2022.05/27 [Fri]
スティーヴン・ハフ 『New Piano Album』
1年くらい前に買ったスティーヴン・ハフの『New Piano Album』。”New”なのはハフが若い頃にVirgin盤『Piano Album』を録音しているから。古い『Piano Album』は2枚組で合計37曲あり、あまり知られていない作曲家の技巧的な小品が多く、聴き直してみたらよく覚えていない曲が多かった。
20曲収録している『New Piano Album』の方は、メジャーな作曲家の作品とその編曲版が多い。原曲は知っていても編曲版は知らない曲が多く、20曲中確実に覚えている曲は「4羽の白鳥の踊り」くらい。
技巧的な華やかさに加えてより情感の濃いロマンティックな曲が多く、一曲一曲が聴きごたえがあって記憶に残りやすい。
それにhyperion盤は録音音質がはるかに良いので、ハフの美しいピアノの音が一層引き立ち、声部が多くて立体感のある編曲が多くて和声の響きも豊か。音色と響きに歌い回しもさらに洗練されて、選曲・音質・演奏ともVirgin盤よりも『New Piano Album』の方が気に入ってしまった。
苦手なシューベルトの独奏曲はシンプルな旋律の繰り返しが多くて途中で飽きることがよくあるけど、この.3曲は編曲版で聴くと音が増えて旋律も響きも豊かになって、全然退屈しない。
1. シューベルト=リスト編曲/ウィーンの夜会(シューベルトの「ワルツ・カプリス」)第6番
2. シューベルト=ゴドフスキー編曲/楽興の時第3番:声部が多くて連弾を聴いているみたいな立体感。
3. シューベルト=ゴドフスキー編曲/朝の挨拶:美しい旋律と柔らかく優しい温もりのある響きがロマンティックでとても素敵な曲。
Cyprien Katsaris live in New York - Schubert/Godowsky: Morgengruss (Die schöne Müllerin, D. 795)(カツァリスのライブ映像)
4. ゴドフスキー/古きウィーン:優雅でレトロな雰囲気がみちたワルツ。
5. モシュコフスキ/8つの性格的小品~第6番「火花」:ちょこまかした旋律がとても愛らしい。
6. パデレフスキ/ミセラネア~第2曲「メロディ」:長調だけどちょっと淋しくて儚げ。
7. シャミナード/ピエレット「エール・ド・バレ」:付点のリズムがスキップしているみたいで、楽しいピクニック風。
8. シャミナード/6つのユーモラスな小品~第4曲「オートルフォア」:”Autrefois”は、かつて、昔、以前、という意味の昔。過去を追憶して哀惜するような情感。
9. カールマン=ハフ編曲/くちづけせぬバラの唇は:《古きウィーン》に似たレトロな雰囲気。
10. ハフ/音楽の宝石箱:きらきら煌く高音とふんわりと羽毛のようなアルペジオが愛らしく夢のようなファンタジーいっぱい。
Musical Jewellery Box(Artist: Jenny Lin、Composer: Stephen Hough)
11. ハフ/演奏会用練習曲:大慌てで走り回っているようなリズムと旋律がユーモラスで面白い。中間部ではふんわり柔らかなアルペジオの響きが優美。ラストはドビュシーの「花火」みたい。
12. ロジャース=ハフ編曲/ハロー・ヤング・ラヴァーズ:恋人たちの語らいみたいに甘くてロマンティック。
13. ロジャース=ハフ編曲/回転木馬のワルツ:最初はゆっくり静かに始まり、やがて快活で華やかなワルツに。レトロ感はなく、くるくる回る楽しいメリーゴーランド。とても楽しい曲。
ハフのオリジナル曲と編曲は、どの曲も煌くような高音とアルペジオがとても華やか。
オケ版よりも響きがシンプルで可愛らしいので、回転木馬のイメージに似合う。
