イヌワシの子育て動画
2023.02.13 18:00| ・・ 野生動物|
The Golden Eagle - Master of the Sky | Free Documentary Nature
イヌワシの雛は、2羽以上孵化しても生き残るのはたいてい1羽だけと言われる(これは日本のイヌワシで顕著。他地域では生存率が異なる)。生後間もない頃から大きな雛が小さな雛を攻撃して殺してしまう「兄弟殺し」の習性があるためだという。この習性は生後2週間を過ぎると消滅していくらしい。
↑の動画のように、雛が2羽が育っている巣(40:37-)をたまに見かける。この巣では、獲物不足のために1羽だけしか生き残らなかった。獲物不足の時にエサを十分に食べられるのは強い雛だけ。弱い雛は飢えで弱って死んでしまい、その死骸を雌ワシが生き残った雛に食べさせている。
ルーマニア北部のBucovina (ブコヴィナ)にあるイヌワシの巣(↓)。雛は1羽しかいない。元から1羽しか孵化しなかったのか、それとも最初は2羽いたのかは、動画を見ていてもわからなかった。
イヌワシの雛は、小さい時は少し黒が交じった真っ白な羽毛でとても可愛い。成長するにつれ、黒色が交じり、やがて茶色に生えかわる。空腹時の鳴き声はイヌワシのイーグレットがピチョピチョ(ハクトウワシはピーヨピーヨ)。
雌ワシが嘴でイーグレットの羽づくろい。お腹いっぱいでそ嚢が重たくて寝そべっている。小鳥のさえずりみたいな鳴き声が可愛い。
Bucovina ~ Golden Eagle Mom Gently Preens Her Chick! So Adorable!! 💕💞💕 6.4.21
ブコヴィナの巣は山岳地帯にあるので獲物は豊富。獲物の種類はマウス、リス、イタチ、キツネ、ネコ、ウサギ、鳥類(ニワトリヤカラス、ノスリの雛、カモメ、ハト、小鳥)、シカなど。魚は(たぶん)ない。
たまたま獲物があまり手に入らない日が続いて、イーグレットのそ嚢(そのう)がペチャンコで首筋も痩せている。ようやくノロジカの肉が到着(ノロジカの肉はこれで5回目)。イーグレットが自己給餌しようしたが、結局雌ワシに長時間給餌してもらう。イーグレットのそ嚢がみるみる膨れているのに、ピチョピチョ鳴き続けているのは、まだ餌が欲しいから。この時期のイーグレットは成長途上なのでかなり大食漢。
Bucovina ~ Female Eagle Brings In 5TH ROE DEER! Long Feeding & Massive Crop On Eaglet Again 6.21.21
同じ日の夕方、今度は雄ワシがハイイロガラス(ズキンガラス)を巣に届ける。これも雌ワシに食べさせてもらい、パンパンに膨れ上がったそ嚢ははち切れそう。ピイイイチョ、ピイイイチョと鳴き声がさえずりに変わって、お腹いっぱいで満足した様子。
Bucovina ~ Male Eagle Comes To Nest Delivering A Hooded Crow! Mom Returns & Feeds Her Chick 6.21.21
新たな繁殖シーズンを迎え、雌ワシが巣にいる木にサブアダルト(SA)の侵入者が飛来。雌ワシが警告の鳴き声を上げると、SAも幼鳥みたいな鳴き声で応じている。SAが巣に降りて来ても追い払おうをしない。2羽ともまるで知り合いみたいに落ち着いた様子。SAは体が大きいので雌と思われ、2年前に巣立ちした雄ワシのZenitではないらしい。
Bucovina Golden Eagles ~ Mom Brings A Branch! Intruder Sub Adult Lands On Mom! Comes To Nest 2.23.22
繁殖シーズンに巣に戻って来た雌ワシのLucina。正面からクローズアップした顔がお姫様みたいに美しい。
Bucovina Golden Eagles ~ Lucina Is Home!! Beautiful Closeups Of Her Lying In Her Nest! 12.9.22
