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ホス・デ・ソラウン ~ ハイドン/ピアノソナタ集
<ハイドン音盤倉庫>で紹介されていたホス・デ・ソラウンの『ハイドン/ピアノソナタ集』
ホス・デ・ソラウンは、第13回ジョルジュ・エネスク国際ピアノ・コンクール(2014年ブカレスト開催)で優勝したスペインのピアニスト。《エネスク/ピアノ作品全集(全3巻)》(GRAND PIANO、2016年録音)をリリースしている。

NMLで聴いたエネスクとハイドン(IBS)のどちらの録音でも、弾いているピアノは”Shigeru Kawai(シゲルカワイ)/SK-EX”。エネスクはVol.1とVol.2が”Shigeru Kawai”(Vol.3だけ”Steinway & Sons NY-Model D”)。さらにヴァイオリンソナタ集(audite、フランス人作曲家、ショスタコーヴィチとシュトラウス)でもSK-EXを使っている。
ソラウンが録音したソロのブラームス&シューマン(IBS)、シューベルトとシューマンのチェロソナタ(Odradek)はスタインウェイなので、作曲家とデュオ相手によって使い分けている。

同じSK-EXを使っているのに、エネスコ録音は音質も音響もあまり良いとは言えず、以前に試聴した時はピアノの音がそんなに綺麗だとは思わかなった。このハイドン録音では、第1曲の冒頭を聴いただけでもピアノの音の美しさが良くわかる。(CDで聴けばもっと綺麗だと思う)
ハイドン録音ではピアノの音自体に丸みがあり響きが柔らかくて綺麗だから、レーベル(と録音場所とエンジニア)が違えば、同じグランドピアノの音には思えないくらい違う。それに、ソラウンのタッチ自体がエネスク録音とは違うのかもしれない。
SK-EXでピアノ伴奏しているヴァイオリンソナタ集では、フランス音楽(ドビュッシーやラヴェルなど)で、弱音とペダルを踏んだ時のピアノの響きがファンタスティックでとても綺麗。

ハイドン: ピアノ・ソナタ集ハイドン: ピアノ・ソナタ集
(2022/7/15)
ホス・デ・ソラウン

<収録曲>
ピアノ・ソナタ第16番 ニ長調 Hob. XVI/14
ピアノ・ソナタ第46番 ホ長調 Hob. XVI/31
ピアノ・ソナタ第38番 ヘ長調 Hob. XVI/23
ピアノ・ソナタ第60番 ハ長調 Hob. XVI/50
ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 Hob. XVI/46
ピアノ・ソナタ第33番 ハ短調 Hob. XVI/20
※CD2枚組。録音時間は合計約117分。

印象に残ったのは、緩徐系では弱音のピアノの響きが夢想的で温もりがあってとても綺麗で、それに加えて、ソラウンのハイドンが面白いのは急速楽章の演奏の面白さ。最初聴いた時は、やたらにフォルテが強くて音量も大きくて賑やかなハイドンだな~とか思ったけど、何度か聴いているとそこが面白い。

弱音以外は、アタック感の強い弾力のあるタッチなので、特に急速楽章では優美さよりも力強さが前面に出てくる。
急速楽章はほぼ弾き方が同じで、速めのテンポで歯切れ良いタッチで、力強く弾力のあるフォルテと明瞭なリズムで、緩徐楽章や緩徐部とのコントラストが極めて明瞭。フォルテが力強く大きいので、ダイナミックレンジが広く、起伏が大きて表情のつけ方がダイナミック。
特に第33番のハ短調ソナタの第3楽章を他のピアニストと聴き比べると、ソラウンはとても個性的。力感と躍動感に満ちて推進力が強く、まるでベートーヴェンを聴いているみたい聴こえる。こういう弾き方はとっても好き。
緩徐楽章を聴いていると、柔らかい弱音の響きの美しさも格別。特にペダルを踏んだ時がファンタジックなくらいに美しい。

このアルバムの中で、好きな曲と演奏は次の3つの楽章。

Hob.XVI:14第1楽章は、バロック風のバッハを連想するような曲で、弱音の響きが夢心地のように綺麗。
Piano Sonata No. 16 in D Major, Hob. XVI:14: I. Allegro moderato



急速楽章(第3楽章)では、テンポで切れ良いタッチと鋭くリズミカルなフレージングに、力感のあるフォルテで弾いている(Hob. XVI/14だけはテンポもややゆったりして穏やかなタッチ)。CD買うかどうか決めようと思って何度も聴いていたら、面白いんだけど、速いテンポで弾くこの強いフォルテが耳にガンガン響いて聴き疲れしてしまった。

XVI:46第3楽章は、ベートーヴェンの《失われた小銭への怒り》みたいに、ドタバタ走り回っているような曲想がユーモラスで面白い曲。ソラウンのように、速いテンポで歯切れ良く弾く人は多い。元々細かい音が多い曲なので、力強いフォルテをこの速いテンポで弾くと、ちょっと打鍵に荒っぽさを感じないでもない。(慌ただしさを強調しているのかもしれないけど)

Piano Sonata No. 31 in A-Flat Major, Hob. XVI:46: III. Finale. Presto



Hob.XVI:20第3楽章も同じようなフォルテのタッチで弾くと、逆に個性的な演奏に聴こえて面白い。この楽章は、ソラウンよりも遅めのテンポで、フォルテもやや控えめの力感と音量で、全体的に優美さやしっとりした叙情感に寄せた演奏が多いと思う。
弾力と力感のあるタッチは歯切れよく、躍動感も豊かで、音階を徐々に駆け上がる時にまるでアッチェレランドしているかのような推進力が爽快。

Piano Sonata No. 33 in C Minor, Hob. XVI:20: III. Finale. Allegro


tag : ハイドンソラウン

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Author:Yoshimi
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クラシック音楽に本と絵に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、ミンナール、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;アリステア・マクリーン、エドモンド・ハミルトン、太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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