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チッコリーニ ~ リスト/詩的で宗教的な調べ(1968年、1990年)

私が持っているチッコリーニのリスト録音集は、《詩的で宗教的な調べ》の旧盤を収録した2枚組と、《詩的で宗教的な調べ》の新盤が入っている5枚組BOXセット。

リスト:詩的で宗教的な調べリスト:詩的で宗教的な調べ
(2012/8/22)
チッコリーニ(アルド)

※国内盤(2012年発売)。2012年最新リマスター音源も入っているそうなので、音質は私の持っている輸入盤(2002年発売)よりも良さそう。
<収録曲>
 詩的で宗教的な調べ(全曲)(録音:1968年)
 コンソラシオン(全6曲)(録音:1970,71年)
 伝説(2曲)(録音:1970,71年)
 オペラパラフレーズ(4曲)(録音:1982年)


BOXセットは先日購入。《詩的で宗教的な調べ》の旧盤以外のリスト録音が全て聴ける。
《詩的で宗教的な調べ》は1990年の再録音。Disk3に収まらないためDisk4の冒頭に終曲「愛の賛歌」が収録されている。この再録音は分売盤(国内盤、輸入盤)が未発売のため(ディスク1枚に収まらないから?)、3種類あるBoxセットのどれかを買うしかない。

Liszt: Piano WorksLiszt: Piano Works
(2006/11/22)
Aldo Ciccolini

※硬い紙製BOXケースに、厚手の紙ケースに入ったCDを収納。ブックレット(表紙除いて12頁)はトラック情報と作品解説。
<収録曲>
 巡礼の年(全曲)(録音:1961,69年 ステレオ)
 詩的で宗教的な調べ(全曲)(録音:1990年 デジタル)
 愛の夢(全3曲)(録音:1970,71年 ステレオ)
 コンソラシオン(全6曲)(録音:1970,71年 ステレオ)
 伝説(2曲)(録音:1970,71年 ステレオ)
 バラード(2曲)(録音:1970,71年 ステレオ)
 オペラパラフレーズ(7曲)(録音:1982年 ステレオ)


《詩的で宗教的な調べ》の旧盤と新盤を聴き比べると、22年後に再録音した理由がわかるような演奏だった。
音響的には新盤は残響が多く、和音連打で低音の響きが地鳴りのように轟いて重厚で迫力十分。旧盤は残響が少なく音の輪郭明瞭で残響に埋まらずにしっかり浮き出る。最初は旧盤の方が音の輪郭が明瞭で聴きやすいと思ったけど、音の輝きや広がりでは、デジタル録音の新盤の方がクリアで輝きがあり、量感と重厚感も強く迫力あり。

新盤は力感・量感ともより強く、テンポの落差も大きくなり、ルバートやテヌート気味のタッチにはリズムにやや粘りがあり、起伏がより細かくニュアンスも豊か。旧盤よりもテンポがかなり速くなっている曲はリズムと勢いの良さと盛り上がりが良く、テンポが遅くなった曲は起伏やテンポの振幅が大きくなり、情感がより繊細になっているように感じる。全体的に空間的な広がりと音楽の深さが増して、どちらが好きかというとやはり新盤だと思う。

第1曲「祈り/Invocation」
演奏時間が旧盤7:54、新盤7:14。冒頭からテンポの速さと勢いの違いがすぐにわかる。テンポが上がっている分、タッチの切れ良くて、曲全体が引き締まって聴こえる。中間部の弱音は新盤の方が煌めきがあって綺麗。残響が多いので音の波が渦を巻いて地鳴りのように量感とせまりくるような迫力。音響効果と演奏の両方が相まって、重厚で壮大なスケール感を感じる。
特に中盤(4分前後のところ)で徐々に盛り上がっていく93~107~(poco a poco stringendo)~112~(TempoI)113小節は、加速しつつクレッシェンドしていく部分で、旧盤よりも新盤は加速が速くクレッシェンドも強いし、TempoIに入ってもほとんどテンポを落とさず(旧盤もテンポはあまり落としていない)、左手の鋭い和音連打が高速で勢い良く、歓喜に満ちたような輝かしさがあり、曲中ではこの部分が一番好き。

Harmonies poétiques et religieuses III, S. 173: No. 1, Invocation(旧盤)



第2曲「アヴェ・マリア/Ave Maria」
旧盤6:19、新盤6:49。新盤の方がタッチが柔らかく(特に弱音)、ルバート多用でテンポが細かく揺れ、細かな抑揚でニュアンス豊か。右手の主旋律がやや粘りのあるタッチで音が沈んでいき、密やかで内省的な雰囲気が強い。しっとりした潤いのある響きが美しく叙情感も強い。