ラトビアにあるイヌワシの巣(↓)。孵化したのは1羽だけ。雛が巣立ちする前に雄ワシVirsisが行方不明になり、単独で子育てせざるをえない雌ワシSpilveは狩りに苦労している。↑のブコヴィナの巣と違い、もともと獲物が少ない環境のようで、SpilveがイーグレットのKlintsに食べさせたのは、マウス、小鳥、肉のかけらなど小さくて僅か。ブコヴィナの元気な雛に比べると、餌の量が少なすぎる。Klintsは空腹のために声がかすれて力もなく、Spilveが運んできた小さな肉片さえ引き裂いたり、丸のみしたりできない。
Spilveはそれに気づかず、「食べさせて!」とピヨピヨ鳴き続けているイーグレットを残して飛び去ってしまう。雌ワシはハーハー胸で大きく呼吸していたので、遠方から飛んで帰ってきたように見える。Klintsがこの肉を食べたとしても、雌ワシが運んで来ている餌の量が絶対的に少ないので、生き延びる可能性は高くはなかった。
Latvian Golden Eagles ~ Spilve Brings In Red Meat But Klints Can't Eat It! 6.30.20
翌日、巣に戻ったSpilveは昨日持ち帰った肉片が食べられずに残っているのを見て、不思議そうに首をかしげ、全く動かないKlintsを嘴で突いたり、引っ張ったりして、起こそうとした。1時間以上Klintsの側でじっと見続けてから、諦めて飛び去った。普通、親ワシはイーグレットが動かなくなると死んだものと認識して、すぐに死骸を片付ける(巣に埋める、または、食べる)。Spilveは兄弟姉妹や他のワシが死んだ姿を見たことがなかったのだろうか。
Latvian Golden Eagles ~ Spilve Tries To Wake Up Klints! Touches & Watches Her Deceased Eaglet 7.1.20
Spilveが飛び去ってから2時間後、餌があれば起き上がると思ったのか、小鳥を巣に持ち帰ってイーグレットに食べさせようとする。3日後にも同じ行動をとる。
Latvian Golden Eagles ~ Spilve Brings In Food For Klints! Then Mourns His Passing 💔💔 7.1.20
ようやくKlintsが二度と起き上らないことを理解したのか、木の枝でKlintsを隠し、羽もむしり始める。その後、何度か巣を訪れ、Klintsの身体に這っている虫を取り除いたり、残骸を食べたりして、時々巣を訪れていた。
Latvian Golden Eagles ~ Spilve Brings In Greenery For Nest! Begins De-Feathering Of Klints 7.6.20
[追記]
イヌワシの兄弟殺しは、地域によって発生率が異なる。主として餌の豊富な環境かどうかに左右される。イヌワシは義務的/必須的カイニズムではなく、条件的カイニズムであり、生息環境によって兄弟殺しの発生率・生存率は異なる。
”Reproduction and life cycle of the golden eagle”によると、「カイニズムは、genus Aquila(タカ科)では典型的な現象です。伝統的に分類された属は、2つのグループに分けることができます。選択的カイニスト(既知の巣の90%未満で、最も古い巣のひなが弟妹を攻撃して殺す場合)と必須的カイニスト(既知の巣の90%以上で、年長者が弟妹を殺す場合)です。ワシは選択的カイニストグループに属しています。」
「南西アイダホ州では、ブラインドから観察された2羽のひなを持つすべての巣で兄弟間の攻撃が起こり、7つの巣のうち3つ(43%)で1羽が死亡しました。別の研究では、南西アイダホ州での41羽のひなの死亡のうち7%がカイニズムによるものでした。中央ヨーロッパの巣では、15羽のひなの死亡のうち6羽(40%)がカイニズムによるものでした。スコットランドでは、食料供給とカイニズムとの間に弱い関連性があるかもしれません。キャリオンやウサギが比較的豊富なスカイ島では、年少者は約20%の巣で巣立ちに成功しますが、食料が不足している西中央高地では、第2子は約4%の巣でしか巣立ちに成功しませんでした1。しかし、すべてのひなが食料として必要とする量よりもはるかに高い食料供給を持つ巣でも、多くの巣で兄弟殺しが起こります。」
