”雨”をモチーフにしたピアノ曲
2021-07-01(Thu)
<雨>をモチーフにしたピアノ曲の中で、一番有名なのはショパン《雨だれの前奏曲》。
この曲は特に好きな曲ではないけど、フィオレンティーノの<雨だれ>は瑞々しい音色が美しく、中間部になると鬱々オドロオドロしくて面白い。
Sergio Fiorentino in recital (1997 Newport) A Chopin recital(Preludes from Op. 28 - No. 15 in D Flat Major)
私が真っ先に思い出す<雨>の曲は、(ピアノソロではないけど)ブラームス《ヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」》。
毎年梅雨の時期になると、スーク&カッチェンのDecca録音で聴いている。
カッチェンのピアノがヴァイオリンに寄り添うように奥ゆかしく、若い頃のスークの美音と瑞々しい叙情感がとても爽やか。
じとじとした梅雨の雨ではなくて、明るい空から淡い小雨が舞い降りてくるように軽やか。高音の柔らかいピアノの響きはしゅわ~ととろける砂糖菓子のように甘い。
Johannes Brahms: Violin Sonata No.1 in G major, Op.78 (Josef Suk, Julius Katchen)
※カッチェンの『Decca録音全集』と分売盤ではリマスタリング音質が微妙に違う。残響が多い全集盤よりも、ややデッドでも微妙なニュアンスが籠っている分売盤の音色が好き。
「雨の歌」という副題はブラームス自身がつけたものではない。第3楽章の冒頭の旋律がブラームス歌曲「雨の歌」から引用されていることからつけられた通称。
この曲に関するエピソードが、ブログ『ブラームスの辞書』の”天国に持って行きたい”、”緩徐楽章の回想”という記事に書かれている。第2楽章にブラームスが託した意味や、第3楽章のメロディに引用された歌曲「雨の歌」とクララ・シューマンとの関わりなど、CDの解説には載っていなかった話が紹介されている。
次に好きな曲は、ドビュッシー《版画》の第3曲「雨の庭」。
雨が降る洋館の庭園は明るくて爽やかで、移り変わる雨の様子がダイナミックで物語的。
エゴロフの「雨の庭」は、煌きのある音色とちょっとファンタスティックな和声の響きが美しい。
Estampes, L. 108: III. Jardins sous la pluie
武満徹《Rain Tree Sketch/雨の樹》。曲名は、雨に濡れた樹木の様子という意味だと思うけど、ガラスのような硬質のピアノの音が内省的で、静かにたたずむ樹が思索しているように聴こえてくる。
武満徹《雨の樹 素描》
Ame no ki sobyo (Rain Tree Sketch) : Rain Tree Sketch
武満徹《雨の樹 素描 II -オリヴィエ・メシアンの追憶に-》
Rain Tree Sketch Ii
NMLで見つけたのは、マリー・トラウトマン・ジャエルの《Les Jours pluvieux/雨の日、雨の降りやすい日》。
※pluvieux:[形]雨の降る,雨の多い;雨模様の
マリー・ジャエル(1846年~1925年)は、フランスのピアニスト・音楽教師・作曲家。短調でメランコリックで、雨の日の鬱々した気分を映し出したような曲が多い。瀟洒な旋律と繊細な情感が綺麗。
Les jours pluvieux: I. Quelques gouttes de pluie
No. 1. Quelques Gouttes de pluie
No. 2. Vent et Pluie
No. 3. Grisaille
No. 4. Petite Pluie fine
No. 5. En querelle
No. 6. A l'abri
No. 7. Morose
No. 8. On pleure
No. 9. L'Orage ne vient pas
No. 10. Roses fletres (Faded Roses)
No. 11. Ennuyeux comme la pluie
No. 12. On reve au beau temps
Les jours pluvieux: VI. À l’abri
マリー・ジャエルの肖像[青い空のように~日々の出来事と音楽と]
<過去記事>
「嵐」をモチーフにしたピアノ曲
この曲は特に好きな曲ではないけど、フィオレンティーノの<雨だれ>は瑞々しい音色が美しく、中間部になると鬱々オドロオドロしくて面白い。
Sergio Fiorentino in recital (1997 Newport) A Chopin recital(Preludes from Op. 28 - No. 15 in D Flat Major)
私が真っ先に思い出す<雨>の曲は、(ピアノソロではないけど)ブラームス《ヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」》。
毎年梅雨の時期になると、スーク&カッチェンのDecca録音で聴いている。
カッチェンのピアノがヴァイオリンに寄り添うように奥ゆかしく、若い頃のスークの美音と瑞々しい叙情感がとても爽やか。
じとじとした梅雨の雨ではなくて、明るい空から淡い小雨が舞い降りてくるように軽やか。高音の柔らかいピアノの響きはしゅわ~ととろける砂糖菓子のように甘い。
Johannes Brahms: Violin Sonata No.1 in G major, Op.78 (Josef Suk, Julius Katchen)
※カッチェンの『Decca録音全集』と分売盤ではリマスタリング音質が微妙に違う。残響が多い全集盤よりも、ややデッドでも微妙なニュアンスが籠っている分売盤の音色が好き。
「雨の歌」という副題はブラームス自身がつけたものではない。第3楽章の冒頭の旋律がブラームス歌曲「雨の歌」から引用されていることからつけられた通称。
この曲に関するエピソードが、ブログ『ブラームスの辞書』の”天国に持って行きたい”、”緩徐楽章の回想”という記事に書かれている。第2楽章にブラームスが託した意味や、第3楽章のメロディに引用された歌曲「雨の歌」とクララ・シューマンとの関わりなど、CDの解説には載っていなかった話が紹介されている。
次に好きな曲は、ドビュッシー《版画》の第3曲「雨の庭」。
雨が降る洋館の庭園は明るくて爽やかで、移り変わる雨の様子がダイナミックで物語的。
エゴロフの「雨の庭」は、煌きのある音色とちょっとファンタスティックな和声の響きが美しい。
Estampes, L. 108: III. Jardins sous la pluie
武満徹《Rain Tree Sketch/雨の樹》。曲名は、雨に濡れた樹木の様子という意味だと思うけど、ガラスのような硬質のピアノの音が内省的で、静かにたたずむ樹が思索しているように聴こえてくる。
武満徹《雨の樹 素描》
Ame no ki sobyo (Rain Tree Sketch) : Rain Tree Sketch
武満徹《雨の樹 素描 II -オリヴィエ・メシアンの追憶に-》
Rain Tree Sketch Ii
NMLで見つけたのは、マリー・トラウトマン・ジャエルの《Les Jours pluvieux/雨の日、雨の降りやすい日》。
※pluvieux:[形]雨の降る,雨の多い;雨模様の
マリー・ジャエル(1846年~1925年)は、フランスのピアニスト・音楽教師・作曲家。短調でメランコリックで、雨の日の鬱々した気分を映し出したような曲が多い。瀟洒な旋律と繊細な情感が綺麗。
Les jours pluvieux: I. Quelques gouttes de pluie
No. 1. Quelques Gouttes de pluie
No. 2. Vent et Pluie
No. 3. Grisaille
No. 4. Petite Pluie fine
No. 5. En querelle
No. 6. A l'abri
No. 7. Morose
No. 8. On pleure
No. 9. L'Orage ne vient pas
No. 10. Roses fletres (Faded Roses)
No. 11. Ennuyeux comme la pluie
No. 12. On reve au beau temps
Les jours pluvieux: VI. À l’abri

<過去記事>
「嵐」をモチーフにしたピアノ曲