スティーヴン・ハフ ~ ドヴォルザーク&シューマン/ピアノ協奏曲

    2024.03.31 00:00| ♪ スティーヴン・ハフ
    hyperionレコードがNMLに参加したり、Youtubeの<Stephen Hough - Topic>チャンネルもできたので、スティーヴン・ハフ(やオズボーンなどのhyperionアーティスト)の録音がオンラインで聴けるようになった。
    ハフのCDはほとんど持っているけど、未購入のアルバムがいくつかあったので、試聴して購入したのがドヴォルザーク&シューマンのピアノ協奏曲集。発売時に冒頭だけ試聴した時は購入しなかったけど、今回全楽章試聴すると印象がとても良かった。

     Dvorvak & Schumann - Piano ConcertosDvorvak & Schumann - Piano Concertos
    (2016年03月12日)
    Stephen Hough 、 Andris Nelsons 、 City of Birmingham Symphony Orchestrae


    ピアノはスタインウェイ。ハフの最近のスタジオ録音では、コンチェルトの場合はスタインウェイ、独奏曲の場合はヤマハを使うことが多い。
    ジャケットの絵はムンクの”Moonlight”。確かにドロドロと淀んだような輪郭と色彩はムンクらしいタッチ。

    ブックレットの作品解説者は、なぜかチェリストのスティーブン・イッサーリス(ハフとイッサーリスはデュオ録音したり、ハフの自作曲をイッサーリスが録音したりと、かなり親しい)。
    特にドヴォルザークのコンチェルトの解説が勉強になった。
    「ソロの書き方がピアニスティックでないことは認めざるを得ない。演奏するのは恐ろしいほど難しいが、楽々と弾いているように聞こえるに違いない-ヴィルトゥオーゾの夢とは正反対だ!だからピアニストたちは不平を言った」。
    ドヴォルザークの死後、チェコのピアニスト、ヴィレム・クルツがピアノ・パートを大幅改訂して出版。この改訂版がスタンダードになったが、リヒテルがドヴォルザークの原典版を演奏して以来、原典版が演奏されるようになった。(もちろんハフも原典版を弾いている)
    「この協奏曲の「容易に形づくられたファンタジー」を称賛したブラームスは、ドヴォルザークが他の作曲家にも主要な素材を提供できたはずの主題のアイデアを捨ててしまったと不満を漏らしたことで有名だ。・・・・・この楽章は、美しい主題の宝庫であり、そのような旋律的才能の素晴らしい例を聴かせてくれる。」

    ドヴォルザークのピアノ協奏曲は、主題が変奏曲みたいに次々に展開していき、多数のパーツが組み合わさったパッチワークみたい。この曲のCDで持っているのは、2010年に購入したフィルクスニー(ピアノはヴィレム・クルツにとシュナーベルに師事)のRCA盤のみ。リヒテル&カラヤンの録音も聴いたことはある。
    演奏時間が合計40分(うち第1楽章が約20分)とブラームスのピアノ協奏曲第1番と同じくらい長い。ピアノパートがそれほど際立ったわけでもなく、ドヴォルザーク自身が「ヴィルトゥオーゾのための協奏曲を作曲することが出来ない」と言っているくらいなので、ピアノ独奏付き交響曲みたいな曲。
    特に第1楽章はモチーフそれぞれは綺麗だけど、旋律が断片的なのでピアノパートの音楽の流れが途切れて、オケの中にはめ込まれたパートの一部みたいに聴こえる。でも、《スラブ舞曲》や《詩的な音画》とかよりも聴きごたえはあると思う。それにイッサーリスの解説を読むと旋律から何が聴き取れるのかわかりやすい。