イヌワシの雛は、2羽以上孵化しても生き残るのはたいてい1羽だけと言われる(これは日本のイヌワシで顕著。他地域では生存率が異なる)。生後間もない頃から大きな雛が小さな雛を攻撃して殺してしまう「兄弟殺し」の習性があるためだという。この習性は生後2週間を過ぎると消滅していくらしい。
↑の動画のように、雛が2羽が育っている巣(40:37-)をたまに見かける。この巣では、獲物不足のために1羽だけしか生き残らなかった。獲物不足の時にエサを十分に食べられるのは強い雛だけ。弱い雛は飢えで弱って死んでしまい、その死骸を雌ワシが生き残った雛に食べさせている。
ルーマニア北部のBucovina (ブコヴィナ)にあるイヌワシの巣(↓)。雛は1羽しかいない。元から1羽しか孵化しなかったのか、それとも最初は2羽いたのかは、動画を見ていてもわからなかった。
イヌワシの雛は、小さい時は少し黒が交じった真っ白な羽毛でとても可愛い。成長するにつれ、黒色が交じり、やがて茶色に生えかわる。空腹時の鳴き声はイヌワシのイーグレットがピチョピチョ(ハクトウワシはピーヨピーヨ)。
雌ワシが嘴でイーグレットの羽づくろい。お腹いっぱいでそ嚢が重たくて寝そべっている。小鳥のさえずりみたいな鳴き声が可愛い。
Bucovina ~ Golden Eagle Mom Gently Preens Her Chick! So Adorable!! 💕💞💕 6.4.21
ブコヴィナの巣は山岳地帯にあるので獲物は豊富。獲物の種類はマウス、リス、イタチ、キツネ、ネコ、ウサギ、鳥類(ニワトリヤカラス、ノスリの雛、カモメ、ハト、小鳥)、シカなど。魚は(たぶん)ない。
たまたま獲物があまり手に入らない日が続いて、イーグレットのそ嚢(そのう)がペチャンコで首筋も痩せている。ようやくノロジカの肉が到着(ノロジカの肉はこれで5回目)。イーグレットが自己給餌しようしたが、結局雌ワシに長時間給餌してもらう。イーグレットのそ嚢がみるみる膨れているのに、ピチョピチョ鳴き続けているのは、まだ餌が欲しいから。この時期のイーグレットは成長途上なのでかなり大食漢。
Bucovina ~ Female Eagle Brings In 5TH ROE DEER! Long Feeding & Massive Crop On Eaglet Again 6.21.21
同じ日の夕方、今度は雄ワシがハイイロガラス(ズキンガラス)を巣に届ける。これも雌ワシに食べさせてもらい、パンパンに膨れ上がったそ嚢ははち切れそう。ピイイイチョ、ピイイイチョと鳴き声がさえずりに変わって、お腹いっぱいで満足した様子。
Bucovina ~ Male Eagle Comes To Nest Delivering A Hooded Crow! Mom Returns & Feeds Her Chick 6.21.21
新たな繁殖シーズンを迎え、雌ワシが巣にいる木にサブアダルト(SA)の侵入者が飛来。雌ワシが警告の鳴き声を上げると、SAも幼鳥みたいな鳴き声で応じている。SAが巣に降りて来ても追い払おうをしない。2羽ともまるで知り合いみたいに落ち着いた様子。SAは体が大きいので雌と思われ、2年前に巣立ちした雄ワシのZenitではないらしい。
Bucovina Golden Eagles ~ Mom Brings A Branch! Intruder Sub Adult Lands On Mom! Comes To Nest 2.23.22
繁殖シーズンに巣に戻って来た雌ワシのLucina。正面からクローズアップした顔がお姫様みたいに美しい。
Bucovina Golden Eagles ~ Lucina Is Home!! Beautiful Closeups Of Her Lying In Her Nest! 12.9.22