Carousel: Carousel Waltz (arr. S. Hough)
14. ハフ編曲/ロンドンデリーの歌~「ダニー・ボーイ」:郷愁溢れる旋律が綺麗。ハフの編曲は声部が多くて、歌と伴奏みたいで立体的。とても素敵な編曲。
STEPHEN HOUGH: TRANSCRIPTION OF THE LONDONDERRY AIR. PLAYED BY JOHN BELL YOUNG
15. ラフマニノフ/サロン小品集~第5曲「ユモレスク」:下降旋律とリズムが奇妙な雰囲気。ユーモラスだけどちょっとシニカルな感じがしないでもない。
16. ラフマニノフ/幻想的小品集~第3曲「メロディ」:ラフマニノフらしい甘い旋律。
17. チャイコフスキー/2つの小品~第2曲「ユモレスク」:ユーモラスというよりは、楽しそう。
18. チャイコフスキー/ドゥムカ「ロシアの農村風景」:”ドゥムカ”はポーランドの民謡形式。冒頭は厳しい農村生活を連想させるように、ゆったりとしたテンポでシンプルな旋律に哀感が漂い、やがてアルペジオが加わって叙情豊かに歌い、次はリズミカルで華やかな舞踊風。力強く華麗なカデンツァを挟んで、冒頭の主題旋律に回帰してスローで静かにエンディング。冒頭とエンディング以外は技巧的に華やかで8分以上の聴き続けていても全然飽きない曲。
19. チャイコフスキー=ワイルド編曲/白鳥の湖~「4羽の白鳥の踊り」:何度聴いても楽しい曲。
20. チャイコフスキー=パブスト-ハフ編曲/演奏会用パラフレーズ「眠りの森の美女」:主題旋律は聴いた覚えがあるけど、原曲のバレエ音楽自体は聴いたことがない。最初は「美女と野獣」?と勘違いしたくらい。いろんなモチーフが織り込まれて、次々と展開していくのが面白い。
ラフマニノフ以外はどの曲も好き。とりわけ好きなのは、旋律が優しく美しい「朝の挨拶」と「くちづけせぬバラの唇は」、編曲が素晴らしい『回転木馬のワルツ』。それに、ハフの自作2曲と、チャイコフスキー。
20曲収録している『New Piano Album』の方は、メジャーな作曲家の作品とその編曲版が多い。原曲は知っていても編曲版は知らない曲が多く、20曲中確実に覚えている曲は「4羽の白鳥の踊り」くらい。
技巧的な華やかさに加えてより情感の濃いロマンティックな曲が多く、一曲一曲が聴きごたえがあって記憶に残りやすい。
それにhyperion盤は録音音質がはるかに良いので、ハフの美しいピアノの音が一層引き立ち、声部が多くて立体感のある編曲が多くて和声の響きも豊か。音色と響きに歌い回しもさらに洗練されて、選曲・音質・演奏ともVirgin盤よりも『New Piano Album』の方が気に入ってしまった。
![]() | New Piano Album (1999/11/16) スティーヴン・ハフ 試聴ファイル(hyperion) |
苦手なシューベルトの独奏曲はシンプルな旋律の繰り返しが多くて途中で飽きることがよくあるけど、この.3曲は編曲版で聴くと音が増えて旋律も響きも豊かになって、全然退屈しない。
1. シューベルト=リスト編曲/ウィーンの夜会(シューベルトの「ワルツ・カプリス」)第6番
2. シューベルト=ゴドフスキー編曲/楽興の時第3番:声部が多くて連弾を聴いているみたいな立体感。
3. シューベルト=ゴドフスキー編曲/朝の挨拶:美しい旋律と柔らかく優しい温もりのある響きがロマンティックでとても素敵な曲。
Cyprien Katsaris live in New York - Schubert/Godowsky: Morgengruss (Die schöne Müllerin, D. 795)(カツァリスのライブ映像)
4. ゴドフスキー/古きウィーン:優雅でレトロな雰囲気がみちたワルツ。
5. モシュコフスキ/8つの性格的小品~第6番「火花」:ちょこまかした旋律がとても愛らしい。
