イゴール・レヴィット『エンカウンター』
2020-09-14(Mon)
9月11日にリリースされたイゴール・レヴィットの新譜『エンカウンター』。
紹介文によると、「レヴィットがコロナ禍の中で激しい感情を抑えることを試み、音楽から喜びや慰め、自由に演奏することの可能性を模索し、あらゆる種類の「出会い=エンカウンター」を見つけ出そうとする過程で構想され、2020年5月下旬にベルリンのイエス・キリスト教会で録音」。
収録曲は、.バッハ=ブゾーニ編曲《10のコラール前奏曲 BV B 27》、ブラームス=ブゾーニ編曲《6つのコラール前奏曲 BV B 50》、ブラームス/レーガー編曲《4つの厳粛な歌》、レーガー=ユリアン・ベッカー編曲《夜の歌 Op.138-3》、フェルドマン《マリの宮殿》。
知っている曲は、ブゾーニが編曲したバッハとブラームスの《コラール前奏曲》。ポール・ジェイコブスの録音が好きで、何度も聴いていた。《4つの厳粛な歌》は原曲は聴いたことがるけど、レーガー編曲版は知らなかったし、レーガー歌曲をピアノ編曲した《夜の歌》、《マリの宮殿》は聴いたことがない。
今まで聴いたレヴィットの録音のなかでは、バッハの《パルティータ集》がとても気に入っているので、バッハの編曲集も良さそうな気がしていた。(ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ全集》はどうも私の好みとは違っていたけど)
※amazonサイトの試聴ファイルが全て消えて、どうやらAmazon Music Unlimitedに加入しないと聴けなくなっている模様。ちょっと不便だけど、apple musicとitunes storeでは無料視聴できるので特に困ることもない。
試聴ファイルを聴いた印象は、ジェイコブスに比べると、レヴィットはテンポもリズムも少し緩めで、レガートなタッチで響きがとても柔らかい。
緩徐系の曲は全体的に弱音主体で、主旋律以外の声部の音量が小さく、レガートで柔らかなフレージングはまるで呟いているよう。感情が湧き出るような強さと明晰さを感じるジェイコブズと違って、レヴィットは模索するように内面へ籠っていくような感じ。
急速系の力強く華やかな曲(バッハ=ブゾーニの第1番、第4番)は、和音の跳躍が多い割にレガートなタッチで、バタバタと騒々しいところがなくて、ジェイコブスよりも好きな弾き方。特に第1番はレガートなフレージングと響きがとても綺麗。
第8番の方はタッチがややスタッカート気味で軽くて、ちょこまかした感じで重みが薄い気がする。この曲はジェイコブズは力強いけど落ち着きなく感じるので、和音移動でもレガートなフレージングでほどよい力強さもあるレーゼルの演奏が一番好き。
面白いのは、バッハ=ブゾーニの第6番”Herr Gott, Nun Schleuss' Den Himmel Auf!”。レヴィットはゆったりとしたテンポと柔らかいタッチの弱音なので響きがとても美しい。対照的に、ジェイコブスは速いテンポでパッショネイトなので、別の曲みたいに聴こえる。(この曲はレヴィットのように遅めのテノポで弾くピアニストがほとんど)
Igor Levit - What combines these pieces is a sense of ‘Encounter’ with something or someone
(TEASER) J.S. Bach (arr. Busoni) - Wachet auf, ruft uns die Stimme, Chorale Prelude BWV...
第4番”Herzlich Thut Mich Verlangen”では、子守歌風の曲想にレヴィットのタッチが良く似合って、楽し気な夢想みたい。
(TEASER) Brahms (arr. Busoni) - Herzlich tut mich erfreuen, Chorale Prelude op. posth. ...
