくるので、ラハナー編曲版よりも華やかでピアノを聴く楽しみも増えて、シュナイダーの編曲はとっても気に入ってしまった。
編曲だけでなく、ピアノの音も演奏も私の好きなタイプ。(ピアノはYamaha S6。CFシリーズよりも小さく、個人宅だけでなく、サロンや小ホールにも置いてあるので、室内楽には向いているらしい。)
やや硬質で粒立ち良く輪郭明瞭な音にはほどよい力感と量感があり、陰翳のある音色と抑揚豊かなフレージングに情感が籠って、響きには凛とした強さと美しさがある。快活さと優美がうまくバランスして、叙情麗しく品の良さがある。
第3楽章以外はあまり好きでない第2番でも、この室内楽バージョンで聴くとなぜか妙にしっくりくるのが不思議。
ピアノが全編に流れているのに加えて、曲想や旋律がモーツァルト風なので、小編成の室内楽演奏でも違和感ないからかも。ピアノの煌きのあ高音やニュアンスのこもった優しい弱音がこの曲に良く映えている。特に好きな第3楽章は、波がさざめくように軽やかで煌きのある高音がとても綺麗。
Piano Concerto No. 2 in B-Flat Major, Op. 19: II. Adagio
編曲・演奏とも気に入ったのですぐにCDを注文したけど、取り寄せなので2週間くらいかかりそう。届くのが待ち遠しい。
[追記]
注文後2週間でHMVに入荷。メーカー在庫切れだったのに、入荷されてよかった。早速聴いてみたら、試聴した時よりもはるかに素晴らしい。
ピアノの音を聴いているだけで嬉しくなるくらいに、音色や響きが綺麗。粒立ちよく切れ良いタッチで、芯のしっかりした輪郭の軽量な音、響きの丸みがあり、落ち着いた煌きとあかるさがあって、特に弱音の高音の響きがとても品が良い。
YAMAHA/S6の音色は、スタインウェイのコンサートグランドのような煌びやさではなく、ちょっとくすんだような奥ゆかしさとまろやかさがあって、やはり室内楽には向いているのだと思う。
トゥッティではピアノの音量をかなり抑えて、弦楽パートの一部のようにあまり前面に出ないし、ピアノソロでも少し音量が控えめ。協奏曲のようにソロが華やかに前面にでてくるというよりも、存在感はしっかりあるけど主張しすぎず、弦楽と”協奏”するという感じで、弦楽パートが伴奏役ではないピアノ六重奏曲になっている。
でも、カデンツァになると、音量豊かで響きも重層的でダイナミックで、力強く華やか。(特に第1番第1楽章)
たまたま見つけた録音だったけど、思い掛けないとても素敵なベートーヴェン。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
白神典子のピアノソロで、チャイコフスキー《四季》の「秋の歌」、「舟歌」、「白夜」、シューマン《子供の情景》の「トロイメライ」と「暖炉のそばで」。
ベートーヴェン録音よりも約15年後の2014~15年の演奏。繊細な情感のこもった美しい弱音の響きに、リートを聴いているような抑揚豊かで呟くようなフレージング。深みのあるしっとりした叙情感がロマンティックで品が良くて、とても素敵な演奏。
Fumiko Shiraga - Peter Tschaikowski "Herbstlied"
Fumiko Shiraga - Peter Tschaikowski "Barkarole"
Fumiko Shiraga - Peter Tschaikowski "Weiße Nächte"
Fumiko Shiraga - Robert Schumanns "Am Kamin"
Fumiko Shiraga - Robert Schumanns "Träumerei"
こちらはシューマンのチェロとピアノのための《幻想曲集 Op.73》。
Robert Schumann: Fantasiestücke op.73 Nikolaus Trieb/Fumiko Shiraga.m4v
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
白神典子の録音は、『ブルックナー/ピアノ作品集』をずっと昔にNMLで聴いたことがある。BISに編曲作品の録音がかなりあるけど、プロフィールを調べてみたら彼女は2017年に乳がんで49歳で他界していた。

![]() | ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第1番 2番 (室内楽版) (2001/1/29) Bremen String Soloist, Fumiko Shiraga 試聴ファイル(BISサイト) |