ラトビアにあるイヌワシの巣(↓)。孵化したのは1羽だけ。雛が巣立ちする前に雄ワシVirsisが行方不明になり、単独で子育てせざるをえない雌ワシSpilveは狩りに苦労している。↑のブコヴィナの巣と違い、もともと獲物が少ない環境のようで、SpilveがイーグレットのKlintsに食べさせたのは、マウス、小鳥、肉のかけらなど小さくて僅か。ブコヴィナの元気な雛に比べると、餌の量が少なすぎる。Klintsは空腹のために声がかすれて力もなく、Spilveが運んできた小さな肉片さえ引き裂いたり、丸のみしたりできない。
Spilveはそれに気づかず、「食べさせて!」とピヨピヨ鳴き続けているイーグレットを残して飛び去ってしまう。雌ワシはハーハー胸で大きく呼吸していたので、遠方から飛んで帰ってきたように見える。Klintsがこの肉を食べたとしても、雌ワシが運んで来ている餌の量が絶対的に少ないので、生き延びる可能性は高くはなかった。
Latvian Golden Eagles ~ Spilve Brings In Red Meat But Klints Can't Eat It! 6.30.20
翌日、巣に戻ったSpilveは昨日持ち帰った肉片が食べられずに残っているのを見て、不思議そうに首をかしげ、全く動かないKlintsを嘴で突いたり、引っ張ったりして、起こそうとした。1時間以上Klintsの側でじっと見続けてから、諦めて飛び去った。普通、親ワシはイーグレットが動かなくなると死んだものと認識して、すぐに死骸を片付ける(巣に埋める、または、食べる)。Spilveは兄弟姉妹や他のワシが死んだ姿を見たことがなかったのだろうか。
Latvian Golden Eagles ~ Spilve Tries To Wake Up Klints! Touches & Watches Her Deceased Eaglet 7.1.20
Spilveが飛び去ってから2時間後、餌があれば起き上がると思ったのか、小鳥を巣に持ち帰ってイーグレットに食べさせようとする。3日後にも同じ行動をとる。
Latvian Golden Eagles ~ Spilve Brings In Food For Klints! Then Mourns His Passing 💔💔 7.1.20
ようやくKlintsが二度と起き上らないことを理解したのか、木の枝でKlintsを隠し、羽もむしり始める。その後、何度か巣を訪れ、Klintsの身体に這っている虫を取り除いたり、残骸を食べたりして、時々巣を訪れていた。
Latvian Golden Eagles ~ Spilve Brings In Greenery For Nest! Begins De-Feathering Of Klints 7.6.20
[追記]
イヌワシの兄弟殺しは、地域によって発生率が異なる。主として餌の豊富な環境かどうかに左右される。イヌワシは義務的/必須的カイニズムではなく、条件的カイニズムであり、生息環境によって兄弟殺しの発生率・生存率は異なる。
”Reproduction and life cycle of the golden eagle”によると、「カイニズムは、genus Aquila(タカ科)では典型的な現象です。伝統的に分類された属は、2つのグループに分けることができます。選択的カイニスト(既知の巣の90%未満で、最も古い巣のひなが弟妹を攻撃して殺す場合)と必須的カイニスト(既知の巣の90%以上で、年長者が弟妹を殺す場合)です。ワシは選択的カイニストグループに属しています。」
「南西アイダホ州では、ブラインドから観察された2羽のひなを持つすべての巣で兄弟間の攻撃が起こり、7つの巣のうち3つ(43%)で1羽が死亡しました。別の研究では、南西アイダホ州での41羽のひなの死亡のうち7%がカイニズムによるものでした。中央ヨーロッパの巣では、15羽のひなの死亡のうち6羽(40%)がカイニズムによるものでした。スコットランドでは、食料供給とカイニズムとの間に弱い関連性があるかもしれません。キャリオンやウサギが比較的豊富なスカイ島では、年少者は約20%の巣で巣立ちに成功しますが、食料が不足している西中央高地では、第2子は約4%の巣でしか巣立ちに成功しませんでした1。しかし、すべてのひなが食料として必要とする量よりもはるかに高い食料供給を持つ巣でも、多くの巣で兄弟殺しが起こります。」