ブラームス(とブゾーニも含めて)の《コラール前奏曲》のなかで、もっとも好きな曲が第10番”Herzlich tut mich verlangen”。
(TEASER) Brahms (arr. Busoni) - Herzlich tut mich verlangen, Chorale Prelude Op. 122/10
《マリの宮殿》の音源。演奏時間が20分以上。現代音楽にしては響きが綺麗で嫌いな曲ではないけど、最後まで聴こうとすると途中で眠たくなる。
Morton Feldman ~ Palais de Mari
最初に試聴したときは、ジェイコブスの演奏とかなり違っていたので、私の好みと合わないかも?と思ったけど、何度も試聴していると、ジェイコブスとはまた違った味わいがあって、かなり好きになってきた。《マリの宮殿》はともかく、レーガー編曲《4つの厳粛な歌》の第4番も好きなので、結局CD買うことにした。ステレオで聴けばピアノの音がずっと美しく聴こえるはずなので、CDで聴くのが楽しみ。
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
紹介文によると、「レヴィットがコロナ禍の中で激しい感情を抑えることを試み、音楽から喜びや慰め、自由に演奏することの可能性を模索し、あらゆる種類の「出会い=エンカウンター」を見つけ出そうとする過程で構想され、2020年5月下旬にベルリンのイエス・キリスト教会で録音」。
収録曲は、.バッハ=ブゾーニ編曲《10のコラール前奏曲 BV B 27》、ブラームス=ブゾーニ編曲《6つのコラール前奏曲 BV B 50》、ブラームス/レーガー編曲《4つの厳粛な歌》、レーガー=ユリアン・ベッカー編曲《夜の歌 Op.138-3》、フェルドマン《マリの宮殿》。
知っている曲は、ブゾーニが編曲したバッハとブラームスの《コラール前奏曲》。ポール・ジェイコブスの録音が好きで、何度も聴いていた。《4つの厳粛な歌》は原曲は聴いたことがるけど、レーガー編曲版は知らなかったし、レーガー歌曲をピアノ編曲した《夜の歌》、《マリの宮殿》は聴いたことがない。
今まで聴いたレヴィットの録音のなかでは、バッハの《パルティータ集》がとても気に入っているので、バッハの編曲集も良さそうな気がしていた。(ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ全集》はどうも私の好みとは違っていたけど)
![]() | Encounter (2020/09/11) Levit, Igor 試聴ファイル(e-onkyo) |
※amazonサイトの試聴ファイルが全て消えて、どうやらAmazon Music Unlimitedに加入しないと聴けなくなっている模様。ちょっと不便だけど、apple musicとitunes storeでは無料視聴できるので特に困ることもない。
試聴ファイルを聴いた印象は、ジェイコブスに比べると、レヴィットはテンポもリズムも少し緩めで、レガートなタッチで響きがとても柔らかい。
緩徐系の曲は全体的に弱音主体で、主旋律以外の声部の音量が小さく、レガートで柔らかなフレージングはまるで呟いているよう。感情が湧き出るような強さと明晰さを感じるジェイコブズと違って、レヴィットは模索するように内面へ籠っていくような感じ。
急速系の力強く華やかな曲(バッハ=ブゾーニの第1番、第4番)は、和音の跳躍が多い割にレガートなタッチで、バタバタと騒々しいところがなくて、ジェイコブスよりも好きな弾き方。特に第1番はレガートなフレージングと響きがとても綺麗。
第8番の方はタッチがややスタッカート気味で軽くて、ちょこまかした感じで重みが薄い気がする。この曲はジェイコブズは力強いけど落ち着きなく感じるので、和音移動でもレガートなフレージングでほどよい力強さもあるレーゼルの演奏が一番好き。
面白いのは、バッハ=ブゾーニの第6番”Herr Gott, Nun Schleuss' Den Himmel Auf!”。レヴィットはゆったりとしたテンポと柔らかいタッチの弱音なので響きがとても美しい。対照的に、ジェイコブスは速いテンポでパッショネイトなので、別の曲みたいに聴こえる。(この曲はレヴィットのように遅めのテノポで弾くピアニストがほとんど)
Igor Levit - What combines these pieces is a sense of ‘Encounter’ with something or someone
(TEASER) J.S. Bach (arr. Busoni) - Wachet auf, ruft uns die Stimme, Chorale Prelude BWV...
第4番”Herzlich Thut Mich Verlangen”では、子守歌風の曲想にレヴィットのタッチが良く似合って、楽し気な夢想みたい。
(TEASER) Brahms (arr. Busoni) - Herzlich tut mich erfreuen, Chorale Prelude op. posth. ...
ブラームス(とブゾーニも含めて)の《コラール前奏曲》のなかで、もっとも好きな曲が第10番”Herzlich tut mich verlangen”。
(TEASER) Brahms (arr. Busoni) - Herzlich tut mich verlangen, Chorale Prelude Op. 122/10
《マリの宮殿》の音源。演奏時間が20分以上。現代音楽にしては響きが綺麗で嫌いな曲ではないけど、最後まで聴こうとすると途中で眠たくなる。
Morton Feldman ~ Palais de Mari
最初に試聴したときは、ジェイコブスの演奏とかなり違っていたので、私の好みと合わないかも?と思ったけど、何度も試聴していると、ジェイコブスとはまた違った味わいがあって、かなり好きになってきた。《マリの宮殿》はともかく、レーガー編曲《4つの厳粛な歌》の第4番も好きなので、結局CD買うことにした。ステレオで聴けばピアノの音がずっと美しく聴こえるはずなので、CDで聴くのが楽しみ。
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。