    第1楽章(作品解説)
    「冒頭の小節から、指揮者ヴァーツラフ・ターリチの言葉を思い出す:”ドヴォルザークは自然に耳を傾ける方法を知っていた...木々も、小川も、石も、すべてが歌う。村の音楽の自然主義的なリズムが、リズミカルな詩に作り変えられている”。私たちがドヴォルザークで最も大切にしている資質の多くは、この第1楽章の主題に感じられる。
    「彼の音楽的性格の一部である自然で肯定的な暖かさが、作品の冒頭の秋のメロディーで感じられる。第2主題は、作曲家の典型的なユーモアと無邪気なダンスのリズムを導入し、その対となる主題は、熱烈なカトリック教徒ドヴォルザークの献身を放っている。壮大さもあり、特にカデンツァではシューマンの協奏曲を連想させるようなコーダへと導かれる。」

    Dvořák: Piano Concerto in G Minor, Op. 33: I. Allegro agitato


    Dvořák: Piano Concerto in G Minor, Op. 33: II. Andante sostenuto


    第3楽章(作品解説)
    「フィナーレは民族舞踊の世界に引き戻されるような序奏で始まり、メインテーマも同じようにチェコの土壌に深く根ざしたメロディーの曲がりくねったdervish(ダルウィーシュ)。」
    ※Dervish:語源は貧しい人や托鉢僧を意味するトルコ語’darvis”。イスラム教の修道僧のことで、礼拝の一環として体を激しく回転させる踊りや祈祷で法悦状態になる。

    「第3主題で初めてメランコリーが感じられるが、ここでもすぐに抗いがたい踊りが伴奏に入り込んでくる。」
    「長いコーダは、不機嫌な名手をも満足させるほどのピアニスティックな興奮で、足を踏み鳴らすような祝祭的なト長調で終わる」

    Dvořák: Piano Concerto in G Minor, Op. 33: III. Allegro con fuoco



    シューマンのピアノ協奏曲はハフにしてはテンポが遅くてゆったりして(演奏時間は約32分)、この曲の録音(29分~30分台が結構多い)のなかでも遅い方だと思う。
    粒立ち良いタッチでも、まろやかで柔らかさがあり、フォルテの強度も抑え目。弾けるような躍動感や、パッショネイトな激しさや感情が迸る瑞々しさは薄く感じる。澄んだ音色と豊かな色彩感でピアノの音がとても美しく、さらに和音が一音一音よく鳴り豊かな響きが気持ち良い。オケの透明感のある豊かな響きがピアノとよくマッチして、ピアノとオケの音を聴いているだけでも楽しい。
    ハフのピアノには清々しさと明るい開放感があり、若い頃のシューマンらしい若々しさというよりも穏やかで落ち着いた雰囲気。こういう演奏も好き。

    Schumann: Piano Concerto in A Minor, Op. 54: I. Allegro affettuoso


    Schumann: Piano Concerto in A Minor, Op. 54: II. Intermezzo. Andantino grazioso –


    Schumann: Piano Concerto in A Minor, Op. 54: III. Allegro vivace



    <関連記事>
    フィルクスニー ~ ドヴォルザーク/ピアノ協奏曲

    タグ:シューマンドヴォルザークスティーヴン・ハフ

    ※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。

    コメント

    非公開コメント

    ◆カレンダー◆

    04 | 2024/05 | 06
    - - - 1 2 3 4
    5 6 7 8 9 10 11
    12 13 14 15 16 17 18
    19 20 21 22 23 24 25
    26 27 28 29 30 31 -

    ◆ブログ内検索◆

    ◆最近の記事◆

    ◆最近のコメント◆

    ◆カテゴリー◆

    ◆タグリスト◆

    マウスホイールでスクロールします

    ◆月別アーカイブ◆

    MONTHLY

    ◆記事 Title List◆

    全ての記事を表示する

    ◆リンク (☆:相互リンク)◆

    ◆プロフィール◆

    Author:Yoshimi
    <プロフィール>
    クラシック音楽に本と絵に囲まれて気ままに暮らす日々。

    好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

    好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、ミンナール、アラウ

    好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

    好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

    好きな作家;アリステア・マクリーン、エドモンド・ハミルトン、太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭
    好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
    好きな写真家:アーウィット

    ◆お知らせ◆

    ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。