このシュナイダー編曲版はとっても面白い。単にオーケストラパートを弦楽五重奏に置きかえたのではなく、トゥッティ(弦楽五重奏)にピアノが加わっている。オケパートを弦楽五重奏に編曲すると色彩感や音量などかなり物足りないので、ピアノの豊かな音量と多彩な音色と響きがそれをある程度補って、”ピアノ六重奏曲”になっている。
ピアノがほとんど休む間もなく聴こえてくるので、ラハナー編曲版よりも華やかでピアノを聴く楽しみも増えて、シュナイダーの編曲はとっても気に入ってしまった。
編曲だけでなく、ピアノの音も演奏も私の好きなタイプ。(ピアノはYamaha S6。CFシリーズよりも小さく、個人宅だけでなく、サロンや小ホールにも置いてあるので、室内楽には向いているらしい。)
やや硬質で粒立ち良く輪郭明瞭な音にはほどよい力感と量感があり、陰翳のある音色と抑揚豊かなフレージングに情感が籠って、響きには凛とした強さと美しさがある。快活さと優美がうまくバランスして、叙情麗しく品の良さがある。
第3楽章以外はあまり好きでない第2番でも、この室内楽バージョンで聴くとなぜか妙にしっくりくるのが不思議。
ピアノが全編に流れているのに加えて、曲想や旋律がモーツァルト風なので、小編成の室内楽演奏でも違和感ないからかも。ピアノの煌きのあ高音やニュアンスのこもった優しい弱音がこの曲に良く映えている。特に好きな第3楽章は、波がさざめくように軽やかで煌きのある高音がとても綺麗。
Piano Concerto No. 2 in B-Flat Major, Op. 19: II. Adagio
編曲・演奏とも気に入ったのですぐにCDを注文したけど、取り寄せなので2週間くらいかかりそう。届くのが待ち遠しい。
[追記]
注文後2週間でHMVに入荷。メーカー在庫切れだったのに、入荷されてよかった。早速聴いてみたら、試聴した時よりもはるかに素晴らしい。
ピアノの音を聴いているだけで嬉しくなるくらいに、音色や響きが綺麗。粒立ちよく切れ良いタッチで、芯のしっかりした輪郭の軽量な音、響きの丸みがあり、落ち着いた煌きとあかるさがあって、特に弱音の高音の響きがとても品が良い。
YAMAHA/S6の音色は、スタインウェイのコンサートグランドのような煌びやさではなく、ちょっとくすんだような奥ゆかしさとまろやかさがあって、やはり室内楽には向いているのだと思う。
トゥッティではピアノの音量をかなり抑えて、弦楽パートの一部のようにあまり前面に出ないし、ピアノソロでも少し音量が控えめ。協奏曲のようにソロが華やかに前面にでてくるというよりも、存在感はしっかりあるけど主張しすぎず、弦楽と”協奏”するという感じで、弦楽パートが伴奏役ではないピアノ六重奏曲になっている。
でも、カデンツァになると、音量豊かで響きも重層的でダイナミックで、力強く華やか。(特に第1番第1楽章)
たまたま見つけた録音だったけど、思い掛けないとても素敵なベートーヴェン。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
白神典子のピアノソロで、チャイコフスキー《四季》の「秋の歌」、「舟歌」、「白夜」、シューマン《子供の情景》の「トロイメライ」と「暖炉のそばで」。
ベートーヴェン録音よりも約15年後の2014~15年の演奏。繊細な情感のこもった美しい弱音の響きに、リートを聴いているような抑揚豊かで呟くようなフレージング。深みのあるしっとりした叙情感がロマンティックで品が良くて、とても素敵な演奏。
Fumiko Shiraga - Peter Tschaikowski "Herbstlied"
Fumiko Shiraga - Peter Tschaikowski "Barkarole"
Fumiko Shiraga - Peter Tschaikowski "Weiße Nächte"
Fumiko Shiraga - Robert Schumanns "Am Kamin"
Fumiko Shiraga - Robert Schumanns "Träumerei"
こちらはシューマンのチェロとピアノのための《幻想曲集 Op.73》。
Robert Schumann: Fantasiestücke op.73 Nikolaus Trieb/Fumiko Shiraga.m4v
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。