Harmonies poétiques et religieuses III, S. 173: No. 2, Ave Maria(旧盤)



第6曲「眠りから覚めた子供への賛歌/Hymne de l’enfant à son réveil」
旧盤6:18、新盤5:29。冒頭聴いただけで雰囲気が全く違う。旧盤はテンポが遅めでタッチが柔らかく、子守歌風に穏やかで優しい。
新盤はテンポが速くタッチも軽やかで歌うようにリズミカル。快活な明るさで輝いているような賛歌。テンポが細かく変化し、弱音部やテンポを落とす時はタッチが柔らかく響きも優しい。テンポとタッチの細かい変化で、静動・硬軟の対比や響きのヴァリエーションがよくわかって、聴いていて楽しい。
※40小節目と42小節目の右手和音(スタッカート記号付き)は、旧盤はスタッカートせず、新盤は楽譜通りにスタッカート。その後の小節で右手和音(スタッカート記号なし)の響きと違うのがすぐわかる。

Harmonies poétiques et religieuses III, S. 173: No. 6, Hymne de l'enfant à son réveil(旧盤)



第7曲「葬送/Funérailles」
旧盤10:36、新盤11:43。テンポの遅さと響きの厚みで、新盤の方が重厚さが増している。全体的に新盤の方がタッチと鋭さがあり、低音の響きが大きく力強い。葬送行進曲の部分は新盤が少しテンポが遅く、響きが美しくせいか、密やかさや叙情感が強い感じがする。大きく違うのは、終盤の葬送行進曲の展開部。旧盤の方はテンポが速く力強くも軽快なタッチで、勢いよく駆け抜けていく疾走感が強い。新盤はテンポが遅めで右手がマルカートのように一音一音力強く、低音の響きが地響きみたいに重厚で、威厳のある堂々とした行進曲。私はどちらの演奏も好きだけど、新盤の方が響きが豊かで綺麗なので叙情感も強い感じがする。

Harmonies poétiques et religieuses III, S. 173: No. 7, Funérailles(旧盤)



第7曲「愛の賛歌/Cantique d'amour」
旧盤7:00、新盤6:50。新盤の方が残響が多くクリアなので、音に煌めきがあって響きが美しく華麗。冒頭部分はテンポが少し速くなり、左手のアルペジオが少し滑らか。(演奏自体は大きく変わっていないと思うけど、細かな変化はもう少し聴きこまないとわからない)

Harmonies poétiques et religieuses III, S. 173: No. 10, Cantique d'amour(旧盤)



85歳の時のライブ映像(2010年)。
Aldo Ciccolini: Invocation (Liszt)


Aldo Ciccolini: Hymne de l'enfant a son reveil (Liszt)



<参考記事>
↓の記事で聴き比べに関する記述がある曲は、「祈り」「孤独の中の神の祝福」「葬送曲」「愛の賛歌」。
チッコリーニの「リスト《詩的で宗教的な調べ》(2種類)」を聴き比べる[An die MusikクラシックCD試聴記]

*Comment

 

Yoshimiさん、こんばんは。ご無沙汰しております。
ご連絡いただいたカッチェンの新譜、初めて知りました。
協奏曲集とのこと、どれも聴いたことがありません。
拙宅のオンボロプレーヤーで再生できるか不明ではありますが、お送りくださると嬉しいです。
お手数をおかけします。
よろしくお願いいたします!
  • posted by 芳野達司 
  • URL 
  • 2023.10/29 21:10分 
  • [Edit]

 

芳野様

早速お返事くださいましてありがとうございます。
せっかくリリースされた貴重な録音ですので、聴いていただけるのがとても嬉しいです!
今日発送予定ですので、発送後にブログの方にご連絡いたします。
  • posted by yoshimi 
  • URL 
  • 2023.10/30 02:58分 
  • [Edit]

 

恐れ入ります~。
  • posted by yoshimiさん 
  • URL 
  • 2023.10/30 09:59分 
  • [Edit]

 

ケースやCD本体の傷は、音に影響がなければ気にならない質です。
楽しみにしております!
  • posted by 芳野達司 
  • URL 
  • 2023.10/30 21:07分 
  • [Edit]

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クラシック音楽に本と絵に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、ミンナール、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;アリステア・マクリーン、エドモンド・ハミルトン、太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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