6. パデレフスキ/ミセラネア~第2曲「メロディ」:長調だけどちょっと淋しくて儚げ。
7. シャミナード/ピエレット「エール・ド・バレ」:付点のリズムがスキップしているみたいで、楽しいピクニック風。
8. シャミナード/6つのユーモラスな小品~第4曲「オートルフォア」:”Autrefois”は、かつて、昔、以前、という意味の昔。過去を追憶して哀惜するような情感。
9. カールマン=ハフ編曲/くちづけせぬバラの唇は:《古きウィーン》に似たレトロな雰囲気。
10. ハフ/音楽の宝石箱:きらきら煌く高音とふんわりと羽毛のようなアルペジオが愛らしく夢のようなファンタジーいっぱい。
Musical Jewellery Box(Artist: Jenny Lin、Composer: Stephen Hough)
11. ハフ/演奏会用練習曲:大慌てで走り回っているようなリズムと旋律がユーモラスで面白い。中間部ではふんわり柔らかなアルペジオの響きが優美。ラストはドビュシーの「花火」みたい。
12. ロジャース=ハフ編曲/ハロー・ヤング・ラヴァーズ:恋人たちの語らいみたいに甘くてロマンティック。
13. ロジャース=ハフ編曲/回転木馬のワルツ:最初はゆっくり静かに始まり、やがて快活で華やかなワルツに。レトロ感はなく、くるくる回る楽しいメリーゴーランド。とても楽しい曲。
ハフのオリジナル曲と編曲は、どの曲も煌くような高音とアルペジオがとても華やか。
オケ版よりも響きがシンプルで可愛らしいので、回転木馬のイメージに似合う。
Carousel: Carousel Waltz (arr. S. Hough)
14. ハフ編曲/ロンドンデリーの歌~「ダニー・ボーイ」:郷愁溢れる旋律が綺麗。ハフの編曲は声部が多くて、歌と伴奏みたいで立体的。とても素敵な編曲。
STEPHEN HOUGH: TRANSCRIPTION OF THE LONDONDERRY AIR. PLAYED BY JOHN BELL YOUNG
15. ラフマニノフ/サロン小品集~第5曲「ユモレスク」:下降旋律とリズムが奇妙な雰囲気。ユーモラスだけどちょっとシニカルな感じがしないでもない。
16. ラフマニノフ/幻想的小品集~第3曲「メロディ」:ラフマニノフらしい甘い旋律。
17. チャイコフスキー/2つの小品~第2曲「ユモレスク」:ユーモラスというよりは、楽しそう。
18. チャイコフスキー/ドゥムカ「ロシアの農村風景」:”ドゥムカ”はポーランドの民謡形式。冒頭は厳しい農村生活を連想させるように、ゆったりとしたテンポでシンプルな旋律に哀感が漂い、やがてアルペジオが加わって叙情豊かに歌い、次はリズミカルで華やかな舞踊風。力強く華麗なカデンツァを挟んで、冒頭の主題旋律に回帰してスローで静かにエンディング。冒頭とエンディング以外は技巧的に華やかで8分以上の聴き続けていても全然飽きない曲。
19. チャイコフスキー=ワイルド編曲/白鳥の湖~「4羽の白鳥の踊り」:何度聴いても楽しい曲。
20. チャイコフスキー=パブスト-ハフ編曲/演奏会用パラフレーズ「眠りの森の美女」:主題旋律は聴いた覚えがあるけど、原曲のバレエ音楽自体は聴いたことがない。最初は「美女と野獣」?と勘違いしたくらい。いろんなモチーフが織り込まれて、次々と展開していくのが面白い。
ラフマニノフ以外はどの曲も好き。とりわけ好きなのは、旋律が優しく美しい「朝の挨拶」と「くちづけせぬバラの唇は」、編曲が素晴らしい『回転木馬のワルツ』。それに、ハフの自作2曲と、チャイコフスキー。
- at 18:00
- [【音楽日記】: ♪ スティーヴン・ハフ]
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